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精神疾患は脳のバグ。生存本能と現代の生きづらさ。

人間は賢い。

この地球という途方のない大きさの星で最も知能が高く、環境を我が物顔で支配している。
純粋な個体数や種としての歴史の長さでは昆虫やバクテリアに遠く及ばないが、「地球環境に対する影響力」という点では間違いなく頂点に君臨しているだろう。

しかし、人間という生物自体は決して強いわけではない。

筋力では多くの動物に劣り、鋭い牙や爪、毒といった特有の武器も持たない。強いて言うなら、腕の遠心力を使って相手を打つパンチや、歩行用の足を振り回すキックといった打撃技くらいだろうか。

これほど生物的に「ひ弱」な人間がここまで世界を支配できた最大の理由。

それは、間違いなく知能だ。

人間は言葉を巧みに操り、道具を作り出し、将来の利益のために今の欲求を犠牲にすることすらできる。

さらには、その知能が高度に発達しすぎたあまり、自ら命を絶つという、生物の生存本能に真っ向から反する行動をとることさえある。

それにも関わらず、人間の脳のシステムには古い部分が残っており、現代の環境にアップデートされていないことが多々ある。

ここが現代の人間において最もやっかいな点だ。

例えば、人類の歴史の大部分において食料は常に貴重だった。
そのため、脳は高カロリーなものを食べると「生き残るために今のうちにもっと食え!」という指令を出すように進化した。

しかし、食料がありふれた現代でも、脳は変わらずその指令を出し続ける。そのせいで、自ら生み出した豊かな食のせいで糖尿病や生活習慣病といった病に苦しむことになる。

また、人間の脳の奥深くには、「古い脳の構造」が今も備わっている。

呼吸や心拍、そして危機に対する防衛本能を制御する部分が、現代の安全な環境下でも誤作動を起こすことがあるのだ。

安全な部屋で休んでいるだけなのに、突然「ここは危険だ、ヤバい!」と防衛のスイッチが入り、心拍数が急上昇し、脳の論理的な思考が停止してパニックに陥ってしまう。

これがいわゆるパニック発作だ。

まだ他にもある。
はるか昔の過酷な自然環境において、人類の命を奪う身近な脅威といえば、毒ヘビやクモ、高い崖、あるいは捕食者が潜む暗闇であった。

私たちの古い脳は、これらを認識した瞬間に理屈抜きで強烈な恐怖を感じ、瞬時に体を動かして避けられるよう、遺伝子レベルで強力にプログラムされている。

私たちがヘビやクモを直感的に気味悪く感じたり、高所や暗闇を怖がったりするのは、この優秀な生存本能のおかげだ。

だが、現代においてはこの機能が誤作動を起こす。

高いところに行けば、建物の中で安全であるにも関わらず恐怖を感じ足腰がすくむ。
暗闇や閉所に行けば、それだけで恐怖のあまり呼吸困難になってしまう。

閉所恐怖症や高所恐怖症だ。

少しでもこの症状がある人は、「早く現代に適応するように進化してくれよ」と思っただろう。

私もそう思う。

でもそう嘆いても、アイフォンやアンドロイドのようにすぐにはアップデートはされないだろう。

だから、こう考えよう。

自分が今パニックになったり、動けなくなったりするのは、自分が弱いからではなく、「神経の自動的な防衛システム(スイッチ)が切り替わってしまっただけなのだ」と。

「これは、自分を守るために働いているんだ」と。

人によっては、他の人よりもそういった反応が強く出る

そうなると、本当にしんどいし、普通の生活を送るものきつくなる。

でも、古代の過酷な環境であれば、あなたのような人こそが最も生き残りやすかったはずだ。

危険を危険と察知する能力が高く、素早くその場から離れられるのだから。

だから、自分を責めるのをやめて、ここは安全なんだよと自分に言い聞かせて、
ゆっくり現代を生きていきましょう~

参考書籍

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