質問177:試合になると、練習ではあり得ないぎごちない動きになることがある
初めまして、夫婦でテニスを楽しんでいる※※在住の※※と申します。私は、試合になると途端に練習で出来たことができなくなるのですが、特に、動き自体が、練習ではあり得ないぎごちない動きになることが、あります。こんな状況も改善する方法があるのでしょうか?宜しくお願いいたします。
回答
▶原因は「メンタル」ではない
はじめまして。テニスゼロの吉田と申します。
結論から言うと、「改善する方法」があります。
というのも、最も典型的な例ですから「最も簡単」です。
練習では普通にできていたことが、試合になると途端にできなくなる。
こういう場合多くの人が、次のように考えるのではないでしょうか?
「試合になると緊張するせいで、普段の実力が発揮できなくなる」
つまり「メンタル」に起因していると考えるのです。
しかしメンタルに原因があると考えると、この問題はいつまでたっても(おそらく一生)解決しないのです。
そのせいで、非常に多くのテニス愛好家が苦しんでいます。
▶テニスの悩みがQOLさえ下げる
「メンタルが弱いから、試合になると実力を発揮できないんだ」
「それは緊張しやすいせいだ」
「この性格を何とかしないとだめだ」
そうやって自己否定にさいなまれるのは、とてもつらいこと。
テニスが好きで真面目に取り組む人ほど、この問題に直面すると、悶々と悩み続けます。
そのせいで、QOL(人生の質)さえ、下がってしまいかねません(関連記事「『食べすぎ』と『過食症』は、量的にではなく質的に違う」)。
メンタルに原因があると考えると、「自分の性格に問題があるのでは?」などとも疑ってしまいがちです。
▶テニスが上手い=人格者とは限らない
ですから、試合でも実力をのびのびと発揮できている人を見ると、「人格的に優れている」などとも、錯覚しがちではないでしょうか?
太っている人がスリムな人を見ると、「生活習慣をコントロールできていて、人格的にもちゃんとしている」などと思い込むのと同じです。
テニスが上手くできない自分は、どこか人格的に劣っているような劣等感にさいなまれがち。
かくいう私も、人格向上(苦しまない)ための一環としてテニスをプレーしているのですけれども、だからといって「テニスが上手い=人格的に優れている」わけでは、決してないのです。
▶そしてメンタルが崩壊する
「ありえない動き」になるだけではありません。
「ありえない打ち方」になって、「ありえないミス」が飛び出すでしょう。
「なぜ!?」という思いで、パニックにもなるでしょう。
「どうしよう?」「どうして?」という思考が止まらなくなって、トレードオフの相関である感覚が働かなくなるから、ボールのスピード感や距離感を計れなくなります(関連記事「結局文法では、英語は話せない、聞けない」)。
そのせいで、相手のボールが急に手元へ飛んでくるような錯覚に見舞われます。
そしてますますメンタルが崩壊するのです。
▶真犯人は「現実に対するイメージのズレ」
「緊張しやすい」「人目が気になる」「足がすくむ」などのメンタルが原因ではないとしたら、真因は一体何でしょうか?
それが私の申し上げる「現実に対するイメージのズレ」です。
試合になると、ご自身が保有しているイメージが変わるのです。
いえ、練習と試合に限った話ではありません。
コートがアウトドアかインドアか、サーフェスがオムニ(注意1・砂入り人工芝)かクレーかハードか、時間帯が昼間かナイトセッションか、あるいは対戦相手の体格や、もっといえば1本前に打ったショットの印象などによっても、イメージは揺らぎます(関連記事「イメージは揺らぐよ、どこまでも」)。
そのせいで、何でもないようなボールなのに、ロジャー・フェデラーも、ラファエル・ナダルも、ノバク・ジョコビッチも、カルロス・アルカラスも、ミスするのです。
https://youtu.be/vvjKnE4Fc1E
※注1
「砂入り人工芝コート」の呼称として多用される「オムニコート」は、一般名詞の「宅配便」に対してクロネコヤマトのヤマト運輸が「宅急便」サービスを展開するのと同様の、住友ゴム工業株式会社による商標(関連記事「『それでいい』の自己肯定」)。
▶箱の中身はなんだろな?
テレビ番組などでたまに見る「箱の中身は何だろな?」という企画をご存じでしょうか?
トライする本人には中が見えない(他の人には見えている)箱の中に、恐る恐る手を入れます。
それが「ヌルヌル」していたり「チクチク」していたりすると、本人は「蛇だ!」「蠍だ!」 などとイメージして、思わず手を引っ込めるのですけれども、正体は「こんにゃく」だったり「たわし」だったりする。
だけどイメージにはあらがえないから、本人は「ありえない動き」をして、パニックになってしまうのです(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=jUkhENNIMqE
https://www.youtube.com/watch?v=4Mfs3R7Gl48
▶女の子のリアクションは、決して大袈裟ではない
メンタルが弱いから「ありえない動き」になると、考えるかもしれません。
けれども逆で、「ありえない動き」を体がするから、びっくりしてメンタルが余計に動揺するのです。
そのせいで試合になると、緊張するから練習どおりの実力を出すないなどと勘違いするのですけれども、大元の原因は「現実に対するイメージのズレ」。
箱の中身が「こんにゃく」だと分かっていたら、性格や人格がどうであろうと、体は誤った動き方をしません。
イメージがズレていたら、どうしても、体はありえない動きをし、そのせいで、「ありえない打ち方」「ありえないミス」をしてしまうのです。
くだんの女の子のリアクションは、決して大袈裟ではありません。
同様と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、それに近しい「ありえない動き」が、テニスコート上でも再現されます。
練習では、まさかやらかさないような大ホームランや、下のほうに打ち付けるネットミスも多発するでしょう。
練習では「あんなに簡単だったラリー」が、なぜできなくなるのかという不思議の原因が、実は「現実に対するイメージのズレ」にあったのです。
▶テニスに運動神経は必要ない
テニスにおける「現実に対するイメージのズレ」問題は、非常によく見受けられる(だけど世界中のほとんどの人が気づいていない)、テニス愛好家の実力を計る「試金石」です。
もちろんトッププロとして活躍するというなら話は別でしょうけれども、運動機能障害などがない限り、テニスが上達するのに運動神経は関係ありません(関連記事「テニスに運動神経は必要ない!」)。
なので、たまにその「ズレがない人」だと、テニスを今まで一度もやったことがなかったとしても、すぐに上達したりします。
イメージのズレが、「ある」か「ない」か。
ですからテニスでは、シニアプレーヤーが若い男子学生をコテンパンにできたりします(関連記事「テニスは力のいらないスポーツ」)。
だから生涯スポーツとして老若男女が、ハンデもなしに同じルールや条件のもと楽しめる、稀有なスポーツと言えるのです(関連記事「テニスは運動神経が『要らない』スポーツ」)。
100メートル走や、サッカー、ラグビーなどでは、なかなかそうはいかないでしょう(柔道は「柔よく剛を制す」から、筋力的に非力な老人が、屈強な若者に勝つ場合もあるかもしれませんけれども)。
「現実に対するイメージのズレ」をイッパツ(1球目)で治す方法は、あるにはあるのですけれども、それをここに一言でまとめることはできません。
練習どおりの実力を、試合でも発揮できるようになる具体的なメソッドは、3万字超にわたり記されたこちらです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
https://note.com/tenniszero
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero