「公式はわかるのに、計算になると間違える」——発達障害のある子がオームの法則でつまずく理由と教え方
「V=IRって覚えたって言ってたのに、問題を解くと全然違う式を使ってる」「電流の単位をAに直し忘れるミスが、何回言っても直らない」——。オームの法則の電流計算でお子さんがつまずき続けている保護者様から、こうした声を聞くことがあります。
テスト前に一緒に練習してできたはずが、翌日にはまた同じところで詰まる。教える側も疲れてしまいますよね。
計算がなかなか定着しないのには、発達特性と関わる理由があります。「やる気の問題」でも「練習不足」でもありません。
この記事でわかること
オームの法則の計算がそもそも難しい理由
発達特性があるとさらに難しくなるポイント
今日から使える教え方のコツ(3ステップ)
繰り返しの練習を無理なく続ける方法
まず多くの子に共通する難しさを整理し、次に発達特性があるとどこがさらに重くなるか、最後に家庭でできる工夫を見ていきます。
オームの法則とはどんな単元か
オームの法則は、中学理科の「電流とそのはたらき」で学ぶ電気の基本法則です。中学2年生で学ぶことが多い単元で、「抵抗を流れる電流の大きさは、その両端に加わる電圧の大きさに比例する」という関係を式にしたものが V = IR(電圧=電流×抵抗)です。
公式は1つに見えますが、実際には「何を求めるか」によって使う式が変わります。
電圧 V(ボルト)を求めるとき → V = IR
電流 I(アンペア)を求めるとき → I = V/R
抵抗 R(オーム)を求めるとき → R = V/I
さらに単位が3種類あります。電圧はボルト(V)、電流はアンペア(A)、抵抗はオーム(Ω)です。問題ではミリアンペア(mA)での出題も多く、1A=1000mAの換算が必要になります。
つまりこの単元は、解き始める前から「公式が1つではない」「単位の種類が多い」という二重の負荷を抱えています。お子さんが手こずるのは、ごく自然なことなのです。

