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【人生の栞】「行かない日」も、大事にしていい。――娘に贈る、有給休暇

こんにちは、てるてるです。

わが家には、ミニゴジラ(小2)と、よちゴジラ(1歳)の6歳差の姉妹がいます。

今回も、わが家の旅の思い出を、そっと小さな物語にして届けます。


1年生になったばかりの小さな肩には、新しいランドセルは少し重すぎたのかもしれません。

付き添い登校、離れない指先、そして流れた涙。

母と子の絆が強すぎるがゆえに、なかなか「その時」を迎えられなかった私たち親子の背中を押してくれたのは、夫の意外な「寄り道」でした。

今日は、私が娘に贈っている、年に数回だけの特別な「有給休暇」のお話をさせてください。


ほどけない、小さな指先

長女が小学1年生になった春。

その2ヶ月前に次女が誕生しました。

赤ちゃん返りと、環境の激変。

長女の心は、春の嵐のように不安定なまま入学の日を迎えました。

地域の登校班はあるものの、娘の不安は強く、私は付き添い登校をすることにしました。

登校班の列に混じり、片道2キロの道のり。

なかなかハードな運動です。

最初の1週間は校門まで。

次の週は「靴箱まで」。

少しずつ距離を縮めていくはずが、3週目の朝、娘は私の腕をぎゅっと握りしめて言いました。

「……教室まで、来て」

教室まで送り届けても、娘の指先は私の服を掴んだまま、離れません。

「ママがいい」

こぼれ落ちた涙に、胸が締め付けられました。


「陶芸」が連れてきた、思いがけない朝

担任の先生と目配せをし、後ろ髪を引かれる思いで教室を後にしました。

連絡帳には「お母様が帰られた後は、泣き止んで準備を始めました」との文字。

ああ、甘えさせてあげたいけれど、私の存在が逆に彼女を揺らしているのかもしれない。

そう思わずにはいられませんでした。

ちょうどその頃、夫は1年間の育休中。

翌朝から、思い切って付き添いを夫にバトンタッチしてもらうことにしました。

その日、帰りも夫が迎えに。

なかなか帰ってこない2人。

「道端の草花でも眺めているのかなー」と思っていたら、娘が満面の笑みで帰ってきました。

「パパと陶芸してきた!自分のお茶碗、作ったんだよ!」

学校のすぐそばに予約不要の工房があったらしく、2人は学校帰りに「寄り道」を楽しんできたというのです。

翌朝、2人は玄関を出て行きました。

ところが数分後、夫だけがひょっこり戻ってきたのです。

「え?学校まで歩かないの?」

「うん、集合場所でバイバイしてきたよ。」

驚きました。

あんなに離れられなかった娘が、パパとなら、あっさりと「外の世界」へ踏み出したのです。

母と子の絆は、強すぎるがゆえに、時に「離れる勇気」を鈍らせてしまうこともある。

今回は、夫という新しい風が、娘の背中を軽やかに押してくれたようでした。


頑張りすぎないための「有給休暇」

今ではもう、集合場所で「いってきまーす!」と元気に手を振る毎日です。

けれど、ごくたまに娘が「今日はお休みしたい」とこぼすことがあります。

具体的な理由は言いません。

ただ、心が物語の途中でふと立ち止まってしまったような、そんな朝。

私はそんなとき、娘に「有給休暇」を出します。

大人と同じ、いえ、大人よりずっと少ない、年に数回の特別な休暇。

1日中、家でゆっくりと心を充電すると、翌日にはまた何事もなかったかのように登校していきます。

これが教育として「正解」なのかは分かりません。

でも私は、「行ける日」と同じくらい、「行かない日」も大事にしていいのだと伝えたい。

手を離すタイミングも、立ち止まるタイミングも。

大人が無理に決めるのではなく、子ども自身が心の声を聞きながら決めていく。

親にできるのは、その決断を信じて、いつでも安心して本を閉じられる「背表紙」のような存在でいることだけなのかもしれません。

今、私の手元には、あの日娘が作ってきた少し歪(いびつ)な形のお茶碗があります。

それを見るたびに、あの春の、ちょっぴり切なくて温かな「自立の季節」を思い出すのです。


旅のおわりに

親の手を離れ、自分の足で一歩を踏み出す。

それは素晴らしいことだけれど、時には立ち止まってもいい。

人生という長い道のりの中では、栞を挟んで本を閉じる日があるように、心を守るためのお休みが必要な時もあります。

「行かない日」を認めることは、娘の「行きたい」という意志を信じること。

明日の朝、また「いってきます」と笑顔で扉を開けられるように。

私はこれからも、娘の心のカバンに、そっと1枚の「有給休暇」を忍ばせておこうと思います。

▶追伸。別の日の「栞」もココに置いておきますね。


▶今日の旅のページ、いっしょにそっと閉じましょう。
 また次のページも、ゆっくりめくりに来てください。

家族でつむぐ旅と日々の栞

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