ワンクリックで買物ができる便利な社会の未来 〜実店舗と通販の今後と最悪のシナリオ〜
推し活をする僕にとってCDショップは欠かせない。
本屋さんも、とても身近な存在だ。
しかし、この十年ほどだろうか、僕が日常使いしていた店鋪が次々に閉店してしまった。
インターネットが普及して以降、アマゾンや楽天といった通販サイト大手が台頭し、実店舗よりも通信販売で買物をすることが圧倒的に増えてきた。
皆さんも、恐らく、同じだろう。
僕は大阪に住んでいて、比較的、都会の方で生活しているように思うが、こうした人口が多いエリアでも、実店舗が苦戦をし、淘汰されつつある。
僕の生活圏では、本屋さんやCDショップ等が目に見えて減少し、HMVやTSUTAYAといった全国的にチェーン展開している企業の店舗へ行くのも一苦労している状態だ。
大阪駅という西日本随一の乗降客数を有するターミナルの周辺でも、以前はタワーレコードが2店鋪あったのだけど、1店鋪はテナントとして入っていたマルビル自体が老朽化して、解体されてしまい、残る1店鋪は2フロアを1フロアへと規模を半減させてしまった。
実際にアーティストを呼んでイベントを行っているような、そんな大規模店鋪ですら、そんな状況だ。
まして、単に本やCDを特典も付けられずに販売している中小規模の実店舗は、価格競争でも、利便性でも、通販サイトに勝ることが難しく、結果、上述したような状態が進みつつある。
考えてみれば、当然の流れではある。
実店舗はできるだけ人が多く訪れる都心やその周辺に立地するのが望ましい。
けれども、そんな場所では、地価が相対的に高く、大規模に床を確保するのが難しく、限られた店鋪規模では入荷できる商品の量も限られ、結果、品揃えが限られ、価格もそれほどディスカウントすることができない。
通販大手は、地方都市に大きな倉庫を確保でき、一つの倉庫で品揃えを完備せずとも、どこかの倉庫に在庫があれば対応でき、それこそ、世界中の顧客を相手に受注することも可能である。
そして、早ければ、注文した翌日にも商品が届いたりする。
また、実店舗であれば、商品の納入に、製造元から卸問屋を介して小売業である実店舗というルートを通るので、卸問屋で中間マージンが発生し、その分、ディスカウントできる巾が限定される。
しかし、大量に売り捌く通販大手は、メーカーに対して強い立場にあり、大量に納入する見返りなどに、メーカーからの納入単価を引き下げてもらうことができ、結果、実際に比較的安価に納入することが可能になる。
横道に逸れるが、日本は、かつて、家電メーカーが世界的にも強かった。
パナソニックやソニー、三菱電機、シャープ、日立製作所などなど、世界的にも名の通った企業は枚挙にいとまがない。
けれども、皆さんもご存知のとおり、これらのメーカーは随分衰退してしまった。
中には外国資本に身売りをしてしまったメーカーもある。
日本の家電製品は、高性能で、丈夫。
また、昭和の頃は、日本の労働力は世界的に安く、価格競争力もあった。
これまでになかった新しい機能を持つ製品を市場に提案するといった強みも有していた。
例えば、ソニーがウォークマンを生み出した時には、コンパクトでどこにでも持ち運べ、しかも、高音質。
それまで、大きなラジカセを肩に担いで持ち運ばねば、外出時に音楽を楽しむことは難しかったことから、その革新性がウケて、一気に普及し、新しい市場を開拓した。
けれども、そんな日本の冠たる家電メーカーがかつての勢いを失ってしまっている。
一つは、日本メーカーが利便性を追求するあまり、様々な機能を付加する深みにハマってしまったこと。
中には、過剰サービスとなってしまうような機能も多く、求められていないのに、商品の価格を押し上げてしまった。
そんな中、例えば、韓国の家電メーカーは、シンプルで安価、さらには、様々な色を選べたりするような、価格をそれほど押し上げないオプションでも魅力付けした。
加えて、日本では賃金レベルが上がり労働力が高くなってしまった一方、韓国では、まだ、比較的安価だった。
こうした状況があり、世界市場では、日本のメーカーはシェアを縮小し、韓国メーカーが幅を利かせるようになってしまった。
そして、国内市場に目を向けると、家電量販店の台頭が大きく影響することとなった。
商品を大量に売り捌いてくれる家電量販店は、メーカーにとって有り難い存在ではあるが、そのために家電量販店とメーカーの間に力関係ができてしまった。
家電量販店は、商品を大量に納入し、販売する代わりに、納入単価を安くさせ、それで販売価格をディスカウントした。
(以前、家電量販店が半強制的に納入価格を引き下げさせていたことが問題となり、ニュースで取り上げられていたのを見たことがあった。)
すると、メーカーが希望する価格よりも安価でしか商品が売れないこととなり、結果、メーカーが売りたい価格よりも市場での価格が安くなってしまった。
メーカーは、品質の良さを付加価値として、価格を高額でも売れるようにし、メーカーのブランドイメージも、高級感も、維持したかったハズなのだが。
