ガンディに学ぶ、問題を解決せず消すという仕事の極意と応用
私には、ずっと聴き続けている大好きなラジオ番組があります。
それが、歴史を分かりやすく、かつ深く解説してくれる コテンラジオ です。
コロナが始まった頃、友人に勧められて聴き始めて以来、すっかりハマってしまいました。有料サポーターになり、ファンコミュニティに入り、リアルイベントにも参加するようになり、正直なところ、かなり濃いファンだと思っています。
コテンラジオでは、歴史上の偉人や事件が数多く紹介されます。そのたびに「こんな人がいたのか」という驚きがありますが、なかでも個人的に最も心を打たれたのが マハトマ・ガンディ の回でした。
ガンディが生きていたのは、同時期にドイツで アドルフ・ヒトラー が台頭していた時代です。力や暴力が世界を動かしていたその時代に、非暴力と愛で世界を変えるという考え方は、当時の常識からすれば、甘く、現実離れした思想に見えたはずです。
それでもガンディは、その考え方を理想論で終わらせず、自分の人生をかけて実践しました。そして最終的には、インド独立という極めて現実的な成果にまでつなげてしまいます。その事実を知っただけでも、私にとっては圧倒的な体験でした。
さらに後になって、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア や ジョン・レノン、そして彼らに影響を受けた 忌野清志郎 や 真心ブラザーズ など、私自身が憧れてきた人たちも、間接的にガンディの思想の影響を受けているのだと分かってきました。
点だった存在が線になり、歴史の奥行きとして、その影響を深く実感できるようになった感覚でした。
ガンディがつかんだ「仕事の極意」
コテンラジオで紹介されていたエピソードの中で、特に強く印象に残っている話があります。それは、ガンディの「弁護士としての仕事の極意」です。
ガンディは、30代を過ぎてもなかなか弁護士として芽が出ませんでした。しかし南アフリカで腹をくくって活動を始めた途端、突然、優秀な弁護士として評価され、活躍するようになります。
なぜ、そのような変化が起きたのでしょうか。
ガンディ自身は、こう考えたと言います。
多くの弁護士は、揉め事が起きると、それをさらに大きくしようとする。争点を増やし、対立を深めることで、自分の仕事を作ろうとする。しかし、弁護士としての本当の価値は、そこにはない。
問題と問題の本質を丁寧に解きほぐし、問題そのものを消してしまうこと。それができたとき、最も大きな成果につながる。それこそが、弁護士の極意なのだと、ガンディは気づいたのです。
このスタイルによって、ガンディは弁護士として経済的にも社会的にも成功を収めました。そしてその後、南アフリカでのインド人解放運動、さらにはインド独立運動へと歩みを進めていきます。
広告の仕事にも通じる考え方
この話は、私にとってとても勇気を与えてくれるものでした。
私は、細かいところを気にしすぎて、物事が前に進まなくなってしまうことがあります。その結果、短期的な成果を逃してしまったり、やる気がないように見られてしまったりすることもありました。
だからこそ、ガンディのように、丁寧に本質を解きほぐし、問題自体をなくすことに価値を置く考え方は、自分を肯定してくれるものでもありました。そしてこの考え方は、広告のプランナーやクリエイターにも、そのまま当てはまると思っています。
マーケティングの現場では、問題を大きく掲げることは簡単です。「ここが課題だ」「ここが足りない」と声高に言うことはできます。しかし、本当にやるべきなのは、なぜそれが問題として現れているのかを考えることです。
数字の視点だけでなく、人の感情、文化、歴史といった文脈から根本を読み解き、解きほぐしていくこと。そして、問題を際立たせるために表現を使うのではなく、問題自体をなくすために表現を使うこと。それこそが、代理店におけるプランナーやクリエイターの本当の仕事なのではないかと思います。
日々の業務では、KPI達成に追われ、この原理原則をそのまま適用できない場面も多いかもしれません。それでも、「問題と問題を解きほぐし、問題自体をなくすことが、広告クリエイターの極意である」という考え方だけは、忘れずにいたいと思っています。
