決算書入門講座 第二講 貸借対照表(B/S)は 「会社の設計図」 である
1. 貸借対照表とは何か
貸借対照表(Balance Sheet)とは、
会社が今、どのような構造で成り立っているかを示す表
です。
よく言われる説明に、
損益計算書(PL)は1年間の活動(フロー)
貸借対照表(BS)は積み上げ(ストック)
という言い方があります。
これは正しい。
しかし、それだけでは足りません。
貸借対照表は単なる「財産一覧」ではなく、
会社がどうお金を集め
そのお金が今、どんな形に変わっているか
を示す構造表です。
2. 貸借対照表は「右から左へ」読む
初心者がやりがちな間違いがあります。
上から順番に読む
現金を見る
右下の利益を見る
しかし本質はそこではありません。
まず見るべきは、右側です。
3. 右側=お金の集め方(資金調達)
貸借対照表の右側は、
会社がどうやってお金を集めたか
を示しています。
ここは大きく2つに分かれます。
① 負債
負債とは、
借りたお金
です。
銀行借入など。
将来、返さなければならないお金です。
② 純資産
ここが初心者にとって最もわかりにくい部分です。
だからはっきり言います。
■ 純資産とは何か?
純資産とは、
返さなくてよいお金
です。
では、何から成り立っているのか。
大きく2つあります。
(1)株主が出してくれたお金
会社を作るとき、
「この会社を応援する」と言って
株主が出資してくれたお金。
これを資本金といいます。
これは借金ではありません。
基本的に返す義務はありません。
(2)会社がこれまでに稼いできた利益の累積
会社は毎年利益を出します。
その利益が積み重なった総和が、
利益剰余金
です。
つまり純資産とは、
株主が出してくれたお金
会社が今までに稼いできた利益の合計
この2つの合計です。
■ ここで整理
資産 → 会社が持っているもの(左側)
負債 → 返さなければならないお金(右上)
純資産 → 返さなくてよいお金(右下)
名前が似ていますが、
資産と純資産はまったく別物
です。
■ なぜ「純」とつくのか?
もし会社がすべての資産を売り、
借金を全部返したら、
最後に残るのが純資産です。
だから「純」という言葉がつきます。
4. 左側=お金の使い道(資産)
右側で集めたお金は、
左側で形を変えています。
現金
売掛金
建物
機械
土地
在庫 など
つまり、
右で集めたお金が、左で姿を変えている。
これが貸借対照表の基本構造です。
5. ワンショットであり、累積である
貸借対照表は決算日時点の数字です。
一瞬の写真のようなものです。
しかし同時に、
創業から今までの経営の積み重ね
でもあります。
第10期と書いてあれば、
10回分(≒10年間)の経営判断の結果が
今この形になっているということです。
6. 貸借対照表を見ると「会社の性格」がわかる
貸借対照表は、
会社のビジネスモデルを映す鏡
です。
コンサル会社 → 固定資産が少ない
鉄道会社 → 固定資産が巨大
小売業 → 在庫が大きい
数字の並びを見るだけで、
会社の構造が見えてきます。
7. まず押さえるべき3点
右から左へ読む
累積の結果である
会社の構造がわかる
この3つが腹落ちすれば、
貸借対照表は怖くありません。
次回予告
多くの人が決算書でつまずく理由は2つ。
貸借対照表の構造が理解できていない
減価償却が理解できない
次回は、
なぜ利益が減るのに現金は減らないのか
従業員が勘違いしやすい核心を解説します。
