「どの指がどこ?」——発達障害のある子が電流・磁界・力の向きでつまずく理由と教え方
「何度やっても手の向きを間違える」「右ねじを使っているのに答えが違う」——磁界・電磁誘導の単元で、こうした困りごとを聞くことがあります。何度も一緒に確認したのに、テストになると全問落としてしまう。そんな経験をお持ちの保護者様も多いのではないでしょうか。
手順を知っているのに解けないのには、発達特性と深く関わる明確な理由があります。「練習不足」でも「やる気の問題」でもありません。
この記事でわかること
右ねじの法則・フレミング左手の法則でつまずく「一般的な理由」
視空間認知に課題のあるお子さんが、さらに難しいと感じる理由
家庭でできる段階的な教え方・声かけのコツ
動画(レクチャー)と即時確認が理解を助ける仕組み

この記事は、磁界・電磁誘導の向き(中学2年「電流とその利用」で学ぶ単元)につまずいているお子さんを対象にしています。
磁界・電磁誘導とは——中学2年で何を学ぶのか
磁界・電磁誘導は、中学2年「電流とその利用」の後半で学ぶ単元です。大きく2つのテーマに分かれます。
磁界(電流と磁界):電流が流れる導線のまわりには、磁力がはたらく空間(磁界)ができます。まっすぐな導線は「右ねじの法則」で電流の向きから磁界の向きを判断し、コイルは「右手の法則」で電流の向きからコイル内部の磁界の向き(その先がN極になります)を判断します
電磁誘導:コイルの中の磁界が変化すると電圧が生じ、誘導電流が流れる現象です。磁石の動かし方や速さ、コイルの巻数によって、誘導電流の大きさが変わります(発電機の原理)
たとえば、こんな問題が出ます。
コイルに棒磁石のN極を近づけたとき、コイルには電流がどちら向きに流れるか答えなさい。
図のように磁界の中に置いた導線に電流を流したとき、導線が動く向きを答えなさい。
どちらも「向きを問う問題」です。そして、向きを判断するために使う法則が、単元の中に3つ登場します。
右ねじの法則:まっすぐな導線(直線電流)のまわりにできる磁界の向きを知りたいとき
右手の法則:コイルに流れる電流の向きから、コイル内部の磁界の向き(その先がN極)を知りたいとき
フレミング左手の法則:電流が磁界から受ける力の向きを知りたいとき(モーターの原理)
問題を解くには、まず「何の向きを求めるのか」を見極め、それに合った法則を選ぶ必要があります。ここが、この単元の最初の関門です。
磁界・電磁誘導が難しい理由——多くの子が共通してつまずくポイント
特性の有無に関わらず、磁界・電磁誘導は多くの中学生がつまずく単元です。まずは、誰にとっても難しい理由から見ていきましょう。
磁力線・電流・力がすべて「目に見えない」
磁界も電流の向きも、実物では目で確かめられません。教科書の図にかかれた矢印や線を「読む」ことが、理解の出発点になります。図を正しく読めないまま法則の手順に入ると、そもそも何を判断しているのかがわからなくなります。
3つの法則が似た名前で混乱する
「右ねじ」「右手」「フレミング左手」が同じ単元に登場します。それぞれ求めるもの(直線電流のまわりの磁界の向き・コイル内部の磁界の向き〔N極の位置〕・力の向き)は違うのに、どれも手を使う操作が共通しているため、どの場面でどれを使うのかが混ざりやすいのです。
2次元の図から3次元の関係を読み取らなければならない
教科書の図は平らな紙の上(2D)にかかれていますが、電流・磁界・力の関係は、立体的な空間(3D)の向きで成り立っています。図の矢印が、画面の「上」「右」「奥」などのどこを指しているのかを読み取る作業が、そもそも高度なのです。
フレミング左手は確認するステップが多い
中指は電流、人差し指は磁界、親指は力——と、3つの向きを1つずつ確認し、さらに手全体の向きを合わせる必要があります。ステップを踏んでいる途中で、最初に決めた構えがこぼれやすい単元です。
発達特性があるとさらに難しくなるポイント
ここまでは、どのお子さんにも共通する難しさでした。ここからは、視空間認知に課題のあるお子さんにとって、なぜさらにハードルが上がるのかを見ていきます。能力の問題ではありません。
手の構えを保ったまま、別の向きを当てはめる負荷
フレミング左手の法則は、順番に進める作業です。
まず電流の向きに手(中指)を合わせる
その構えを保ったまま、磁界の向きを確認する
さらにその構えを保ったまま、力の向きを判断する
