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“常識”という名の落とし穴

櫻坂46や日向坂46の「ツアーの裏側」みたいな動画を観ていると、よく、ライブ終了後に、メンバーの皆さんが、氷水に足を突っ込んで、キャーキャー笑顔で騒いでいる場面が映し出されます。

いわゆる“アイスバス”というものらしく、激しい運動後の筋肉の炎症の予防、疲労の回復、筋肉痛やむくみの軽減に効果があるとのことです。


ところで、肩が痛い、腰が痛いといった時に、温湿布を貼った方が良いのか、冷湿布が良いのか、悩むことはありませんか?

血流が悪くて肩が凝ったという時は温湿布、炎症を起こして腰が痛いなら冷湿布、みたいなことは何となくわかるのですが、素人では、どちらが原因なのか、よくわからないということもありますよね。


温めるのが正解か、冷やすのが正解かー


僕が少年の頃、野球中継を視ていると、よく、降板したピッチャーがベンチに下がり、アメフト選手張りにゴツい服を着ていました。
解説者やアナウンサーは、
「肩を冷やすのは良くない。」
という理由から、肩を温めているのだと話していました。

僕は、見慣れた光景に、何の疑いもなく、
「肩を冷やすのは、よくないんやぁ。」
と思っていましたし、僕に限らず、誰も、冷やすという発想はなかったと思います。


それが、数十年後の今では、アイスバスに足を浸けるのが正解とされています。


常識が180度ひっくり返った訳です。


同じく、僕が少年の頃、日本には世界一強いマラソンランナーがいました。

瀬古利彦さん。

宗兄弟やイカンガーといった強力なライバル達がいましたが、後半、一気に突き放して、そのまま、ゴールするんです。
僕と同世代の方なら、わかっていただけると思いますが、瀬古さんは本当に強かった。

そんな瀬古さんが1984年、ロスアンゼルスオリンピックに出場しました。

日本人は、誰しも、瀬古さんが金メダルを取ると信じて疑わなかったのではないかしら?

しかし、結果は、誰もが目を疑うような惨敗(14位)。

瀬古さんは、8月の暑いオリンピックに向け、万全を期すため、涼しいグアムやニュージーランドで徹底的に走り込んだらしい。
そして、マラソン前日に現地入りしたそうです。

その時の瀬古さんはといえば、極度の疲労により、血尿を出していたのだとか。

完全に調整失敗です。
金メダルが期待されていた選手の調整ですから、当然、最新の知見に基づいて、計画立てて、調整されたことと思いますが。

最新の知見と言いながら、昭和のスポ根の延長で調整してしまったんだろうなぁと推測してしまいます。

それにしても、血尿が出るほど、疲労困憊でオリンピックに臨むなんて、今では考えられないことだと思います。


なお、瀬古さんは、事、オリンピックに関しては悲劇のランナーでした。

瀬古さんはロス五輪の前の大会、1980年モスクワ五輪にも出場する予定でした。
しかし、ソ連のアフガン侵攻を受け、日本政府は五輪出場をボイコットし、涙を飲みました。

この年の12月の福岡国際マラソン。
瀬古さんは2時間9分台の堂々たるタイムで、モスクワ五輪の金メダリストを破り、福岡国際三連勝を飾っているんです。


瀬古さんは、ロス五輪の次のソウル五輪にも出場しましたが、結果は9位。

瀬古さんは世界一強いにも関わらず、オリンピックでは全くメダルを手にすることはありませんでした。


歴史に“もしも”はない、と言いますが、
もしも、日本政府がモスクワ五輪をボイコットしなければ、
もしも、瀬古さんが現代的な調整や現地入りの日程でロス五輪に臨んでいたら、
もしも、五輪2連勝でソウル五輪に臨んでいたら、
結果は全く違ったものになっていたことと思います。

この点、オリンピックに限っていえば、瀬古さんは“無冠の帝王”だったと思います。


瀬古さんの話が長くなりましたが、僕たちが常識だと思っていることって、意外なほど簡単に書き換えられるんです。


例えば、僕の学生時代、大化の改新は中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我入鹿を討った政変と習いましたが、先日、NHKの「歴史探偵」を視ていたら、その後も続く改革のことも含めて大化の改新というのだと説明していました。

例えば、戦後の日本では人気の就職先の一つに造船業が挙げられていました。
一時期、それも、かなり長い間、日本は新造船の建造量の世界シェアでトップの地位にありました。
しかし、現在、造船業が人気の就職先として挙げられることって、ほぼ聞かないのではないでしょうか?


例えば、僕の子供の頃、建築現場では、普通に、石綿、つまりアスベストが“夢の素材”(安価で、耐火性、断熱性、保温性、防音性、吸音性、耐久性、電気絶縁性等の優れた特性を有し、しかも、加工しやすい)として使用されていました。
しかし、その後、肺がんや悪性中皮腫等の健康被害を生じることが判明し、今では原則として使用が禁じられています。


例えば、玉子。
コレステロールが高いから食べ過ぎたらダメと言われていた時期も、完全食品だから、いくら食べても良いと言われていた時期もあったのではなかったでしょうか?


常識を疑え。


世界で最も有名な科学者であるアインシュタインは
「常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションだ。」
と切り捨てたし、
マネジメントで有名なドラッカーは、そのものズバリ、
「常識を疑え。」
とイノベーションの重要性を説いています。


僕は、自分のことを常識人だと思い、常識ある立ち居振る舞いをする人間でいたいと思っています。

しかし、上述したいくつかのエピソードは、常識を信じ、思考停止したまま受け入れることの危険性を示唆しているのではないでしょうか?


皆さんは、これを読まれて、何か思うところはありましたか?


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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