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【第2話】『BTS Monuments: Beyond The Star』


踏み込んでいくアクセル

ファンソング『2!3!』の成り立ちから、皆が辞めたいと考えていた『FAKE LOVE』期までが一気に語られます。いきなり、深い部分に向けてアクセルを踏み込んだ感がありますね。

正直、こういうのは最初に予告が欲しい。と思わなくもないです。
「このドキュメンタリーには、心の傷に敏感な視聴者に影響を与える可能性のある感情の吐露が含まれていますので、ご注意ください」みたいなやつ。もう何回目かわからない「ぎゃー!」が発生しました( ;∀;)ココロガヨワクテゴメン

大分耐性ができてきたとはいえ、これはなかなか……( ゚Д゚)ゴク
まだ2話目ですが、BTSの歴史的に見るとここが最大の山場(もしくは谷間)かもしれません。気合を入れて見ていきましょう!

2023年、デビュー10周年を迎えた21世紀のポップ・アイコンであるBTSが、これまで の軌跡を振り返る。
前人未踏の地に至るまでに経験した、数えきれぬほどの苦悩と挑戦。そして、初めて明かされる7人の日常と本音。
生きることの意味、人生の目標を見つけるべく走り続ける7人の物語。BTSの10年。そして、その先のストーリー。

「Disney+」の番組説明より

感想:第2話「青春」(2016~2017)

成功に影が差す。驚くべき成果と記録を出したBTSにもスランプが訪れる。

「Disney+」の番組説明より

ソウルで最も大きい会場だった「オリンピック体操競技場」での2日間公演が決まり、興奮を隠せなかった当時のことを振り返るバンタン。
口々にこの会場でやれることの意義や、ライブへそそぐ心からの愛情を語る姿が愛しいです。

2014 BTS Live Trilogy Episode II: The Red Bullet
→2014/10/17~19 計6,000人(AX-韓国)
2015 BTS Live "The Most Beautiful Moment in Life On Stage"
→2015/11/27~29 計13,000人(SKオリンピックハンドボール体育館)
2016 BTS Live "The Most Beautiful Moment in Life On Stage: Epilogue"
→2016/05/07~08 計25,000人(オリンピック体操競技場)

延べ参加人数は動画内の数字。Wikiでは、2014の「The Red Bullet」は5,000人。

初単独ライブの思い出も映っています。「2014 BTS Live Trilogy Episode II: The Red Bullet(AX-韓国)」かな?
観客数は関係なく、「ファンが来てくれる」だけでありがたかった時代。

聞き分けのない子供だった僕を、大勢のARMYの前でライブができるまでにしてくれて……
こんな会場で歌えるようにしてくれて、感謝してます

「2016 BTS Live "The Most Beautiful Moment in Life On Stage: Epilogue"」でのグクコメント
涙があふれてしまったマンネを抱きしめに行くナムさんが尊い

2016/11/12、3rdペンミの映像から、ファンソング『2!3!』の成り立ちが語られています。
このエピソードは知らなかったので、とても興味深く聞きました。当時の彼らの心境を反映した、すごく思い入れのある曲だったんですね……。

新曲の公開日は、いつも恐怖を感じます。2015年の末から2016年の前半にかけては、精神的に辛い時期でした。批判が多かったので。
そういう経験を一度味わったから、嬉しいはずの日が絶望に変わりました。公開日はネットを見られません。

ナムさんの言葉(2017/3/6 シカゴにて)。最後の一文は、英語では「freeze in fear of criticism(批判を恐れて固まってしまう)」になっています。

ここで、当時続いていた「論争」について語られますが、具体的に何を指しているのかは不明です。
デビューからの数年、バンタンの周囲にはネガティブな話題も多いので、心当たりがいくつかあって、どれかわかりません。こういう時、コンテキストを共有していない新規は辛い(/ω\)

当時起きていた「論争」の中には、”サイバーブリング(ネットいじめ)”に分類できそうなものもあります。BTSの過去コンテンツを検索していると、時々ARMYが戦っていた形跡が出てくるんですよね。
アイドルが標的にされた場合、本人たちが対応するのは簡単ではありません。当事者が言及すること自体、炎上を加速させる可能性が高いからです。結局のところ、「今できることに集中する」ことが最善であるケースも多いと思いますが、非常にストレスフルだったことは察して余りあります。
そこで代わりに戦ってくれるのがファンダムだったわけですね……。

