サロン楽屋話092:錦織圭の言葉から考える、クロスショットの正体
やっぱり、言語化というのは押し並べて後付け再構成です。
錦織圭のクロスショットの話は、「感じるままにプレーする」とは何かを、これ以上なく分かりやすく教えてくれます。
▶錦織圭は、クロスを打つとき「本当に意識している」のか?
『フォアでクロスを打って相手を外に追い出す時、どういうことを意識している?』
こんな質問を、錦織圭は投げかけられたそうです。
そのやり取りは、次のとおり。
「その時は、あんまりはっきりした答えがなかったんですが、次の日に『考えてみたんですが、やっぱりボールの外側を叩くイメージです』って教えてくれました」
やっぱり、言語化というのは、押し並べて後付け再構成です。
つまり錦織は、聞かれる今の今まで、プレーしながら、クロスに打つときはボールの外側を叩くだなんて、意識したことは一度もなかった。
聞かれたから、あとから気づいて、言語化した。
このかばんを買った理由は「前からほしいブランドだったから」「予備が必要だったから」「頑張る自分のご褒美に」などと言えたとしても、それは後付け。
初めからほしいイメージが先にあって、あとから買う理由を考えるのです。
▶クロスショットを巡る「食い違い」
言語化は脇へ置いておくとして、真の問題は、フォアをクロスへ打つときに、錦織は「意識していなかった」にも関わらず、聞いた側は「意識するものだ」と思い込んでしまっている相違点。
どこまで行っても、交わりません。
つまり、「意識しない」と「意識する」だから、フォアをクロスへ打つときの取り組み方は、「正反対」だと言えます。
▶分からなくなるのは、当たり前
一方を意識すれば、もう一方はおろそかになります。
「何しに2階へ来たんだっけ?」
ほかのことを考えると、もう一方は意識されなくなります。
これは誰にでも起こり得ること。
テニスのプレー中も同じこと。
フォアをクロスへ打つときに、ボールの外側を叩くことを考えたら、叩くことや、相手を外へ追い出すことに、意識的になり、もはやボールに集中できなくなるのです。
錦織に聞いたくだんのコーチも、脇で聞いていた天才少女と呼ばれた彼女自身も、自分がプレーするときには、フォアをクロスへ打つとき、何を意識しているか分からないから、尋ねたわけですよね?
だったら、分からなくてよいのです。
錦織自身も、分かっていなかったわけですし。
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