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【ティータイム】デイドリーム③

(注)本稿は、最後にはスッキリした気持ちで笑っていただくべく、書いたものですが、前段で、パワハラ関連のリアルな重々しい内容が続きます。
もし、そのようなものを読まれる気分にない方は、ここで引き返していただけたらと思います。
よろしくお願いします。


大事な会議に向けて、資料を作成するため、部下職員と打合せ中。

「じゃあ、そういうことで。
会議は来週の金曜日やから…、僕もチェックしたいし、遅くても、来週の水曜日までに資料案を作ってくれるかな?」
「…。」
「よろしく頼むな。」


翌週水曜日、待てど暮らせど、資料案は出て来ない。
そのまま、とうとう、終業時間を迎えた。
すると、部下職員から、何の声掛けもないまま、メールが届く。
メールを開くと、添付ファイルが付いている。
すぐに、ファイルを開き、確認する。
僕がそんなことをしている間に、部下職員は何の挨拶もないまま、帰り支度を済ませ、職場を出ていく。

メールには、作成を頼んでおいた資料案が添付されていた。
しかし、全く使い物にならないような、お粗末なものだった。
僕は、一から資料を作らねばならないレベルだと思った。
もう、部下職員に資料の作り直しをさせている時間はないと判断し、仕方なく、僕が一から資料を作成した。

それにしても、こんな低レベルの資料案しか作れないのなら、もっと早くに相談するなり、資料案を見せるなり、して欲しかったと、内心、イライラした。


会議当日、僕は自ら作成した資料を配付し、説明した。
部下職員は、自分で作った資料案のレベルが低かったことを認識したと思うが、申し訳なさそうな素振りを見せるでもなく、不機嫌そうに資料を睨んでいた。

そして、会議が終わると、僕に一瞥もくれず、サッサと会議室を出て行った。
僕も、その後、職場へ戻ったが、部下職員は何事もなかったかのように平然と座って、スマホを触っている。

この間のことで、僕はかなり腹に据えかねていたが、ここで厳しい指導をすると、このご時世、パワハラと言われかねないので、グッと我慢をした。


後日、次の会議の予定が決まった。

前回のことが頭をよぎり、僕はあまり気が進まなかったが、他にしなければならない仕事もあり、また、かの部下職員の人材育成も担う立場でもあるので、再び、部下職員と打合せをし、資料案の作成を指示した。

しかし、今回も、提出期限の日の終業時間になり、メールで作成した資料案を送り付け、部下職員はサッサと帰って行った。

今回も、僕は残業をして、その資料案の確認をしたが、あまりに酷い出来である。

今回は、前回のことを教訓に、提出期限を2日ほど前倒ししていたので、僕がその日に残業し、急いで新たに資料を作成する必要はなかったけれど、さすがに、これは、指導をしなければならないと心に決めた。


翌朝ー

僕は部下職員を会議室に呼んだ。
部下職員は、面倒臭そうな、不機嫌な、そんな様子で、僕の後に着いてきた。

僕は、パワハラと言い掛かりを付けられることを恐れ、極力、平静に話そうと、心に決め、諭すように話しをした。

「資料、作ってくれて、ありがとう。
確認させてもらったけど、ちょっと足りてないかな?
僕が参考に渡した資料、ちゃんと見て作ってくれたんかな?」
「…。」
「打合せの時、これも入れておいてなって伝えたんやけど、忘れてた?」
「…。」
「そう、だんまりされたら、あなたの考えていることとか、わからへんよ。
一緒に仕事してるんやし、もう少し、ちゃんと、コミュニケーション取ろうや。」
「コミュニケーションとか言うんなら、なんで、前回の会議、私が作った資料を使わずに、ご自分で作った資料を使ったんですか?
先に、それを説明して下さい。」
「あぁ、前回のね。
作ってくれた資料を確認させてもらったけど、僕が頼んでおいた部分も抜けてたし、他にも、足りてないところが、多々、あったんで。
あなた、すぐに帰ってしまったし、時間もなかったから、作り直したんや。」
「すぐに帰ったのがダメだったんですか?
残業しろってことですか?」
「出してくれたんが、あまりにギリギリやったから、時間もなかったし、直接、説明してもらって、内容を確認させて欲しかったかな。
仕方なく、あの日、僕は残業したんやで。」
「なんですか、私に謝れって言ってるんですか?」
「謝れとは言わないけど…、頼んだ期限のギリギリで、何の説明もなく、メールで送り付けるのは、如何なものかとは思うよ。」
「謝れって言ってるようなものじゃないですか?
それより、私が作った資料を使わなかったことに、一言、あってもいいんじゃないですか?」
「謝れとは言ってないし、僕があなたの作った資料を使わなかった理由も、今、伝えたつもりだけど。
でも、メールを送る時も、帰る時も、一言もないし、資料も抜け抜けで足りてないし、それもギリギリでしか出してこないし。
こんな仕事のやり方をしていたら、次の職場に移ってから、困ることになると思うから、話してるんやけど。
あなたのキャリア形成を考えたら、このままではいけないと思うから、厳しいことを言っているように聞こえるかもしれないけど、こうして伝えてるんやけどなぁ。」
「私はちゃんとやること、やってますから、そんなこと言われる筋合い、ないと思いますけど。」
「あのさぁ、やるべきことができていないから、こうして話してるんじゃない?
今回の資料も見せてもらったけど、僕が頼んでおいた別添資料がまるまる一枚、抜けてたし。
別添資料も、ちゃんと、参考資料を渡して、これを参考にしてって伝えたけどなぁ。」
「わかってますよ。」
「わかってる!?
わかってるんなら、資料、もう、作ってるんかな?」
「まぁ。」
「それなら、その資料、どこにあるの?」
「頭の中にあります!」
「…、いや、あの、頭の中にあっても、資料にしてもらわんと、わからんやん。」
「どうせ、また、私が資料を作っても、ご自分で資料を作って、使われるんですよね!?」
「だから…、資料を作るのに、わからないことがあれば、聞いてくれたらいいし、悩んでるんなら、早めに相談もして欲しいし。
全然、何も言ってくれんから、作業状況もわからへんし、時間がなくなってから出されて、資料が会議に出すレベルになくても、あなたが帰ってしまって、職場にいなかったら、僕が作らな、しゃあないやん。」


