見出し画像

サブ連結×API連携のループモデルによる連結決算の効率化―グループ全体を“つなぐ”ための設計思想

こんにちは!「マネーフォワード クラウド連結会計(以降“クラウド連結会計”)」のプロダクトマネージャーをしている、HORI です。

主にクラウド連結会計の「仕様の背景」を不定期で連載しています。(たまにキャンプとかスキーの記事も混ざってますが、難しい記事の合間のアイスブレイクとしてお楽しみください)。

こだわり仕様シリーズ第19回

クラウド連結会計では最近、XeroやQuickbooks Onlineといった他の会計システムとのAPI連携を進めています。これについても別途、工夫している点などの解説をしたいのですが、第19回となる今回はAPI連携機能をさらに強化すべくリリースしていた「クラウド連結会計からクラウド連結会計へのAPI連携」について解説したいと思います。
「連結会計から連結会計?どうゆうこと?」と思われる方がいるかもしれませんが、グループでサブ連結子会社がある場合や、サブサブ連結みたいな複雑なグループ構造がある場合には「こんな解決方法があるのか!」と感じていただけるような機能になっています。(特許出願済み)


1. グループ経営の「多段構造」が生む悩み

まずはこの機能の前提となっている背景から説明します。
実は、多くの企業グループは「親会社-子会社-孫会社」という多層構造を持っています。
親会社は子会社を連結し、子会社は孫会社を連結する。この“連結の中に連結がある”状態を連結会計業界では「サブ連結」と呼んでいて、割とよくある実務上の対応論点になっています。
ところが、連結会計のシステムは、ほとんどが「1段階の連結」しか想定していません。そのため、子会社や孫会社の連結作業はシステム外――つまり 表計算ソフトに戻ってしまうということが多発しています。
(全社、フラットな子会社とみなして連結するフラット連結という実務上のテクニックもありますが、その場合、サブ連結数値は別途作る必要があります。)

サブ連結はシステム化から取り残されることが多いです

2. 「単体会計 × 連結会計」のAPI連携の残課題

クラウド連結会計では、「単体会計システム」と「連結会計システム」をなるべくAPI連携でつなげるようにしています。(2025年10月時点では自社のクラウド会計とクラウド会計Plus、他社とのAPI連携としてはfreee、Xero、Quickbooks Online という5つの会計システムとAPI連携をしています。今後も拡充予定となっています)
API連携でデータ連携ができるようになると、

  • 会計システムから財務諸表を出力

  • Excelの連結パッケージに転記

  • メールで回収

  • 連結システムで取り込み

とゆう煩雑なステップがボタン一つで完了することになり、利便性が向上するだけでなく、人手による作業ミスの削減で正確性の向上にも寄与します。また、常にデータを確認できるようになるので作業が進めやすくなるだけでなくガバナンスの向上にも寄与する機能となります。

ただ、単体会計システムとのAPI連携を拡充することで解決できるケースは実は単体から連結までの1段階のケースだけでした。
グループの中で「連結から連結」へデータを渡すことは、まだできませんでした。

API連携の利便性は高いのでカバレッジ向上中ですが、逆にサブ連結が課題として残る状態

3.「クラウド連結会計 → クラウド連結会計」をつなぐ

そこで考えたのが、API連携のループモデルです。つまり、連結会計同士を直接つなげる仕組みです。
子会社が作ったクラウド連結会計が作ったサブ連結の結果を、そのまま親会社のクラウド連結会計がAPI経由で取得できるようにするのです。
これにより、孫会社 → 子会社 → 親会社の流れをすべてAPIでつないでいくことができます。
表計算ソフトでの連結結果のインポートを前提とすることなく、多階層の連結決算をクラウド連結会計上でつなげていくことが可能となり、理論上は何階層であってもクラウド連結会計上で表現することが可能となります。

