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【探究学習】年間売上50億円の会社が20万店を揺るがした──全東信の倒産から見えた「見えない金融インフラ」

ニュースを見て、思わず二度見しました。
負債総額約1,150億円。
倒産したのは「全東信」という会社。
恥ずかしながら、私はこの会社の名前を聞いたことがありませんでした。
「また一つ会社が倒産したのか。」
最初は、その程度の認識でした。
ところが調べ始めると、次々と驚く事実が出てきます。
年間売上は約50億円。
決して巨大企業ではありません。
それなのに、20万店以上の加盟店が利用し、政府は金融機関へ異例の資金繰り支援を要請しました。
年間売上50億円の会社が、なぜ日本中の事業者へ影響を及ぼすのでしょうか。
その答えは、「決済インフラ」という、普段は意識することのない世界にありました。
「売上はあるのに、お金が入らない」
全東信は決済代行会社です。
私たちがお店でクレジットカードやQRコード決済をすると、その裏側では、
カード会社

決済代行会社

加盟店
という流れで、お金が動いています。
普段は数日後に売上金が入金されるため、この仕組みを意識することはありません。
しかし、決済代行会社が止まると話は変わります。
営業はしている。
売上も立っている。
それなのに、現金だけが入ってこない。
「売上はあるのに、お金がない。」
飲食店にとっては、これほど恐ろしい状況はありません。
家賃も、人件費も、仕入れ代も払えなくなってしまいます。
だから政府は、金融機関へ資金繰り支援を要請したのでしょう。
守ろうとしたのは一企業ではなく、その先につながる何十万もの事業者だったのです。
売上よりも「ネットワーク」が価値を持つ時代
ここで、さらに不思議なことに気づきました。
年間売上約50億円。
それほど大きな会社ではありません。
しかし実際には、数千億円規模の決済を支え、20万店以上をつないでいました。
これは製造業ではあまり見られない構造です。
工場を持っているわけでもない。
商品を作っているわけでもない。
それでも社会への影響力は極めて大きい。
価値を生んでいたのは、「会社の大きさ」ではなく、「ネットワークの中心にいること」だったのです。
世界では、もっと大きな事件が起きていた
「海外でも同じようなことはあるのだろうか。」
そう思って調べると、2020年にドイツで起きたWirecard事件にたどり着きました。
当時のWirecardは、
・ドイツを代表するフィンテック企業
・DAX30採用企業
・世界25万店以上の加盟店
・売上約3,000億円規模
という巨大企業でした。
ところが突然、
「19億ユーロの現金が存在しない。」
という事実が明らかになります。
最初は信じられませんでした。
「そんなことがあるのか。」
しかし、実際には存在しない現金が長年帳簿に計上されていたとされ、会社は一気に崩壊しました。
ドイツだからこそ衝撃だった
この事件が特に印象的だったのは、「ドイツ」で起きたことです。
私の中でドイツといえば、
品質管理。
堅実なものづくり。
厳格なルール。
そんなイメージがあります。
だからこそ、巨大な粉飾事件が起きたことに驚きました。
さらに調べると、Wirecardは「欧州のVisaを目指す企業」として期待され、政府や市場からも高く評価されていました。
その期待があまりにも大きかったため、不正を指摘する声よりも、「スター企業を信じたい」という空気の方が強く働いてしまったとも言われています。
これはドイツだけの話ではありません。
エンロン、オリンパス、東芝……。
国は違っても、「成功物語を信じたい」という人間の心理は共通しているのかもしれません。
フィンテックが危険なのではない
今回の探究で分かったのは、
危ういのはフィンテックではない。
技術の進歩に対して、
監査、
ガバナンス、
規制、
こうした仕組みが追いつけないことなのだと思います。
現代社会は、
クラウド、
AI、
GPS、
データセンター、
決済ネットワーク、
そんな「見えないインフラ」の上に成り立っています。
普段は存在すら意識しません。
しかし、一度止まると社会全体が揺らぎます。
これは、電気や水道とは少し違う、新しい時代のインフラなのでしょう。
ニュースの裏側に、本当の面白さがある
最初は、一つの倒産ニュースでした。
しかし調べていくうちに、
金融、
決済、
フィンテック、
ガバナンス、
監査制度、
そして、人間の認知バイアスまで、一つのニュースがさまざまなテーマにつながっていきました。
まるで幕の内弁当のように、いろいろなおかずが詰まっています。

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