精神障害者手帳2級で雇用保険360日になった話|退職して初めて知った「就職困難者」という扱い
会社を退職したあと、私が一番不安だったのはお金でした。
毎月入っていた給料がなくなる。
でも、
家賃。
食費。
光熱費。
通院費。
健康保険。
税金。
支払いは続きます。
「次の仕事がすぐに見つからなかったらどうしよう」
そんな不安を抱えながら、私はハローワークへ雇用保険の手続きに行きました。
そのとき、私は精神障害者保健福祉手帳2級を持っていました。
そして手続きを進める中で初めて知ったのが、
「就職困難者」
という雇用保険上の扱いでした。
私の場合は50歳。
雇用保険の被保険者期間は1年以上。
その結果、
所定給付日数は360日
になりました。
正直、最初に聞いたときは驚きました。
「360日もあるの?」
それまで私は、失業給付というのは90日とか120日程度だと思っていたからです。
精神障害者手帳は、ハローワークへ持って行った
雇用保険の手続きをするとき、私は精神障害者保健福祉手帳2級を提示しました。
厚生労働省も、障害者など就職が困難な人については所定給付日数が手厚くなるため、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などを持っている場合は、基本手当の受給手続き時に持参するよう案内しています。
私はこのことを、退職前には詳しく知りませんでした。
だから、
「手帳が雇用保険にも関係するんだ」
ということ自体が意外でした。
障害者手帳というと、
税金の控除。
公共料金や施設の割引。
障害者雇用。
そういったものを思い浮かべる人が多いかもしれません。
でも、雇用保険にも大きく関係する場合があります。
「360日」の理由は精神障害者手帳2級そのものではない
ここは誤解されやすいところです。
「精神障害者手帳2級なら、全員360日」ではありません。
雇用保険の所定給付日数は、
年齢。
雇用保険の被保険者だった期間。
離職理由。
そして、就職困難者に該当するかどうか。
などで決まります。
ハローワークの公式案内では、障害者等の就職困難者について次のようになっています。
45歳未満の場合、
被保険者期間1年未満なら150日。
1年以上なら300日。
そして、
45歳以上65歳未満の場合は、1年未満なら150日、1年以上なら360日。
私の場合は、
50歳。
被保険者期間1年以上。
精神障害者として就職困難者の扱い。
この条件だったため、360日になりました。
「就職困難者」と言われて少し複雑だった
私は「就職困難者」という言葉を最初に見たとき、少し複雑な気持ちになりました。
自分は、
「そんなに就職が難しい人間なのか」
と思ってしまったからです。
でも、転職活動をしていく中で、この制度がある意味も少しずつ分かるようになりました。
精神障害があると、
体調の波があります。
毎日同じ状態とは限りません。
フルタイム勤務が難しいこともあります。
仕事内容や人間関係によって、症状が悪化することもあります。
さらに、
自分の病気を面接で伝えるか。
障害者雇用を選ぶか。
一般雇用で働くか。
薬を飲んでいることをどう説明するか。
普通の転職活動とは違う悩みも増えます。
だから、再就職まで時間が必要になる人がいる。
そのための360日なのだと考えるようになりました。
360日あるから「1年間働かなくていい」ではない
ここも大切です。
所定給付日数360日というのは、
約1年間、自動的にお金が振り込まれる
という意味ではありません。
雇用保険の基本手当は、
働く意思がある。
いつでも働ける能力がある。
積極的に仕事を探している。
という「失業状態」にある人が対象です。
認定日もあります。
求職活動も必要です。
だから、
「360日もあるから、のんびりしよう」
という制度ではありません。
むしろ私は、
焦って合わない会社へ飛び込まなくて済む時間をもらえた
と考えています。
うつ病があると「早く就職しなければ」が危ないこともある
退職すると、どうしても焦ります。
収入が減る。
貯金が減る。
家族にも心配をかける。
求人を見る。
応募する。
不採用になる。
さらに焦る。
そして、
「もうどこでもいいから働かなければ」
という気持ちになってしまいます。
でも、うつ病がある場合、
仕事を見つけることだけを優先すると、また同じことを繰り返す可能性があります。
仕事内容。
勤務時間。
通勤時間。
人間関係。
体調への配慮。
長く続けられるか。
そういったものも考えなければなりません。
私は360日という期間を知ったことで、
「今日、明日で次の会社を決めなくてもいい」
と思えるようになりました。
これは精神的にかなり大きかったです。
「特定理由離職者」と「就職困難者」は別物だった
私は雇用保険について調べているとき、
「特定理由離職者」
という言葉も知りました。
似たような言葉なので、最初はよく分かりませんでした。
でもこれは「就職困難者」とは別です。
特定理由離職者とは、
なぜ会社を辞めたのか
という離職理由に関する扱いです。
ハローワークの公式案内では、正当な理由のある自己都合離職の中に、
体力不足。
心身の障害。
疾病。
負傷。
などによる離職も挙げられています。
一方の就職困難者は、
障害などによって再就職が難しい人に対する、所定給付日数の扱い