理論上は何段階でもAPI連携を繋げられます

4. 実現のための設計と工夫

もちろん、一言に「つなぐ」と言っても単純な話ではありません。
それぞれの連結決算で使っている通貨や勘定科目が違うため、連結会計ループでのAPI連携を成り立たせるには、いくつかの設計上の工夫が必要でした。

  • 会社ごとにAPI連携の方法を切り替え可能に
    子会社では会計システム、サブ連結子会社ではクラウド連結会計を選択できる、という感じで会社ごとに連携対象を選択できるようにしています。

  • 連結結果を「残高試算表」として扱える形式で受け渡し
    実はここが一番大きなポイントなのですが、「連結精算表」を「残高試算表」とみなしてインポートしています。
    クラウド連結会計では残高試算表の定義を
    ・インポート対象の会社の残高を網羅したもの(貸借対照表科目と損益計算書科目の両方が含まれる)
    ・貸借がバランスしている
    ・科目体系は子会社の体系(親会社とは異なる)
    という前提で考えていて、実はサブ連結会社の連結結果のBS科目とPL科目を並べると「単体会計システムの残高試算表と同じ形式」になるのです。

  • 連結通貨や小数点桁数を柔軟に設定可能
    サブ連結は実は海外子会社が多いです(アジア地域の統括子会社がシンガポール、北米地域の統括子会社がアメリカ、欧州の統括子会社がオランダ、というようなケースが多い)。そのため、サブ連結を実現すること自体は外貨でできる必要がありました。
    実はグローバル対応したときに、ここまで見据えて対応をしていました。そして、外貨の連結結果をインポートして親会社の通貨で換算する機能は連結としては一般的な機能ですので、その点も対応済みであり、今回の機能開発では既存機能を前提にして開発が可能でした。また、サブ連結子会社で連結科目が違う場合でも、そもそも子会社の科目は科目体系が違うことを前提に科目変換サポート(AIサジェスト付き)を持っているので、この点もスムーズに対応できます。

こうすることで、
親会社から見れば「単体会計システムのように扱えるサブ連結
・子会社から見れば、「配下のグループ会社の連結システムとしてフル活用できて転記なしで親会社に連携可能
という感じで、それぞれの立場でクラウド連結会計がフル活用できるようになる、という画期的なAPI連携機能になりました。

それぞれが自社に適した形で連結会計システムを使いつつ、連携も可能

5. API連携ループがもたらす未来

このループモデルが実現すれば、以下のようにグループ全体での連結会計の在り方が大きく変わってくると思います。

  • 表計算ソフト作業の撤廃

  • サブ連結の効率化、即時化、見える化(効率化とガバナンス強化)

  • 全世界のクラウド会計システムとのAPI連携

  • グループ会社の中に点在している連結会計の仕組みの統合

  • 連結人材のグループ内流動化

これらが実現すると、「グループ全体でつながる連結会計」が実現可能になり、グループ全体での決算早期化、工数削減、数値の正確性の向上、ガバナンスの向上が実現していきます。
従来の連結会計システムでは、親会社と子会社の関係に終始してしまっていたため、「グループ全体に散在している連結会計」に目を向けることが難しかったのですが、連結会計と連結会計をAPIでつなぐループ連携が実現できることで、全く違った発展性をもたらすことができると感じています。

6. 最後に

連結会計は、単に数字を合わせる作業ではなく、「企業グループを一体として見通すための仕組み」だと思っています。だからこそ、つながり方の設計はとても重要です。
サブ連結×API連携のループモデルは「サブ連結が生み出す業務課題」に、新しいつなぎ方を提示することで、単なる業務効率化を超えた価値を出せる機能だと信じて機能をリリースしています。
クラウド連結会計は、連結会計の現場課題に対して、こういったアイデア・工夫を凝らした機能を開発していき、連結決算の未来を変えていくことを目指しています。
連結決算業務に課題を感じている方は、下記リンクより一度弊社にご相談いただけますと幸いです。


※記載されている会社名および商品・製品・サービス名(ロゴマーク等を含む)は、各社の商標または各権利者の登録商標です。

いいなと思ったら応援しよう!