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【しまのこども】第18回 障がいのあるこども、医療的ケア児を地域で支える

こどもは一人ひとり違います。
得意なことも違う。
苦手なことも違う。
体の状態も違う。
発達のスピードも違う。
必要な支援も違います。

その中には、障がいのあるこどもがいます。
発達に特性のあるこどもがいます。
医療的ケアを必要とするこどもがいます。

たんの吸引、経管栄養、人工呼吸器、酸素管理、導尿など、日常的に医療的な支援を必要とするこどももいます。
そのこどもたちは、病院の中だけで生きているわけではありません。
家庭で暮らし、地域で育ち、保育園や学校に通い、友だちと関わり、遊び、学び、笑い、成長していきます。

だから、必要なのは「特別な場所に分ける」発想だけではありません。
地域の中でどう支えるか。
ここが大事です。

家族だけに背負わせてはいけない

障がいのあるこどもや医療的ケア児を育てる家庭は、多くの負担を抱えます。

通院。
リハビリ。
服薬。
医療機器の管理。
発作への不安。
夜間の見守り。
保育園や学校との調整。
きょうだいへの配慮。
災害時の備え。
親の仕事との両立。

これを家族だけで担うのは、非常に大変です。

特に母親に負担が集中することがあります。
仕事を辞める。
睡眠が削られる。
外出しづらくなる。
社会とのつながりが減る。
相談できる相手がいない。

こどもを大切に思うからこそ、親は頑張ります。
しかし、頑張り続けるにも限界があります。

家族の愛情を前提にして、社会が支援を後回しにしてはいけません。
「家族なんだから当然」という言葉は、ときに残酷です。

家族を支えることは、こどもを支えることです。

早期発見と早期支援が大切である

障がいや発達の特性は、早く気づき、早く支援につながることが大切です。

言葉がゆっくり。
視線が合いにくい。
音に敏感。
集団が苦手。
落ち着きがない。
手先の動きが不器用。
こだわりが強い。
友だちとの関わりが難しい。

こうした特性があっても、それがすぐに「問題」というわけではありません。
こどもには個性があります。
成長のペースも違います。

しかし、本人や家族が困っているなら、支援につながる必要があります。

早期支援は、こどもの困りごとを減らします。
親の不安も軽くします。
保育園や学校でのつまずきを小さくできます。

大切なのは、親を責めないことです。
「育て方が悪い」ではありません。
「この子に合った支え方を一緒に考えましょう」という姿勢が必要です。

保育園や学校に通えることの意味

障がいのあるこどもや医療的ケア児にとって、保育園や学校に通えることは大きな意味を持ちます。

学ぶ。
遊ぶ。
友だちと関わる。
集団の中で経験する。
自分の世界を広げる。
家族以外の大人と出会う。

これは、こどもの権利です。

一方で、受け入れる側にも準備が必要です。
医療的ケアに対応できる看護師や支援員。
教職員や保育士の研修。
安全管理。
緊急時対応。
バリアフリー。
個別の支援計画。
保護者との連携。

「受け入れたい気持ちはあるが、人も体制も足りない」という現場もあるでしょう。
その現実を無視して、現場に丸投げしてはいけません。

インクルーシブな社会をつくるには、理念だけでなく、人と予算と仕組みが必要です。
気持ちだけでは人工呼吸器の電源は確保できません。
ここは、かなり現実的に考える必要があります。

