🎸おじさんギタリストシリーズ ③ 涙もろくなった理由をゆっくり考える編
ギターを弾くと悲壮感が出るだけじゃなく、最近は昔の曲を聴いただけで涙がこぼれる。BOØWYとZIGGYとCrowded Houseが、まさか“涙のスイッチ”になるなんて思ってもみなかった——。そんなおじさんのリアルと、青春時代の記憶が思わず笑えて少し染みる話です。
涙もろくなったのはギターのせいじゃなかった
最近、やたら涙もろくなった。
ギターの練習中に悲壮感が出るのは、どうやら“歳”のせいだと判明したばかりだけど、
じゃあ「涙」は何のせいかと言われると…どう考えてもギターじゃなかった。
たとえば、ふと流れてきた青春時代の曲。
高校の頃、夢中になってコピーしていた BOØWY の「B・BLUE」や、
文化祭前に必死に合わせていた ZIGGY の「GLORIA」、宮城宗典くんを偲んで弾き続けたヒルビリーバップスの「二人の為の甘いバラード」、
そして1986年にベストヒットUSAを観て衝撃を受け、 “背伸びした気分”で買って、大好きになったバンドのアルバム、Crowded House のデビュー作。
あの頃の音が、今でも心のど真ん中を刺してくる。
ああいう曲を今、家でひとりコーヒー飲みながら聴くと、
なぜか涙腺が「よっしゃ、出番や」とばかりに全開になる。
調べてみたら、人間の脳には“自伝的記憶”ってやつがあって、
昔の曲や匂いをきっかけに、過去の体験を一気に呼び出す仕組みがあるらしい。
しかも40代以降は、脳の“情動をコントロールする力”が少しゆるくなるらしく、
簡単に涙スイッチが入るそうだ。
――つまり、おじさんの涙は科学的に正当化されていた。
高校の頃の思い出なんて、たいしたドラマでもないのにね。
放課後にスタジオ代を割り勘しながらBOØWYを合わせたこと
ZIGGYのギターソロの速さに心が折れかけたこと
Crowded Houseのコード進行の綺麗さに感動したこと
学校帰りにCDやカセットで好きな曲をまわし聴きしたこと
どれも今思えば、ドラマじゃなく“日常”だったのに、
なぜか今のほうがグッとくる。
まるで、あの頃の自分に手紙をもらったみたいだ。
ある研究では、“青春時代の思い出が最も強く心に残る理由”について、
人間は10代後半〜20代前半の記憶を「Reminiscence Bump(レミニセンス・バンプ)」として特別保存するらしい。
たしかに、当時コピーしていた曲のイントロは、今でも1秒で蘇る。
逆に、去年のどの日に食べた昼ごはん~などは思い出せないのにね。
それでまた涙が出る。
「なんやこれ、青春ってホルモン剤か?」と疑いたくなるくらい。
でも気づいた。
涙もろくなった理由は、
ギターでも歳でもなく、 “過去の自分がくれた宝物の量が多いから”だと。
悲壮感の次は涙。
次は何が出てくるのか…
おそらく笑いだろうし、たぶんまたギターを持ちながら考える。
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