オームの法則の計算が難しい理由(発達特性に関わらず共通)
単元の輪郭がつかめたところで、まずは多くの中学生が共通して経験するつまずきを整理してみましょう。発達特性のあるなしに関わらず、ここは多くの子が手こずる場所です。
「何を求めるか」によって式の形が変わる
V=IRを覚えていても、問題文が「電流を求めよ」なら I=V/R に、「抵抗を求めよ」なら R=V/I に変形しなければなりません。
「公式を覚える → そのまま当てはめる」という単純な操作ではなく、「何を求めるかを判断してから、その判断に合う式の形を選ぶ」という前処理が必要になります。これは、1つの公式に数字を入れれば解ける単元とは性質が違います。
単位をそろえる作業が、解き始める前に必要になる
問題文に「300mA」と書かれていたら、V=IRに代入する前に「0.3A」へ換算しなければなりません(300 ÷ 1000 = 0.3)。
式を解くための準備として単位変換が入ってきます。算数・数学の小数の計算がまだ固まっていない場合、ここで崩れやすくなります。
直列回路と並列回路で「何が一定か」が変わる
回路には直列と並列があり、それぞれルールが違います。
直列回路:電流はどこも同じ。電圧は各抵抗に分かれて、その和が全体になる
並列回路:電圧はどこも同じ。電流は分かれて、その和が全体になる
この「直列=電流が一定/並列=電圧が一定」を取り違えると、V=IRに代入する数字そのものが変わってしまいます。これは中学理科で最も間違いが起きやすいポイントのひとつです。
ここまでは、多くの子に共通する難しさを整理しました。次は、発達特性があると、この負荷がさらにどう重くなるのかを見ていきます。
発達特性があるとさらに難しくなるポイント
これは能力の問題ではなく、情報処理の特性からくる負荷の高さの話です。
多段の手順を進める間に、前の段階の情報がこぼれる
オームの法則の計算は、一度に全部を考えるのではなく、いくつかの段階を順番に進めて答えにたどり着きます。「抵抗(R)を求めなさい」という問題なら、おおよそ次の順です。
問題から「何を求めるか」を決める(例:抵抗R)。すると使う式が決まる(R=V/I)
式に入れる電圧と電流の値を回路から読み取る(「直列だから電流はどこも同じ」などの注意もここで使う)
読み取った電流の単位をそろえる(300mA → 0.3A)
値を代入して計算する
ポイントは、後の段階に進んでも、前の段階で決めたこと・出した値を覚えておかなければならないことです。④で計算しているときも、「①で決めた“求めるのは抵抗”」や「③でそろえた“0.3A”」を頭の中に保ち続けている必要があります。
この「前の段階の情報を保ち続ける」ところが崩れる理由は、特性によって大きく2つに分かれます。
保持できる量の限界(ワーキングメモリ):ワーキングメモリは、必要な情報を保持しながら次の処理を進める力で、保持できる量には限りがあります。段階が進むほど抱える情報が増えるため、値をそろえたり計算したりすることに気を取られているうちに、最初に決めた「求めるのは抵抗(Ω)」がぼやけて、出した答えに電流の単位「A」をつけてしまう——といったこぼれ方をします。
注意が他へ逸れる(ADHD):ADHDのあるお子さんは、多段の手順を進める途中で注意が別のことへ逸れやすい傾向があります。③で「300mAを0.3Aに直した」のに、④で計算している間にふと注意がそれて、直したばかりの「0.3」ではなく元の「300」を代入してしまう——というように、一つ前の段階で出した結果が次の操作に引き継がれません。
どちらも「不注意だから」「能力が足りないから」ではありません。情報処理の特性からくる負荷の高さによるものです。なお、特性の現れ方には個人差があります。
回路図を読む作業と、ルールを覚えておく作業が重なる
回路図を見て「これは直列か、並列か」を判断するには、図を視覚的に読み取る作業が必要です。それに加えて「直列なら電流が一定、並列なら電圧が一定」というルールを記憶に保ったまま、計算に使わなければなりません。
図を読むという視覚的な作業と、ルールを保持するという記憶の作業が同じタイミングで重なるため、特に空間の把握や記憶の保持に課題があるお子さんに、負担が集中しやすくなります。
オームの法則の計算を教えるときのコツ
原因がわかったところで、次は今日から使える具体的な教え方を見ていきましょう。どれも「頭の中で抱えていた負担を、紙の上に出す」という同じ考え方が土台になっています。
ステップ1:「何を求めるか」を問題文に丸をつけてから始める
問題を読んだら、いきなり計算に入らず、まず「V・I・Rのどれを求められているか」を問題文の中の言葉に丸をつけます。そして紙のすみに「求めるもの:I」と一言書いてから、式を書き始めます。
「頭で覚えておく」のではなく「紙の上に出す」ことで、計算の途中でその情報がこぼれるリスクを減らせます。
この習慣が身につくと、最初は丸をつけながらでも、やがて「問題文を読む → 求めるものを決める → 式を選ぶ」という順番が自然に踏めるようになります。最終的には丸をつけなくても同じ手順で解き始められる状態が、ゴールです。
ステップ2:単位換算は「代入前の準備欄」を作る
問題にmAが出てきたら、計算に入る前に、問題の横の余白に「300mA → 0.3A」と書く「準備欄」を作ります。
「mAをAに直す」という作業を、計算の外側で先に終わらせてしまうのがねらいです。こうすると、式を変形している最中に「単位を直したかどうか」を頭の中で抱え続ける必要がなくなります。
これも、情報を頭の中ではなく紙の上に置いておく工夫です。準備欄を書く習慣が定着すると、「単位を直し忘れて代入してしまう」というミスが減っていきます。

ステップ3:直列・並列の規則は「電流?電圧?」カードを作る
「直列=電流が一定」「並列=電圧が一定」を、小さな紙のカードに書いて、問題を解くときに手元に置きます。
最初のうちは、問題ごとに毎回カードを見て確認してかまいません。カードを参照しながら何度も使ううちに、「直列を見たら電流が一定」という判断が、少しずつ自分の中から出てくるようになります。
このカードは「毎回引くための辞書」ではなく、「自分で判断できるようになるまでの反復ツール」です。最終的にカードを見なくても「直列だから電流が一定だな」と出てくる状態を目指します。
これら3つのコツは、すべてを毎日やろうとしなくて大丈夫です。できそうなものを1つ選んで、今日試してみてください。毎日完璧にこなすより、続けられる形を見つける方がずっと大切です。
まとめ:オームの法則でつまずく理由と対策
ここまでの内容を整理します。
「何を求めるか」を覚えておきながら計算する負荷 → 求めるものを問題文に書き出して、頭の外に出す
mA→A の換算を忘れてしまう → 代入する前に「準備欄」に書き出しておく
直列・並列のルールの取り違え → カードを手元に置き、反復して自分の判断に育てる
多段ステップの途中で手順がこぼれる → ステップ1〜3の「紙に書き出す」工夫で、直前の結果を引き継げるようにする
共通しているのは、頭の中だけで抱えていた情報を紙の上に出すという工夫です。これだけで、お子さんの負担はぐっと軽くなります。
毎日教えるのが大変と感じている保護者様へ
ここまで紹介した工夫を実践しようとすると、問題を用意して、手順を確認して、ほめるタイミングを見計らって——保護者様にも相当な集中力が求められます。毎日これを続けるのは、正直なところ、とても大変なことです。
そういった方に参考にしていただきたいのが、家庭学習デジタル教材「天神」です。
天神を使った研究では、週1回・たった10分の使用を3ヶ月続けるだけで、すべての対象児童の視覚ワーキングメモリ課題の数値が改善したという結果が、日本LD学会で発表されています。先ほど、オームの法則の計算では「何を求めるか・単位・回路の規則を覚えておきながら計算を進める」負荷が大きいとお伝えしましたが、天神はまさにその保持の力に働きかける設計になっています。
障がい児教育の第一人者・山内康彦先生(障がい児成長支援協会 代表理事)も「知らないと損ですよ」「一番おすすめの教材です」と推薦しています。