批判の中には、事務所とBTSが明確に対応した案件もあります。
それが、BTS楽曲にある歌詞の一部が女性蔑視だと批判され、その後の歌詞作成体制にも影響を与えた件です。
どの曲のどの部分が指摘されたかは、天下のYahoo!知恵袋先生が詳しかったので、そちらをどうぞ。

▼JOKE
니 껀 원래 랩이 아니란다 non-rap 그래 넌 최고의 여자, 갑 질
お前のラップはそもそもラップじゃない non-rap そうお前は最高の女, パワハラ
so 존나게 잘해 갑질. 아 근데 생각해보니 갑이었던 적 없네
so やたら上手いよなパワハラ あ、ていうかよく考えたら神だった時期ないじゃん
갑 떼고 임이라 부를게 임질
まぁそれは置いといて、慕うことにするよ細菌(=性病)

▼Miss Right
명품 백을 쥐기보다는
高級なバッグを握るより
내 손을 잡아주는
僕の手を握ってくれる

▼ホルモン戦争
여자는 최고의
女は最高の
선물이야 선물이야
贈り物だ 贈り物だ

▼Converse High
니가 좋아 그래도 컨버스로우는 신지 마
君が好き だけど コンバースロウは履いちゃダメ

▼Can You Turn Off Your Phone(핸드폰 좀 꺼줄래)
음식을 눈으로 먹냐 여자애들처럼
食事を目で食うってのか? 女子みたいに

天下のYahoo!知恵袋先生回答より抜粋

当時韓国社会では、ある殺人事件をきっかけに女性嫌悪と性差別の問題がフォーカスされ、フェミニズム運動の活性化と社会変革への要求を引き起こした、という背景がありました。
そこで、若い世代や女性に訴求力を持つバンタンの歌詞も巻き込まれ、社会的注目を浴びたのではないか、と自分は受け止めています。

事務所とBTSはこれに対して謝罪し、その後女性学の教授に歌詞検収を受けるなど、専門家の助言を受け入れています。また、社会問題に対し、より敏感に反応するようになっていきます。
この事件は、バンタンの音楽を単なるエンターテインメントではなく、社会的な影響力を持つものに変え、彼らにアーティストとしての責任や成長を促し、ARMYを「声を上げる集団」に変える分岐点になった、と自分は思っています。

こういった経験が、バンタンとファンダムを成長させたという評価は納得できますが、当時そこには、成長痛として飲み込むにはあまりに深い痛みもあったと思います。
それが『2!3!』を生んだのかと思うと、切ないですね……。

この曲は特別です。大抵のファンソングは綺麗な曲が多いでしょう。あの歌詞は、当時だから書けたんです。

SUGAの言葉

誤解と論争に疲れ切り、その記憶を振り切るため「2.3で忘れよう」と歌ったバンタン。一緒に歌うARMYの声にもらい泣きしたジミンちゃん。
背景を知って歌を聴き、ツアーでのナムさんのコメントを聞くと、人前に立ち表現していくことへの責任と恐れを考えさせられます。

ちなみに、日本語字幕「僕たちもファンも疲れ切っていた」は、英語字幕では「we were getting desperate and spiteful and our fans were the same(僕たちは自暴自棄になり、唾棄するようになり、ファンも同じだった)」になっており、より荒れている様子が伝わってきます。ファンダム内の様子をバンタン側も気にかけているんだなと思いました。

”どこまで正直であるべきか”
"僕が100%正直になった時、人々は耳を傾けてくれるのか"
もし聞いてくれたとしても、不安になる。
心の内をさらけ出したら、弱いヤツだと笑われるかもと。

ツアーでのナムさんのコメント

悔しさを免疫にして、今のBTSとARMYとの関係性が形作られていった時期を経て、BTSは2016MAMAで大賞を受賞します。

ナムさんとユンギは一番古くからいる二人であり、楽曲作成のコアでもあるため、よく二人で「僕たちいつになったら大賞が取れるかな」みたいな話をしていた、という思い出話を聞きます。
大賞をもらった後楽屋裏で、涙が止まらないユンギを抱き締めるナムさん、そしてその二人を包み込むジミンちゃんの姿に胸が熱くなりました……!

