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074.イップスについてはもう生涯悩むことはない W.Y.さん

吉田様

御世話になります。

テニスゼロテキストを1月に購入してから、はじめての大会を先日経験しました。
イップスのような暴発はほとんどなかったことが、まずは進歩で嬉しかったです。
(たまに出る暴発の時は、間違いなくボールが消えています。それに気付くこともできました。)

テニスゼロ 吉田様に出会えたことでテニスの本当の楽しみ方を知りました。心から感謝しております。
イップスについてはもう生涯悩むことはないと思います。


さて、御質問なのですが、「大会での試合中」に、プレーが上手くいく、いかない関係なしに、「楽しめていない状態」、「雑念がどうしても消えない状態」に陥ることがあります。
 
本番はそういうものだ、と言われればそうかもしれませんが。

コントロールできないまま終わることもあるのですが(試合の勝敗とは関係なく)、感情、集中は無意識なので、どうしようもありません。
そうなった時の心持ちというか、考え方はどうすればいいのでしょうか。
こんな日もある、と受け流すこともできればいいのですが、、。
意識できることは、やはりボールの回転を見ることだけでしょうか。

御助言頂ければと思います。

 

※テニスゼロより一言コメント


▶「苦手意識」ができる理由


おっしゃるとおり「こんな日もある」と受け流すというのは、それができれば大変有効かと思われます。
 
それを受け流さずに「どうにかしよう!」と固執すると、脳裏に定着してしまいやすくなりますから、上手くいかない記憶がこびりついて、苦手意識を形成することにもなりかねません。
 
苦手意識というのは、1発のやらかした大ホームランアウトでできることもある一方で、そうして受け流さないでいるうちに、こだわりが少しずつ蓄積して、気づいたら「苦手になっていた」というふうに至る場合もあります(イップスはどちらかというと、「やらかした1発」で発病するケースが多いと思います。また人間関係も、一発で嫌いになる衝撃もあれば、じわじわと苦手になる場合もある)。
 
長い目で見ますと、その試合にこだわらなければ、苦手の記憶が定着することもありませんからすぐに回復できるにも関わらず、こだわることで、その回復を遅らせてスランプに陥るケースは多々あります。

▶本当に「コケコッコー」なの?


こだわると、どうしても記憶が強く定着してしまいますから、今、目の前から入ってくる新しい情報を、ありのままに受信できなくなります
 
記憶が定着するとありのままに受信できなくなるということについてご説明しますと、たとえば、ニワトリの鳴き声というと、どのようにご記憶されているでしょうか?
 
一般的によく言われる「コケコッコー」であった場合、もう鳴き声は「何となくのコケコッコー」にしか聞こえません。

アメリカのように「クックドゥードゥルドゥー」のような聞こえ方もあるかもしれませんのに。
 
あるいは似た鳴き声のはずなのに、フランスだと「ココリコ」、スペインでは「キキリキ」になるのだと言います。
 
現実的には、「全然違う聞こえ方」が存在しています。
 
ですが脳は「コケコッコー」の記憶に引きずられると、すでに分かっているものとして処理し、聴くことをおろそかにしてしまう(関連記事「脳は『省略』がお好き」)。

これが、「集中できていない状態」です。
 

▶「記憶の呪縛」にとらわれるから、集中できない


話が、激しく逸脱いたしました。

受け流さずにこだわって、たとえ上手くいったところで、今度は上手くいった記憶を刻みつけてしまい、次の試合の時には「あの時はあーだった」「こーだった」と、また過去の記憶情報に囚われる
 
そして今、目の前から新しく入ってくる情報を、ありのままに受信できなくなります。
 
つまりはこだわると、上手くいかなくても上手くいっても、しんどくなる成り行きです。
 
テニスで大切なのは、「今」です。

今、目の前のボール情報を、ありのままに受信することですから(関連記事「大事なのは「発信」ではなく「受信」」)。

これが取りも直さず、「集中」。

過去の「あの時」ではなく、未来の「いつか」ではなく、「今」「目の前」のボール情報を受信する集中が上手くプレーするうえで大事です。
 
「コケコッコー」に違いないと記憶により思い込まされると、聴くことが非常におろそかになります。

▶こだわりを持つことは「崇高」なの?


「こだわりがある」「こだわりを持つ」というと、どこか崇高であるかのような印象があるかもしれませんが、今、目の前の情報に集中できなくなる恐れがあり、こだわるあまり、どうしてもそちらにチラッチラッと気を奪われて、ボールに集中できなくなるのです(関連記事「『こだわりの味』にこだわると?」)。

気休めでも何でもなく、「過去はもうないもの」としたほうがいい。

何となく、「覚えておいたほうがパフォーマンスが上がる」と錯覚しがちですが、過去はすでに現実ではなく、変えようもありませんし、上記のような理由によりパフォーマンスをどのみち下げます。
 
というメカニズムを熟知していただければ、受け流しやすくなるのではないでしょうか。

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