鉄との戦い 第2話:継ぐための修行じゃなかった
第2話:継ぐための修行じゃなかった
これは“鉄との戦い”という物語です。 父から継いだ町工場、引き継ぐことの葛藤、家族との衝突、自分の無力さとの戦い──。 これは、ただの事業承継の話ではありません。 “自分とは何か”を問い直した、ひとりの男の人生の記録です。
第2話:継ぐための修行じゃなかった
飛び出したあとは、金型職人を目指して修行に出た。
最初から3年という約束だったけど、最後までは続けられなかった。
理由はいろいろある。
仕事の厳しさも、設備の不足も、気持ちの面でも――
それでも、あの頃は“金型職人としてやっていく”という気持ちが強かった。
でも、父の工場に戻ったところで、金型をやる設備なんてなかった。
積み上げた時間は“なかったこと”にされた。
そのとき俺は、もう一度あの空気に触れてしまった気がした。
“やっぱり俺はここにいてはいけない”
そう思って、別の世界を探した。
経理の仕事についた。
職場には年の近い仲間がいて、話も合った。
昼休みにはたわいない雑談ができて、
誰かと笑う時間が自然にあった。
職人の世界は、親ぐらい年の離れた人たちばかりで、正直、息苦しかった。
給料はだいぶ安くなったけれど、あの窮屈な空気から解放されたことで、
自分が少しずつ呼吸を取り戻していくのがわかった。
【あとがき】
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この物語は、私自身の経験をもとに描いています。 父から受け継いだ工場、うまくいかない家族との関係、仕事と感情のはざまで、何度も立ち止まりました。
描くことで、少しずつ自分の気持ちと向き合えるようになりました。 このマンガが、誰かにとって「自分を見つめるきっかけ」になれたら幸いです。
【著者紹介】
鍛冶川 湊(かじかわ・みなと) 小さな町工場の二代目。継いだ工場で、人生と向き合う物語『鉄との戦い』を書いてます。実話ベース。ゴルフとプロレスが好き。noteで毎週更新予定。
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