ドジャースより強いナスダック?!
4/16ナスダック総合指数は、今月に入り、負けなしの12日連続上昇を記録した。2009年以来17年ぶりの連騰記録とのことである。米国とイランの和平交渉が進展するとの期待もあり、史上最高値更新となっており、米ハイテク株が世界の株式市場を牽引する一方、政治的には米国離れの動きが加速しており、今後の金融市場の行方を考察する。
1.G7財務相会議に欠席したベッセント財務長官
米ワシントンで開かれたG7財務相会議に、ホスト国の米国が欠席する異例の事態が発生した。イラン攻撃をめぐり、欧州諸国が米国の国際法違反を指摘し、必要な後方支援すら拒否したことで、米国がNATOの同盟国への不信感を深めていることが背景と考えられる。
2.米国から金準備を引き出す動きに出た欧州諸国
今年に入り、FRBに預けている金準備をドイツとフランスが引き出し、欧州に移管する措置を行っている。ロシアによるウクライナ侵攻後のロシア制裁を契機に、グローバルサウス諸国が米国債を売却して金準備を増加させる動きを強めているが、NATOの中核国である独仏が米国から金準備を引き出すという異例の措置に踏み切った背景には、深刻な対米不信が発生していると考えるべきであろう。
3.現実味を帯びる米国のNATO脱退
イラン戦争が終結した暁には、米国が中東への関与を弱める可能性がある。それに加え、NATOからの脱退を示唆し、今夏のG7首脳会議にトランプ大統領が出席しない可能性すら考えられる。EUも米国の関税政策に反発して、インドや南米諸国と自由貿易協定を締結するなど、米国外しの経済圏強化に動き始めている。こうした西側同盟国間の亀裂は、中国・ロシアといった西側と敵対する大国を利するだけであり、日本としても欧米の狭間で如何に同盟関係を繋ぎとめられるのか、重要な岐路に立たされている。
4.巨額な対米投資をコミットする高市政権
日本政府は、アラスカでのエネルギー開発や、米国内でのデータセンター建設など多様な分野で対米投資を活発化させる協定を結んでいる。日米は、半導体・防衛・造船など幅広い分野で相互補完的な依存関係にあり、経済安全保障強化の観点からも対米協力は欠かせない。特にドンロー主義の行き着く先に米国の東アジアからの撤退が俎上に上ると、日本の安全保障は根底から覆されるため、細心の注意が必要となる。
5.巨大IPOを控えるナスダック市場
今後、スペースX、オープンAI、アンソロピックなど巨大AI関連企業がIPOを実施する予定となっており、ナスダック市場も早期上場を可能にすべく規制緩和策を検討するなど、株式市場活性化に向けての取り組みに余念がない。イーロンマスク氏が、自前での半導体生産に着手する計画を発表し、日本企業との協業の可能性も検討されるなど、今後、半導体を巡っての日米協力が強化される公算が大きくなっている。
4/15ナスダック総合指数が史上最高値を更新すると、翌4/16日経平均も史上最高値を更新するなど、日米株式市場の連動性も高まっており、米ハイテク企業の躍進が日本株式市場にも跳ね返る好循環が発生し始めている。
6.経済分野での実利を深める日米関係
高市政権は、高い支持率を背景に、国内でのスパイ防止法制定を皮切りに、憲法改正まで視野に入れた国内安全保障強化に向けての取り組みに着手していることは、トランプ政権にも評価されるはずである。経済面での実利を優先するトランプ政権とは、経済的な強固な繋がりをバックに、日米安保体制の強化を模索する時代に入りつつある。その意味で高市政権の危機管理投資重視の政策は時機を得ており、早急な具体化が期待される。
官民一体となった成長投資が、日本株式市場に一層の世界からの資金流入を呼び込む導火線となるよう、更なる取り組みを期待したい。
7.大谷選手の活躍が日本企業の対米投資を活発化させている
大谷選手の活躍が多くの日本企業のドジャース投資を呼び込んでおり、大谷選手の経済効果は年俸の何倍も大きい波及効果を生んでいる。政治面でも、ソフトバンク・グループの孫会長がトランプ大統領の懐に飛び込み、良好な信頼関係を築いており、民間レベルも含めた多様なチャネルでの日米蜜月時代が到来しつつあると言っても過言ではない。

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2026年4月17日執筆 チーフストラテジスト 林 哲久

