逃げる海、見ない心
相方は、サーフィンが好きだ。
それはよくわかっている。
海にいるとき、彼は生き生きしているし、
波を読む感覚は、彼の直感を引き出しているようにすら見える。
でも、それは「逃避」でもあった。
部屋が散らかっている。
片付けても、すぐ戻る。
大事にしてると言いながら、
ボロボロの服、使っていない道具、謎の電化製品が山積み。
「片付ける暇がない」
「休みの日ぐらい海に行きたい」
そう言って、断捨離から目をそらし、
自分の内側とも向き合わず、
そのたびに海へ逃げる。
海は優しい。
何も言わない。
彼を責めない。
だから彼は海に行く。
でも、本当の癒しとは、
向き合うことからしか生まれない。
本当の自由は、
不要なものを手放した先にある。
それを彼は知っている。
どこかで、ずっと、気づいている。
でも、怖いのだ。
物を手放すことが、自分の何かを失うことのように感じて。
そしてその「失う痛み」に、
まだ、彼は向き合えていない。
だから、また、今日も海へ向かう。