こんなストレスばかりが溜まるやり取りが続いたが、話は平行線のまま。
僕も、大概、我慢の限界に達していたので、そのまま、話を打ち切った。


すると、その一週間後、急に職場のコンプライアンス担当者に呼び付けられた。
個室で、あれこれヒアリングをされたのだが、どうやら、かの部下職員が、僕からパワハラを受けていると相談したようだった。


さらに、その数日後、今度は上司に呼び付けられた。

「君、部下職員になんかキツいこと、言ったり、指示したり、してるんか?」
「いや、僕はそんなこと、してないです。
ただ、職員として、足りてないことや正すべきことを適正に指導しただけで…。」
「あのなぁ、受け手がパワハラやと思ったら、それはパワハラになるんやで。」
「…、まぁ、内容的に、どうしても厳しいことは伝えましたけど、怒鳴ったり、人格を否定するようなことを言ったりはしていません。
あくまでも、諭すように話しをしていますので、それをパワハラだと言われましても…。」
「とにかく、君は上司なんやから、何とかしいや。
パワハラが問題になるようなこと、絶対、するなよ。」
「…、はい、わかりました…。」


もう、僕は我慢の限界だった。

上司の部屋を出ると、すぐ、スケッチブックにペンを走らせ、同じ室内で仕事をしているあの男に高々と掲げて見せた。


入ってー


すると、あの男は、スッと席を立ち、僕の部下の方へと歩いて行った。


おい、てめぇ!
部下のクセして、上司に反抗してるらしいじゃねえか?
お前、何様なんだよ、えっ!?
やることもやらないくせに、反抗だけ、いっちょ前にしやがって。
メールを送ったら、「送りました」、帰るんなら、「帰ります」ぐらい、言うだろうが、普通。
何のために、その口、付いてんだ、あぁ!?
文句だけ言うために付いてんなら、そんな口、要らねぇんだよ!
縫い付けて、一生、しゃべれないようにしてやろうか、え!
てめぇみたいなヤツがパワハラ訴えるなんて、百年早えぇんだよ!
お前には、いつか、むちむちプリンたまご責め、喰らわしてやるから、暗い夜道を歩く時は、せいぜい、周りに気を付けながら、ビクビクしてるんだな!


怒鳴り散らすだけ怒鳴り散らした小峠が、チラリとこちらを見たので、僕は微笑みながら、小さく手を叩いてみせた。

小峠は、ツルピカの頭に汗を浮かべ、ぜえぜえ言いながら、右手を軽く上げて応えた。

僕は、僕を説教した上司の方へ行くよう、アゴをしゃくって、促した。

小峠は、「え〜っ!?」と言わんばかりに、一瞬、顔をしかめたが、口元に酸素吸入器を当て、歩き出した。


小峠は、上司の部屋の扉を、ノックもせず、勢い良く開けて、つかつかと入って行った。


おい、てめぇ!
パワハラすんなとか言う前に、状況、確認してんのか?
あぁ?
お前も上司なんだから、管理する責任があるんだよ!
わかってんのか、えぇ!?
大体、お前がやった人事のせいで、こうなってんだろうが?
お前が、ちゃんと、落とし前、付けることだろうがよ!
部下に全部押し付けてる、お前のやってること自体がパワハラだからな?
出るとこ、出てもらうから、覚悟してやがれ!
わかったな、この薄汚い野郎が!


小峠は、一頻り、まくし立てると、上司の部屋の扉を勢い良く開け、出てきた。

すると、僕の部下職員が、早速、泣きついたのだろう。
部屋の前で待ち構えていたコンプライアンス担当者が小峠の腕をつかみ、ハッキリと、こう告げた。
「えらく派手にパワハラしたらしいな。
話を聞くから、こっちに来い。
小峠、完全にアウトだから、覚悟しとけよ。」

小峠は、息を切らし、酸素吸入器を口に当てながら、そのまま、捕らえられた宇宙人のように、連れ去られていった。
小峠は、心なしか30歳ばかり老けたように見えた。


なんて日だ!!

会議室に入ろうかという時、小峠の悲痛な叫び声が部屋中に轟いた。



ここに書いた上司や部下の行動や言動は、僕が当事者の一人として、実際に職場で見聞きした事実を基に再構成したものです。

こうした事態に陥ったのは、一緒に仕事を始めた当初より、上司と部下の相性が悪かったことに起因していると思われます。
さらにいうと、部下職員の方の問題が、より大きかったと思っています。

こんな経験もあり、僕は職場で最も大変なのは人間関係だと実感しているのですが…。

社会人の方でも、学生さんでも、どなたでも、同じではないかと思うのですが、あなたは、どうお考えですか?

僕が本稿で書いたような状況に直面したら、あなたなら、どうされますか?


長文となりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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