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『終わる前に、もう一度だけ』作品紹介|まだ読んでいないあなたへ

【タイトル下短文】

世界が「終わり」と呼んだ場所に、まだ温度が残っていた。

【本文】

創作が、祈りではなくなった世界がある。

書きかけの原稿。
途中で止まった絵。
誰にも見せられなかった企画。
送られなかった言葉。

それらは、もう「いつか形になるかもしれないもの」ではなく、評価され、分類され、処理されるものになっていた。

保存するか。
再判定するか。
完了するか。

この世界では、未完成にも終わり方が用意されている。

けれど、終わらせることは、本当に救いなのか。

残すことは、本当に優しさなのか。

『終わる前に、もう一度だけ』は、未完成の作品をめぐる物語です。

世界が「終わり」と呼んだ場所に、まだ温度が残っている。
それを見てしまう人がいる。

そして、その手が伸びた時、救いはいつも救いの形をしているとは限らない。

▶ 第1話はこちら
終わる前に、もう一度だけ 第1話|未分類ノイズ、S級反応



この物語の入口

第1話は、一人の少女が、自分の作品を消そうとしているところから始まります。

作品名は『空白の灯台』。

商業成功率、0.01%。

だから世界は、消すことを正解にした。

壇上の中央に立つ少女の前には、透明な承認パネルが浮かんでいます。

本人同意。
完了処理。
未完データの永久削除。

確認しますか。

少女の右手が、そこへ伸びる。

その手を、左手が止める。

一瞬だけ。

誰も気づかなかったその小さな抵抗を、神崎透だけが見てしまいます。

そこから、この物語は始まります。



神崎透

世界がゴミと呼んだものを、きれいだと思ってしまう人。

完成局の補助スタッフ。
消される直前の未完成から、まだ名前のない欠片を見てしまう人物です。

彼は、人の未完成を放っておけません。

けれど、その優しさは本当に相手のためなのか。

それとも、彼自身がまだ向き合えていない何かから、目を逸らすためなのか。

透には、まだ正面から見られない夜があります。



日向紗和

彼女が消そうとしていたのは、作品だけではなかった。

第1話の中心人物です。

作品は『空白の灯台』。

海のない町に、灯台を建てようとする未完成の物語。

商業成功率0.01%と判定されたその作品を、紗和は自分の手で終わらせようとしていました。

でも、その手は一瞬だけ止まった。

それを見てしまった透は、彼女の未完成へ手を伸ばします。



白瀬エレナ

彼女は、優しい声で「終わり」を差し出す。

完成局の創作裁定官です。

エレナは、分かりやすい悪役ではありません。

未完成を抱え続けることで、人が前に進めなくなることもある。

ならば、終わらせることも救いではないか。

彼女の言葉は冷たいだけではありません。

むしろ、優しく整えられている。

だからこそ、怖い。



水瀬蒼介

たった一度の言葉が、何年も人を動かすことがある。

自分の作品を消すか残すか、その前で止まっている人物です。

消したいのか。
残したいのか。

その答えすら、もう自分だけのものではなくなっている。

彼は、透の「待つ」という姿勢に、別の問いを突きつけます。



朝倉叶

彼には、まだ見ないふりをしている夜がある。

朝倉叶は、透の過去に深く関わる人物です。

彼女は、未完成を抱え続けた創作者でした。

透がなぜ、未完成に触れずにはいられないのか。

その理由は、叶との過去にあります。

ただし、その夜に何があったのかは、本編で出会ってほしい部分です。



柊真帆

優しさは、ときどき人を戻らなければいけない場所に変える。

第5話の中心人物です。

席を空けておく。
戻ってくるのを待っている。
いつでも戻ってきていい。

それは、普通なら優しさに見える言葉です。

けれど、その優しさが、本人にとっては重さになることもある。

待っている。
その言葉が、彼女を終われない場所にしていました。



依月

まだ、名前しかない。

凍結フォルダ『まだ世界ではなかったもの』に関わる名前として、一瞬だけ表示された存在です。

透の記憶には残っていない。

けれど、その名前だけで、彼の右手は痛んだ。

依月が誰なのか。

それは、まだ分かっていません。



この世界で起きていること

この世界では、夢を終わらせることにも、手続きがあります。

完成局は、未完成の作品や夢を、保存するか、再判定するか、完了するかで処理します。

削除とは言いません。

完了。
処理。
本人の未来を守るための終わり。

白く整った言葉で、未完成は片づけられていきます。

けれど、そこにまだ温度が残っていたら。

誰かがまだ、終わりきれていなかったら。

世界が処理したはずのものを、神崎透だけが見てしまう。

その時、物語は静かにずれ始めます。



まだ答えはありません

透の右手は、なぜ触れていないものまで揺らすのか。

凍結フォルダ『まだ世界ではなかったもの』には、何が眠っているのか。

依月とは誰なのか。

まだ答えはありません。

未完成は、消せば終わるとは限らない。

そして、残せば救えるとも限らない。

だからこそ、この物語はまだ続いています。



ここから読むなら

まずは、第1話から読んでもらえると嬉しいです。

未完成の作品を消そうとする少女。
それを見てしまった青年。
そして、世界が「消すこと」を正解にした場所。

ここから、この物語は始まります。

▶ 第1話はこちら
終わる前に、もう一度だけ 第1話|未分類ノイズ、S級反応


▶ シリーズはこちら
終わる前に、もう一度だけ

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