こうしたことから、あれほど世界をリードしてきた日本の家電メーカーが弱体化してしまった訳だ。
話を元に戻す。
僕は、どうしても、推し活絡みでCDショップや本屋さんに関心が寄りがちであるが、衣類メーカーについても、こんな話を聞く。
洋服は試着しないと、サイズやデザインが自分にフィットするのか確認できないため、比較的、実店舗へ足を運ぶだけの理由のある業態である。
なので、そこで、商品を買ってもらえれば、通販サイトと対抗できる面はあるのだと思う。
しかし、顧客の中には、実店舗で試着して、確認をしたうえで、通販サイトでその商品を購入するということをする人がいる。
実際に、少なからず、そんな話を耳にしてきたので、意外にそういうことが多く行われているのだろう。
そんなことをされてしまうと、アパレルショップは当然苦戦せざるを得ない。
このように、実店舗の経営環境はとても厳しい状況にあると言わざるを得ない。
一方の通販サイトは品揃えが良く、価格も安く、何より、自分で出掛ける必要がなくなり、便利だという点で、死角はなさそうに見える。
そして、そんな便利な通販生活を支えているのが物流を支える宅配業である。
しかし、近年、宅配業もだんだん厳しい状況になりつつある。
少子高齢社会となり、労働力人口が大きく減少し、宅配を行う運転手の確保が難しくなりつつある。
加えて、働き方改革が推進され、個々の運転手が働くことができる時間が制限されてしまった。
これは余談だが、東京や大阪等のホテルの宿泊料金がインバウンドの影響もあり、大いに高騰する中、夜中に移動できる高速バスが人気しつつある。
公共交通自体が乗降客数の減少傾向が何十年にも亘り継続する中で、バス会社も苦戦を強いられてきた。
そんな中、千載一遇のチャンスの時期を迎えているのだ。
しかし、バス会社も、宅配業同様、運転手不足がネックになり、反転攻勢ができずにいる。
話を戻すと、宅配便では、置き配や宅配BOXの設置など、効率化を進めてはいるものの、このまま労働力人口の減少が続くと、運転手の確保はますます厳しくなる。
そんな中で、ドローンによる宅配なども試みられつつある。
けれども、現状、ドローンは不特定多数が生活をしている街中で飛ばすことはできず、飛ばす場合にも、原則、許可を得て、必ず人間がドローンが飛んでいるのを目視確認できるようにしなければならない。
今後、ドローンの技術が高まり、落下して事故を起こすような懸念が著しく低減したとしても、宅配のニーズを吸収できるほどにドローンを飛ばすことは、まず、あり得ない。
こうして見てくると、実店舗は減少する一方、通販は物流に起因し、今後、輸送料が高額になったり、まとめて、何日かに一度の配送しかできないなどといった未来も満更ない話ではなさそうである。
こうなると、僕達は、今後、実店舗はないし、通販も高かったり、なかなか商品が届かないなど、利便性は大きく減じるし、と八方塞がりに陥っていく、暗い未来もあり得るのではないかと考えてしまう。
僕は、以前、地方都市の高齢者を中心に、買い物難民の話について投稿したことがある。
しかし、地方都市の高齢者に限らず、全国民が、濃淡はあれど、買い物難民という問題に直面する未来があるのかもしれない。
長文になってきたので、本稿はそろそろ締めたいと思うが、その大きな一因に、高市首相の「働いて、働いて、働いて、働いて、働きます。」が流行語に選定され、再び、議論を呼んでいるが、働き方改革があるように思う。
特に、この1、2年、国民は物価の高騰に大変な状態に置かれている。
そんな中、働き方改革により、労働時間に制約が設けられている。
働き方改革は過労死やブラック企業等に起因して法制化されたものだが、健康で、生活のために、まだまだ働きたいという人も少なからずいるはずだ。
働き方改革は、厚生労働省の視点から企図されたものだろう。
しかし、経済産業省を始めとする他の省庁の視点からは、本音では、働き方改革は違うものとして見えているのではないか?
そして、こうした省庁間の縦割りを越えて、トータルで最適解を考え、対応できるのが政治だと思う。
もちろん、過労死や闇残業などは解消されるべき大事な課題だ。
しかし、その対策としての働き方改革は、一面的な課題への対応策でもあると思う。
全国民が買い物難民にならないようにするためにも、政治には、省庁より一歩高い視点から日本社会を俯瞰し、全体最適となる対策を真剣に議論してもらいたいものだ。
今回は、実店舗の置かれた状況や、通販の直面している課題を明らかにし、今後、多くの国民が買い物難民問題に直面する懸念を論じてきた。
皆さんは、この問題について、どのように考えますか?
こうすれば良いのに、みたいな解決策のようなアイデアは、何かありそうですか?
長文になりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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