きょうだいへの支援も忘れてはいけない

障がいのあるこどもや医療的ケア児の家庭では、きょうだいも大切な支援対象です。

親の関心や時間が、どうしてもケアの必要なこどもに集中することがあります。
きょうだいは、それを分かっていて我慢することがあります。

「自分はわがままを言ってはいけない」
「親を困らせてはいけない」
「自分がしっかりしないといけない」

そう感じるこどももいます。

きょうだいがヤングケアラーになることもあります。
小さいころから手伝いをしているうちに、自分の時間や気持ちを後回しにしてしまう場合があります。

だから、きょうだいへの支援も必要です。
話を聞く場。
同じ立場のこどもと出会う場。
親と二人で過ごす時間。
学校での理解。
家族全体を支える相談支援。

家族の中で、誰か一人だけが我慢し続ける形にしてはいけません。

レスパイトはぜいたくではない

障がいのあるこどもや医療的ケア児を育てる家庭には、レスパイトが必要です。
レスパイトとは、介護やケアを担う家族が一時的に休息するための支援です。

「親なのに休むのか」と考える人がいるかもしれません。
それは違います。

休むことは、こどもを大切にし続けるために必要です。
親が倒れたら、こどもの生活も崩れます。
親が追い詰められれば、家庭全体が苦しくなります。

短期入所。
一時預かり。
訪問看護。
日中一時支援。
移動支援。
家事支援。
相談支援。

こうした支援があることで、家族は少し息をつけます。

レスパイトは、ぜいたくではありません。
家族が長く暮らし続けるための安全装置です。

離島では支援の届き方がさらに重要になる

沖縄では、離島のこどもたちへの支援も大きな課題です。

専門医が近くにいない。
療育機関が限られる。
訪問看護が不足する。
通院に船や飛行機が必要。
災害時や台風時に移動できない。
支援者が少ない。

こうした条件の中で、障がいのあるこどもや医療的ケア児を育てる家庭の負担は大きくなります。

だから、離島では特に、遠隔相談、オンライン診療、巡回支援、専門職派遣、交通費支援、宿泊支援、災害時対応が必要です。

本島と同じ仕組みをそのまま持ち込むだけでは足りません。
島の条件に合わせた支援設計が必要です。

「どこに生まれたか」で、支援の届き方が大きく変わってはいけません。

災害時の備えは命に関わる

医療的ケア児にとって、災害時の備えは命に関わります。

停電したらどうするか。
人工呼吸器や吸引器の電源はどう確保するか。
酸素は足りるか。
薬はあるか。
避難所でケアできるか。
移動手段はあるか。
台風で物流が止まったらどうするか。
支援者と連絡が取れるか。

沖縄では、台風、停電、断水、津波、地震、物流停止などのリスクがあります。
だからこそ、医療的ケア児や重い障がいのあるこどもの個別避難計画が必要です。

家庭任せにしてはいけません。
行政、医療、福祉、学校、自治会、電力、消防が連携して備える必要があります。

災害時に「想定外でした」では済みません。
命に関わることは、想定する努力が必要です。

地域の理解を広げる

障がいのあるこどもや医療的ケア児を地域で支えるには、周囲の理解も必要です。

「どう接していいか分からない」
「何かあったら怖い」
「特別扱いではないか」
「うちの子の学習に影響するのではないか」

こうした不安や誤解が生まれることがあります。

だから、地域や学校での理解教育が大切です。

違いがあること。
支援が必要なこどもがいること。
助け合うこと。
一緒に学ぶこと。
困っている人を特別扱いするのではなく、必要な配慮をすること。

こどもたちは、大人が思うより柔軟です。
大人が構えすぎると、こどもも構えます。
大人が自然に関われば、こどもも自然に関わります。

インクルーシブな社会は、制度だけではなく、日常の関係の中で育ちます。

支援する専門職を増やす

障がい児支援や医療的ケア児支援には、専門職が必要です。

看護師。
保育士。
教員。
相談支援専門員。
理学療法士。
作業療法士。
言語聴覚士。
心理職。
医師。
保健師。
介護職。
コーディネーター。

これらの人材が連携しなければ、家庭は支援の迷路に入ってしまいます。

特に重要なのが、コーディネーターです。
医療、福祉、教育、保育、家庭をつなぐ人です。

支援制度があっても、家庭が自力で全部調べ、全部申請し、全部調整するのは大変です。
支援をつなぐ人が必要です。

こどもを支えるには、専門職を増やし、専門職同士がつながる仕組みを整える必要があります。

地域で暮らすことを前提にする

障がいのあるこどもや医療的ケア児を支えるとき、大切なのは「地域で暮らすこと」を前提にすることです。

家にいる。
保育園に行く。
学校に行く。
公園に行く。
こども食堂に行く。
地域行事に参加する。
友だちと遊ぶ。
家族で外出する。

これらは、特別なことではありません。
こどもとして自然な暮らしです。

その自然な暮らしを支えるために、医療と福祉と教育があるべきです。

こどもを制度に合わせるのではなく、制度をこどもの暮らしに合わせる。
これが本来の支援です。

沖縄が目指すべき姿

沖縄が目指すべきなのは、障がいのあるこどもや医療的ケア児が、家庭だけに閉じ込められず、地域の中で育てる社会です。

親が孤立しない。
きょうだいが我慢しすぎない。
保育園や学校が受け止められる。
専門職がつながる。
離島にも支援が届く。
災害時にも命を守れる。
地域の大人が理解する。
こども本人が、自分らしく育てる。

これは、特別なこどものためだけの社会ではありません。
すべてのこどもにやさしい社会です。

支援が必要なこどもを支えられる地域は、他のこどもも支えられます。
弱い立場のこどもを取り残さない地域は、災害にも貧困にも強くなります。

障がいのあるこども、医療的ケア児を地域で支えることは、沖縄の地域力を試す課題です。

こどもは、どのような状態で生まれても、地域の中で大切にされる存在です。
その当たり前を、仕組みにすること。
それが、これからの沖縄に必要です。

次回は、「離島のこどもに同じ機会を届けるには」について考えます。

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