ゆっくり喜んでいる間もなく、バンコクで「The Wings Tour」中のバンタンに、ビルボードからの招待状が届きます(2017/4/23)。

ビルボードの「Top Social Artist」受賞候補になり、渡米することになったBTS。パンPDからのカトク受ける前にネットで知ったんですね。今時。

「【BTS】シュプDのはちみつFM@SUGA②【Weverse】」より

K-POP市場ではなく、洋楽の音楽市場で存在感を出したかった。実際にK-POPが何を生み出せるのか、客観的な指標を示さねばと思ったんです、それを基にステップアップしたかった。

パンPDの言葉

現在K-POP産業は、韓国の経済・文化・国家イメージの向上に大きく貢献しており、戦略的資産として位置づけられています。
しかし、防弾少年団がデビューした当時、「アイドル」に対する社会的評価はけして高くなかったと聞きます。

BTSを含むK-POPの価値を更に向上させるためには、国内を相手にするのではなく、外で国際的看板を得なければダメだ、というのがパンPDの判断だったのでは、と私は受け取りました。
実際、その方針転換はある面で正しかったように思います。

それまではアジア圏を中心に活動していたBTSですが、2017ビルボードの後は欧米番組への出演が急増しています。
海外での評価を逆輸入する形で、韓国ではBTSの評価が上がり、「韓国の威信を高めてくれた」という見方が生まれて、大統領がアクセスしてくる立ち位置へと一気に昇りました。

この祝電に代表される政府筋からのアクセスがいつから始まったのかはわかりませんが、少なくとも花冠文化勲章をもらった2018年頃からは明白だと思います。
「BTS=KPOP=韓国」による世界ミュージックチャートの席巻が愛国心と結びつき、BTSが国威発揚のシンボルになった面があるように思われます。アイドルと政治との距離がやたら近いですね。

「【RPWP/MMM】BTSリーダー・RMのストレスと消しゴム【ミニモニ】」より

これにより、新たなストレスが生まれたと思われるのですが、それはまた別の話なので、本編へ戻りましょう。

英語のレクチャーも受け、ドキドキしている様子が初々しいバンタンを、会場前に集まったARMYが大歓迎し、報道陣の注目を引き付けます。アメリカでは無名な存在の自分たちをメディアに気づかせてくれた、とジン君が感謝していますね。
実際、アメリカでウリバンタンを見られる!と歓喜した在米ARMYの歓声はムーブメントになり、「こんなに熱狂されてるBTSって何!?」と世界にその存在を知らしめるきっかけになったように見えます。

本当に、これはファンの皆さんのおかげです。
僕たちに注目してくださる方も増えましたし、たくさんのアーティストの方たちが僕たちに会いに来て挨拶してくれました。「君たちのファン、本当に情熱的だね。すごいね。どうやったらあんなことができるの?」って、何度も向こうから話しかけてもらいました。
グラミーでは、そういった経験をたくさんさせてもらって、すごく新鮮でした。ファンの皆さんに改めて感謝の気持ちが湧きましたし、本当に楽しかったです。

「BTS Breaks Down Their Music Career | Vanity Fair」より、ジン君の言葉

当時ジャスティン・ビーバーが連続受賞していた「Top Social Artist」賞を受け取ったBTS。この賞はSNS上でのファン活動が非常に大きく影響するため、ARMYからバンタンへの贈り物と言えると思います。
BTSがローカルアイドルからグローバルアーティストへ変化する過程で、ARMYの存在が非常に大きかったことがわかりますね。功績が大きすぎるよ、好き……!

よくわからないまま喜ぶバンタンと、「これはいける、次を狙えるぞ」と確信したパンPDとの差が明確で面白いです。

Steve Aokiとの初顔合わせっぽいシーンが挿入されています。
「コラボしたい。ビートはできてるから、サビのアイデアをくれたら、まずそこから曲を作る。その次にAメロを作っていく。サビやメロディーがあればいい」って、初手からいきなり具体的な話を始めるAoki。すごい熱意ですね。それだけ、彼らに可能性を感じたんでしょうか。
この出会いから後に名曲『The Truth Untold』が生まれたかと思うと、胸熱……!

AMA会場(2017/11/14)で、ものすごいARMYの歓声に喜ぶメンバー。
バンタンはデビュー前からSNS発信してますし、2014~2015に出演していた「After school club」でも既にワールドワイドな認知が進んでいる様子が垣間見えます。
本人たちも自覚してるはずですが、やはりアウェイである海外の授賞式会場で緊張している時、実際に声を聴くと力強く感じるんでしょうね。ありがとう、在米アミ……!

あっカリードがいるw

ビルボードでは本当にナムさんに助けられたという話。

グク「兄さんがいないとダメです」
テテ「兄さんがトイレに行っている間、海外セレブが来る度にドキドキしました」
時間を間違えて、待ち合わせ場所に早く着きすぎてしまい、カリードと「You good!」「Yeah」を駆使して20分立ち話をすることになったジミンちゃんの「本当に兄さんに会いたかったです」w
※ちなみにカリードは98年生まれでグクより年下。貫禄www

「【2018FESTA】BTS PROM PARTY -RE;VIEW & PRE;VIEW-」より

アメリカのテレビ出演時(2017/11/27「ジミー・キンメル・ライブ!」)でも、大歓声が彼らを迎えており、めっちゃ頼もしいです!