です。
つまり、
特定理由離職者=退職した理由
就職困難者=再就職の困難さ
と私は理解しています。
そして、私が360日になった直接の理由は、
特定理由離職者だからではなく、就職困難者として年齢・被保険者期間の条件を満たしたから
です。
ここは本当に間違えやすいところだと思います。
精神障害者手帳を持っているなら、必ず伝えてほしい
もしこれから退職してハローワークへ行く人で、
精神障害者保健福祉手帳を持っているなら、
私は必ず持参した方がいいと思います。
「障害者雇用で働くつもりはないから関係ない」
と思わない方がいいです。
一般雇用を探す場合でも、雇用保険の手続きでは関係する可能性があります。
ハローワークへ行ったら、
「精神障害者保健福祉手帳があります」
「就職困難者に該当しますか」
「私の所定給付日数は何日ですか」
と確認する。
私はこれが大切だと思います。
制度を知らないまま、
「自己都合だから90日くらいだろう」
と思い込まないことです。
360日あることが、心の余裕になった
私はうつ病を抱えています。
仕事を探していても、
「この会社なら大丈夫かな」
「また体調を崩さないかな」
という不安があります。
若い頃なら、
「とりあえず働いてみよう」
と思えたかもしれません。
でも今は、
一度大きく体調を崩したら、元に戻るまで時間がかかることを知っています。
だから、
どんな仕事でもいい。
正社員なら何でもいい。
給料が高ければいい。
とは思わなくなりました。
360日の給付日数があることで、
「急いで仕事を決める」より、「続けられる仕事を探そう」
と思えるようになりました。
これは、お金以上に大きかったかもしれません。
360日の場合、受給期間にも注意が必要
基本手当には「所定給付日数」とは別に「受給期間」があります。
通常、基本手当を受けられる期間は原則として離職日の翌日から1年間ですが、所定給付日数が360日の人については、受給期間が原則1年と60日とされています。
また、病気やけがなどで引き続き30日以上働くことができなくなった場合には、受給期間を延長できる制度もあります。
私は、
「360日あるから、いつまでも使える」
というわけではないことも知っておいた方がいいと思います。
障害者手帳を持つことに抵抗があったとしても
精神障害者手帳を持つことについて、
抵抗がある人もいると思います。
「障害者だと思われたくない」
「普通に働きたい」
そんな気持ちも分かります。
でも私は、
手帳は自分の可能性を狭めるものではなく、
困ったときに使える選択肢を増やしてくれるもの
だと思うようになりました。
使うかどうかは自分で決めればいい。
でも、使える制度を知らないまま生活を苦しくする必要はありません。
今回の雇用保険360日も、私にとってその一つでした。
まとめ
私は精神障害者保健福祉手帳2級を持っています。
退職してハローワークへ雇用保険の手続きに行ったとき、手帳を提示しました。
そして、
障害者等の「就職困難者」として扱われ、50歳・被保険者期間1年以上という条件から、所定給付日数360日になりました。
私は、それまでこんな制度があることを詳しく知りませんでした。
だからこそ、同じように精神障害があって退職する人には伝えたいです。
手帳を持っているなら、ハローワークへ持って行く。
自分が就職困難者に該当するか確認する。
所定給付日数を確認する。
離職理由についても確認する。
そして、分からないことは一つずつ聞く。
制度は、知っている人だけが偉いわけではありません。
知らなかったら、窓口で聞けばいい。
私もそうやって一つずつ知りました。
うつ病があっても、
すぐ次の仕事が決まらなくても、
人生が終わるわけではありません。
360日という期間は、
ただお金を受け取るための時間ではなく、
もう一度、自分に合った働き方を探すための時間
だと私は思っています。
焦らない。
でも諦めない。
以前と同じ働き方に戻れなくてもいい。
今の自分が続けられる仕事を探す。
私はそのために、この360日を大切に使いたいと思っています。
※この記事は私自身の体験と2026年8月10日時点の公的情報をもとにしています。精神障害者保健福祉手帳2級を持っているだけで、すべての人が必ず360日になるわけではありません。就職困難者への該当、所定給付日数、受給資格などは年齢・被保険者期間・個別事情によって異なります。必ず管轄のハローワークで確認してください。
参考URL
ハローワークインターネットサービス「雇用保険についてのよくあるご質問」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/help/question05.html
ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html
厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
ハローワークかごしま「障害のある方の職業相談・職業紹介」
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/roudoukyoku/hw/hw_kagoshima/syougai.html