視空間認知に課題のあるお子さん(ASDの傾向があるお子さんに見られることがあります)は、頭の中で「立体的な向き」を作って固定すること自体に大きな負荷がかかります。前の段階で合わせた構えを保ったまま次の軸を当てはめていく——この「段階を追う中で、前の段階の状態を保ち続ける」ことが崩れやすいのです。3つの向きを同時に頭の中に思い描くのではなく、1つずつ順番に確認していく中で、保っていた構えがこぼれてしまう、というつまずき方です。
崩れ方には、大きく2つのパターンがあります。
保てる量の限界を超えてこぼれる:作業中の情報を一時的に保ちながら処理する力をワーキングメモリと呼びます。容量には個人差があり、ASD・ADHDの傾向があるお子さんは、手順を1つずつ踏んでいく途中で、前に合わせた構えの情報を保ちきれずにこぼしてしまうことがあります
注意が別のことへ逸れて構えが消える:ADHDの傾向があるお子さんは、次の軸を考えているうちに注意が別のことへ逸れ、「さっき合わせたはずの向き」が抜け落ちてしまうことがあります
「さっき合わせたはずの向きが、次を考えているうちにわからなくなった」——これはどちらも脳の情報処理の特性によるもので、お子さんを責める必要はありません。
そして大切なのは、手や向きを正しく当てはめれば、答えは一通りに決まるということです。間違いの多くは「保持しきれずに途中で構えがずれた」結果であって、考え方そのものが間違っているわけではありません。
磁界・電磁誘導を理解するために必要な力
お子さんがどこでつまずいているかを確認する目安として、次の力が積み上がっているかを見てみましょう。
電流の向きの基礎:回路図で電流の向き(+極から流れ出る向き)が読めるか
図の向きを読む力:教科書の磁界の図で、矢印の向きを正確に追えるか
手順を1段ずつ保つ力:「電流→磁界→力」の順で、1つずつ確認を積み上げられるか
N極・S極と磁界の向き:磁力線はN極から出てS極に入る向きでかく、が定着しているか
「この法則は何を求めるか」の使い分け:右ねじ・右手・フレミング左手の使い分けが整理できているか
すべてが完璧である必要はありません。「どこから曖昧になっているか」を見つける手がかりにしてください。
磁界・電磁誘導が苦手な子への教え方——家庭でできる4ステップ
原因がわかったところで、次は家庭でできる具体的な教え方を見ていきましょう。一度にすべてをやろうとせず、1ステップずつ進めるのがコツです。

ステップ1:「どの法則を何に使うか」から整理する
3つの法則を一度に覚えようとしないことが大切です。まずは、使う場面で分類します。
右ねじの法則:まっすぐな導線のまわりの磁界の向きを知りたいとき
右手の法則:コイルに流れる電流の向きから、コイル内部の磁界の向き(その先がN極)を知りたいとき
フレミング左手の法則:電流が磁界から受ける力の向きを知りたいとき
問題文を見たら、いきなり手を構えるのではなく、「何を求めるかを確認する → 使う法則を決める → 手を当てはめる」の順に進める習慣をつけます。
声かけ例:「この問題は『どちらの向きに動く?』って聞いているね。動く向き=力の向きを求めるから、使うのはフレミング左手だよ。」
ステップ2:右ねじ・右手は「向きを合わせる→もう一方を見る」で1軸ずつ
直線電流の磁界は、「電流の向きに右ねじが進む向きを決める → ねじを回す向きが磁界の向き」と、1軸ずつ確認します。
コイル内部の磁界の向きを調べる右手の法則も同じです。「4本の指をコイルに流れる電流の向きに巻きつける → 親指がさす向きがコイル内部の磁界の向き(その先がN極)」と、1つずつ進めます。
ポイントは、向きを1つ合わせて固定してから、もう一方を判断すること。最初から全部を一度に合わせようとしないことです。
声かけ例:「まず、右ねじが進む向きを電流の向きに合わせよう。それだけでいいよ。……合ったね。じゃあ次は、ねじを回す向きを見てみようか。」
ステップ3:フレミング左手は「1本ずつ指を置く」段階処理で
フレミング左手の法則は、「中指(電流)→ 人差し指(磁界)→ 親指(力)」の順に、1本ずつ固定していきます。
3本を一気に構えようとすると、保つ負担が大きくなります。1本置いたら一度止まって確認する——この進め方にすると、保持の負担がぐっと下がります。1本ずつ正しく当てはめれば、最後の親指の向き(=力の向き)は自然に決まります。
声かけ例:「まず、中指だけを電流の向きに合わせよう。それだけでいいよ。次は人差し指を磁界の向きに合わせてみよう。……合ったね、いいね。じゃあ、親指がさしているほうが力の向きだよ。」
ステップ4:電磁誘導は「磁界が変わると電流が生まれる」から動かして見せる