2017の幸せな思い出を振り返るバンタン。
仕事は目に見えてレベルアップしていき、たくさん笑ってたまに旅行もして、メンバーだけで祝い酒も飲んで。初めてのシャンパンシャワーに大騒ぎしている姿が青春そのもので、とても愛しいです!

「The Wings Tour」で日本にいる時、パンPDと話し合いをしていたバンタン。

「K-POPに対する使命感を持って活動するようになり、この半年で随分と道が拓けた。これなら、より大きな夢に向かえそうだ。でも僕が来年からやりたいことは、君たちが幸せになる方法を見つけることなんだ。どんなスーパースターも幸せになれてないから、難しいかもしれない。多くのスターが最終的に、うつ病や対人恐怖症になってる。幸せのために始めた音楽が君たちを不幸にするかと、とても心配なんだ(2017/6/4東京での発言)」
「重要なことだし、マネージメントする人間が考えるべきです。ある時点を超えたら、アーティストにも人間的な自由が必要だと」

パンPDの言葉

ここで、再契約に関する話し合いが持ち上がりましたが、更新を前に、全員が悩み「辞めたい」と考えていた時期だということが明かされます。

当時、望んでいた以上の成功と注目を受け、強いプレッシャーに苦しんでいたバンタン。
短時間で高みに上り詰めたため、ゴールが見えないまま走り続けることに誰もが疲れ切り、7人だけで共有していたフラストレーションが静かに爆発します。初めて、外からではなく内側から危機が訪れました。

仕事自体は上り調子で非常に順調なので、パンPDから「半年休むか?」と提案されても迷った、とジミンちゃんが当時を振り返っています。

僕たちは、他の人が20年かけて経験するものを、6~7年で一気に経験しました。だから本当に疲れ切ってしまったんです。
"終わりは来るのか?"
そんな思いを抱えて、全員が悩んでいました。いっそ辞めようかと本気で思った。僕たちの手に余ると感じていたんです。

SUGAの言葉

ここまで来るために苦労してきたのに何故楽しめずにいるのか、状況に納得できずにいるナムさん。決定的な一言を誰も自分から言い出せずにいる状況を、恋が終わる直前に例えるユンギ。燃え尽き、メンバーの意見の相違を気に掛ける余裕がなかったジン君。皆の雰囲気に飲まれて心を病み、一緒にいるのがキツかったというジミンちゃん。泣いて話し合ったというテテ・グク・ホビ。
不安定に積み上げられたジェンガを誰が壊すのか、息を詰めて見守るような日々が語られます。

『FAKE LOVE』期のアンケートでテテが「当時の自分には打ち勝てなかった」と言っていたり、2018MAMAで解散の話があったことが明かされたりしていたので、しんどかったんだなということは察していたのですが、本人たちの口から聞くと「そうか……」と思うと共に辛くなりますね。

Q:一番辛かった時期は?
A:FAKE LOVEの時。(2018年5月リリース)この曲に自分は打ち勝てなかった。時間のおかげで耐えられた。

Q:過去の自分に手紙を書くとしたらなんて書く?
A:もう答えは自分の中にあるよって言いたい。どちらにしても答えは自分の中に出ているから、混乱せずに、その過程に苦しまないで。
選択しなければならない瞬間、自分に確信がなくて混乱した時期はずっとそのことばかり考えて悩んでいた。
でも、よく考えると自分が選択する道や考えはすでに心の中にあった。混乱する必要はなかったのに、あまりにも混乱したのが、一番残念な部分だった。

『Proof(Collector's Edition)』のテテインタビュー。左うちわさんの記事より。

「The Wings Tour」最終日(2017/12/10)のコメントシーンが映し出されます。あー、きっぷんでーのグクと、SOPEまで泣いてた回ですね……(T_T)

あの時は本気で投げ出したいと思ってました。
”僕たちが築いたものを壊そう”
それが自分たちの救われる道だと思ったんです。

SUGAの言葉

このセリフで第2話終わり。つ、続き見ないと眠れない……!!
それにしても、こういう話になるとSUGAの語り口が冴えますね。さすが言語化の鬼ラップラインの、傷口開帳担当。いい仕事しすぎて胸が痛い( ;∀;)


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