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大ゴッホ展で泣いてる人がいても優しく見守ってほしい

上野の森美術館で開催中の『大ゴッホ展』に行ってきた。

私は今年2月に原田マハ先生の『たゆたえども沈まず』という小説を読んでフィンセント・ファン・ゴッホのファンになった、ファン歴4か月程度の新参者である。

そんな私にとって今回の展覧会は、ゴッホという世界、そして印象派という世界により深く沼るには、あまりにも、あまりにもあまりにも効果的な展覧会であった。今回の展覧会の関係者の皆様、そしてゴッホの作品をこの現代にまで遺して繋いでくださった皆様、本当にありがとうございます。

※ここから色々ゴッホについて書くのですが勉強不足な部分が多く間違っていることもあるかもしれません。そっとご指摘いただけますと幸いです。

展覧会で、泣いたって、いいんだよ!!!!!

ゴッホといえば、「ひまわり」や今回のメインの展示「夜のカフェテラス」など色彩豊かかつ美しいモチーフの絵画が有名だが、彼が画家を志した当初の作風はそれとはまったく違った。

画家を志した頃のゴッホは、暗め色を好んで使っていたし、美しいモチーフというよりは、農夫や織工などの身近なものに美しさや意味を見出していた。こっちがゴッホの「手癖」なんだなあと思った。ゴッホの内側から来るものだけで描くとこういう作品になるんだろう。

でも、ゴッホはパリに拠点を移した。テオの紹介でたくさんの印象派の画家に会ったり、浮世絵に出会ったりして、今までになかった外部からの刺激を受けたゴッホは、いままで考えもしなかった「憧れ」に出会ったのではないか。

でも「憧れ」って苦しい。なぜならそれは自分の内には元からは備わっていないものだから。努力しても努力しても、自分は「憧れ」にはなれない。ゴッホはパリに拠点を移してからも精神的に苦しんだ。

後世の我々から見たら、パリに拠点を移したゴッホの作品は、他の作家や浮世絵の影響を受けたことでよりいっそう彼にしか出せない作品ができているというのに、きっと彼からしたら、ずっと憧れにはなれないって思ったんじゃないか(全部妄想です)。

だからこそ、と言ったらおかしいかもしれないが、私は、ゴッホがパリやアルルにいく前の、彼が素直に画家になりたいと願った頃の絵に、どうしようもなく心惹かれてしまった。

ゴッホのオランダ時代の作品(=画家を志した当初の作品)を観るのは初めてだった。私の知っている作品は「星月夜」や「花咲くアーモンドの木の枝」といった有名どころばかり。

だから、初めてオランダ時代の作品を観たときはずっと泣きそうだった。

これから、ゴッホはどれだけの努力をするのだろう。現状を壊す苦しみと、変わろうとした時の受け入れられなさに直面することは明らかである。それでもゴッホは、変化をせずにはいられなかった。そして、変化していった。

その凄まじいパワーを感じて、油断したらいつだって涙をポロポロ流せた。一緒に観に行った妹に話しかけたら確実に決壊するから、絵を観終わったあとは天井の斜め上を観て、やや話しかけづらいオーラを出すなどしていたのはここだけの話である。

けど、ここで思い出してほしいのだが、私はゴッホのファンになってまだ4か月の新参者だ。4か月でこれ?!

ずっとゴッホを好きな人がこの展覧会を観たら、いったいどうなっちゃうの?!?!泣き崩れてもおかしくないのに、みんな静かに順序正しく鑑賞していて、本当に偉いと思う。

展覧会で泣いている人がいても、そっと見守ってほしい。だって、それくらい破壊力が、ゴッホの作品たちにはあるのだから。

……今書いていて思ったが、もしや私がゴッホファン歴4か月目だから、まだ知らないことが多いからこそここまでの衝撃だった可能性もあるか……?

……それにしたって!!!私と同じように展示室で泣きそうな人がいてもおかしくない!!!!!!!泣いている人がいても、優しく見守ってくださいね。そして、みんな泣いていいと思います。私の分の涙も、流してほしい。

音声ガイドの破壊力

必死に泣くのを堪える私に追い打ちをかけたのが、音声ガイドに収録された音楽たちだった。

正直、今までの私は、展覧会の音声ガイドについて優先度は高くなく、好きな声優さんや俳優さんだったら借りようかな、くらいの人間であった。

ただ、今回の展覧会に一緒に行った妹が「音声ガイドは借りたほうがいい」と迷いのない声で促してくれたので、「まあ借りとくか」というテンションで借りた。

舐めてました。本当にすみませんでした。

音声ガイドというのは基本ナレーションだけだと思っていたのだが、「大ゴッホ展」では要所要所に音楽が流れるようになっていた。

まず、ゴッホ展に入ってすぐに聴く「はじめに」のトラックで流れる、ベートーヴェンの「悲愴」から情緒が終わった。

ゴッホが描いた本物の作品を観られる喜びと、なによりこの展覧会が開催されるにあたり、本当に沢山の人の協力があったこと、この絵を繋いできた人たちがいることを思いながらの「悲愴」は、まさにハートにダイレクトアタック。

そしてなによりもヤバかったのは、アーティストのキタニタツヤさんがこの展覧会のために描き下ろしたイメージソング『肺魚』。

この曲はボーナストラックとして収録されているのだが、オランダ時代の作品が終わる頃の音声ガイドのトラックでキタニさんが「ぜひ『肺魚』を聴いてください」というようなアナウンスをする。

ほう、このタイミングで聴くのが良いということね。従順な私は『肺魚』のトラックを再生した。

そしたら、なんということでしょう。私はオランダのことをなにも知らないが、耳にゴッホが生きたオランダの空気が流れ込んでくるではありませんか!

そこまで観ていた作品に描かれていたじゃがいも畑や織機があった景色がぶわわと脳内を巡り、ちょ、ちょっとまって!と思って私は一時停止ボタンを押した。このまま聴き続けていたら、その場で声を上げて泣いてしまいそうだったから。目の前を観ると、ゴッホが描いた頭部の作品がたくさんあり、これでも心を動かされてしまう。逃げ場がない。才能と才能が私の身体の中でセッションし始めて、もうやめて!状態だった。

まともに歌詞を聴いたら絶対に無理だと思ってちゃんと聴かずに展覧会を出たら、なんとこの音声ガイドでしかこの音源は聴けないらしい。五体投地。はやく世に出回ってほしい……。キタニタツヤ様、おそるべし……。

綾瀬はるかさんと登坂淳一さんのガイドの内容はもちろん素晴らしいし、なによりこの音楽たちと共に作品を味わうべき。700円ですがお釣りものです。展覧会に行く方はぜひ……!


今回の展覧会はゴッホのオランダ時代からアルルにうつってから初期の作品が多く、どちらかというとゴッホがぎりぎり前向きに頑張っていた時期なのかなと思っている。

後編は、より苦悩するゴッホの作品の展示になるのかな。その苦しみと作品の美しさのギャップでチカチカしそうだ……。ゴッホファンのみなさま、新参者で恐縮です。受け取れるものが最大量になるよう、後編の展示までによりゴッホのことを勉強していく所存!!!

ゴッホのことが好きになってしまう、そんな展覧会だと思う。ご都合の合う方はぜひ足を運んでみては。チケットは前売りを購入するのがおすすめです!


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