電磁誘導は、磁石をコイルに近づけたり遠ざけたりする動きを、実際に手で(または絵や動画で)見せながら確認すると伝わりやすくなります。
まず「磁石が動くと、コイルの中の磁界が変化している」という状態を理解させます。そのうえで、誘導電流は「磁界の変化を妨げる向きに流れる」と、1パターンずつ確認します。N極を近づけるとき・遠ざけるとき、S極のとき——と、状況を1つずつ確かめてから、最後に並べて比べると整理しやすくなります。
これをすべて毎日やらなければ、と思う必要はありません。まずは「どの法則を何に使うか」の整理だけで十分です。それが定着すれば、手の向きの練習は次のステップに進めます。できそうなことを1つ選んで試すだけでも、お子さんの理解は前に進みます。
まとめ——つまずきの理由と家庭でできる対応
ここまでの内容を整理します。
「見えない」問題:磁界・電流・力はすべて目に見えない。図を読むことが理解の前提になる
「3つの法則の混乱」問題:使う場面の分類を先に覚えてから、手の操作に入る
「段階を保つことの難しさ」(視空間認知・ワーキングメモリ):1軸ずつ当てはめる手順にすることが最も有効
「電磁誘導の向き」:磁界の変化を1パターンずつ順番に確認する
理由がわかれば、お子さんを責めなくてすみます。必要なのは、手順を小さく分解することと、立体を動かして見せる視覚化です。お子さんが自分のペースで1段ずつ進められる環境があれば、自立学習の習慣にもつながっていきます。
毎日教えるのが大変と感じている保護者様へ——天神が磁界・電磁誘導をどう教えるか
ここまでの教え方を毎日続けるのは、問題を用意したり、手の向きを一緒に確認したり、保護者様にも相当な集中力が求められます。正直なところ、とても大変なことです。
そういった方に参考にしていただきたいのが、家庭学習デジタル教材「天神」です。
天神は、Windowsパソコンで使う買切り型の教材です(月額換算で約2,750円〜・兄弟姉妹は追加料金なし)。お手持ちのパソコンがなくても、体験専用のPCを無料でお届けするので、買う前に実際の画面を試していただけます。
天神を使った研究では、週1回・たった10分の使用を3ヶ月続けるだけで、すべての対象児童の視覚ワーキングメモリ課題の数値が改善したという結果が、日本LD学会で発表されています。フレミング左手の法則のように「手を合わせた状態を保ったまま、次の軸を確認する」作業は、まさに視覚的な記憶の力を使う場面です。学習を支える土台に良い変化が見られた一例として、参考になる報告です。障がい児教育の第一人者・山内康彦先生(障がい児成長支援協会 代表理事)も「一番おすすめの教材です」と推薦しています。
天神が役立つのは、こうした「向きが変化していく関係」を動かして見せ、1問ずつ確認できる設計によって、保持の負担を下げられる点にあります。

レクチャー動画で「向きの変化」を動かして見せる
天神の中学理科レクチャーは、アニメーションを使って、磁力線の向きや、電流・磁界・力の関係を視覚的に説明します。
静止した図では把握しにくい「向きが変化していく関係」を、実際に動かして見せられるのが特徴です。図の読み取りに負担を感じるお子さんでも、向きの変化をイメージしやすくなります。
「学校でわからなかったが、レクチャーで初めてわかった!と思えた」
——天神体験後アンケートより
さらに、レクチャー画面の上部には、いま取り組んでいる単元の名前と、おおよその所要時間(例:約3分)が表示されます。見通しが立たないと取り組みを止めてしまうお子さんも、「だいたいどのくらいか」の目安を持って始められます。
「レクチャーに時間が表示されているため、本人が見通しを立てやすく、取り組みやすそうだった」
——天神体験後アンケートより

1問ずつ確認して、すぐに直せる
天神の学習は、レクチャー(理解)→ ポイント(確認)→ 問題演習(実践)の流れで進みます。1単元を小さく分けて、少しずつ積み上げていく構成です。
問題演習は1画面1問。「どちらの向きか」を1問ずつ確認し、解答した直後に音声で正誤が伝えられます(「天才!」「すごい!」)。どこで向きを取り違えたのかをすぐに確認できるため、間違いが積み重なる前に立て直せます。問題文を読むことに負担があるお子さんには、オプションの音声読み上げで読みの負荷を外せるので、読むことにリソースを取られずに向きの判断に集中できます。1画面1問・即時の正誤確認という設計は、保護者様が横についていなくても取り組める自立学習の環境づくりにもつながります。
「ムダなものがなく子どもが集中しやすい。レクチャーがていねいでわかりやすい」
——天神体験後アンケートより

間違えたときの2回目の解答権とヒント
問題を間違えると、ヒントが自動で表示され、同じ問題にもう一度取り組めます(1問につき2回の解答権があります)。手の構えがうまくいかなかったときも、1回で終わらず「もう一度合わせてみる」経験ができる設計です。
「問題が1つ1つ段階を踏んで組まれているところが、子供の理解につながっていきそうに感じました」
——天神体験後アンケートより
前提が曖昧なら、さかのぼって確認できる
磁界・電磁誘導は、電流のしくみや回路の基礎が土台になっています。この前提が曖昧なときは、その前の単元に戻って電流・回路の基礎から確認することもできます。学校の進度に関係なく、お子さんの現在地から積み上げ直せるのが特徴です。お子さんがどの学年から取り組むとよいかは、無料体験のときにご確認いただけます。
天神では無料体験を実施しています。体験専用のPCを無料でお届けするので、実際にお子さんが操作する様子を確認してからご検討いただけます。クレジットカードは不要で、全学年・全教科をお試しいただけます。体験後に購入を強くすすめることもありません。
アール医療専門職大学の坂本晴美准教授(医学博士・発達障害専門)が発達障害のある児童を対象に行った研究では、こんな報告があります。
「『できた!』という自信が、学習意欲だけでなく、運動や日常生活への挑戦意欲、つまり『自立心』へと繋がっていくのです」
——アール医療専門職大学 准教授 坂本晴美先生
※効果には個人差があります。ただ、「向きを正しく当てはめられた」という小さな成功体験が自信の第一歩になる可能性は、どのお子さんにも開かれています。
→ 天神 無料体験・資料請求はこちら
https://www.tenjin.cc/lp/wp/hattatsu-s-02-price/
よくある質問
Q. フレミングの左手の法則、何度やっても手の向きが違ってしまいます。どうすればよいですか?
A. 3本の指を一度に合わせようとせず、「中指 → 人差し指 → 親指」の順に1本ずつ固定する方法を試してみてください。まず電流の向きに中指を合わせたら、いったん止まる。次に磁界の向きに人差し指を合わせる——という1軸ずつの確認が、保つ負担を下げます。1本ずつ正しく当てはめれば、力の向き(親指)は一通りに決まります。「丁寧に1本ずつ」が、いちばん確実なコツです。
Q. うちの子はグレーゾーンですが、天神は合うでしょうか?
A. 天神は、さまざまな特性を持つお子さまに幅広くお使いいただけます。診断の有無ではなく、お子さんの今の学び方に合うかどうかが大切です。まずは無料体験で、お子さんの反応を確認してみてください。
Q. 3つの法則がごちゃごちゃになって、本人がやる気をなくしています。どうすればよいでしょうか?
A. 磁界・電磁誘導は「何度やってもわからない」という繰り返しのつまずきが、嫌いに直結しやすい単元です。「今日は右ねじだけ」「1問だけフレミング左手を試そう」と、扱う法則を1つに絞った小さな目標から始めてみてください。正解できたときに「1本ずつ丁寧に合わせられたね」と、答えよりも手順のていねいさをほめると、つまずきの記憶を上書きしていけます。天神は解答直後にすぐ正誤を音声で知らせるため、小さな「できた」を積み重ねやすい設計です。
Q. 料金はいくらですか?無料体験はできますか?
A. 天神は月額費用のない買切り型で、月額換算すると約2,750円〜です。詳細な料金は、資料請求でお届けする資料に同封しています。体験専用のPCを無料でお届けし(クレジットカード不要)、全学年・全教科をお試しいただけます。購入の義務はなく、体験後に強引にご連絡することもありません。
参考文献
国立特別支援教育総合研究所(発達障害教育推進センター)「位置や空間の把握に関する支援」 https://cpedd.nise.go.jp/support/individual/e1d6d578cd77ea3fa50c9cb325a756f3/
国立特別支援教育総合研究所(発達障害教育推進センター)「学習面でのつまずきと指導・支援」 https://cpedd.nise.go.jp/faqs/faq_questions/view/5170/e1d6d578cd77ea3fa50c9cb325a756f3?frame_id=4908
この記事は天神メディア編集部が作成しました。発達障害の特性には個人差があります。学習面で気になることがある場合は、専門機関へのご相談もあわせてご検討ください。