天神では、オームの法則をレクチャー → ポイント → 問題演習の流れで学びます。鍵になるのは〈つまずく前に概念を整理する〉〈1問ずつ集中する〉〈間違えたら自動でヒントが出る〉の3点です。
レクチャーでは、電圧・電流・抵抗という3つの量の関係を、アニメーションを使って視覚的に整理します。「公式の意味がわからないまま、何を求めるかも曖昧なまま問題に入ってしまう」という状態を防いでから、演習に進める設計です。続いてポイント画面でレクチャーの要点が整理され、そのまま問題演習へ入ります。

問題は1画面1問の表示で、ほかの問題が視界に入りません。そのため、いま解いている1問——「何を求めるか・どの式を選ぶか」だけに集中できます。答えを確認してから次へ進む設計で、画面に「今が何問目か・あと何問か」も示されるため、見通しが立てやすくなっています。

問題を間違えたときには、ヒントが自動で表示されますので、保護者様がつきっきりで声をかけなくても、お子さん自身が次の一手に気づけます。1画面1問で、間違えたら必要なヒントが出る——この環境が、お子さんが自分のペースで進める自立学習の習慣づくりを支えます。
実際に体験したご家庭からは、こんな声が届いています。
「間違えても心にダメージが少ない(ゲームのような気分でできるので)。間違えた後、どうしたら正解できるかわかるのが良い」
——天神体験後アンケートより
「学校でわからなかったが、レクチャーで初めてわかった!と思えた」
——天神体験後アンケートより
学年をさかのぼって、電気の基礎から始められる
オームの法則でつまずく背景に、中1で学ぶ電流・電圧の基礎や、比例関係の理解がまだ固まっていない、というケースもあります。天神では、購入済みの範囲内で前の学年の単元にさかのぼって学べます。お子さんがどこまで戻ると無理なく積み上げられるかは、無料体験のとき(体験版ではすべての学年・教科を試せます)に確認してみてください。
読むのが苦手なお子さんには音声読み上げ(オプション)
問題文を読むことに負担を感じるお子さんには、問題・ヒント・解説を音声で読み上げるオプション機能もあり、読む負担を減らして計算そのものに集中しやすくなります。あわせて、答えをキーボードで入力する形式なので「自分でキーを打つのが楽しかった」という声も届いています。
「天神を使えばすべて解決する」というものではありませんが、毎日の反復練習の場として、そして「できた!」という体験を積み重ねる場として、保護者様の負担を減らす選択肢のひとつになれると思います。
現在、天神では無料体験を実施しています。体験専用のPCを無料でお届けするので、実際にお子さんが操作する様子を確認してからご検討いただけます。クレジットカードは不要で、体験後に購入を強くすすめることもありません。
計算が一問解けた、という小さな成功体験の積み重ねは、学習以外への意欲にもつながっていきます。アール医療専門職大学の坂本晴美准教授(医学博士・発達障害専門)が発達障害の児童を対象に行った研究では、こんな報告があります。
「何事にも自信が持てなかったお子様が、天神を始めてわずか1ヶ月で自ら『習い事をしたい』と意欲を見せるなど、劇的な変化が見られました。『できた!』という自信が、学習意欲だけでなく、運動や日常生活への挑戦意欲、つまり『自立心』へと繋がっていくのです」
——アール医療専門職大学 准教授 坂本晴美先生
※効果には個人差があります。
→ 天神 無料体験・資料請求はこちら
https://www.tenjin.cc/lp/wp/hattatsu-s-02-price/
よくある質問
Q. 直列回路と並列回路をいつも取り違えてしまいます。見分けるコツはありますか?
A. まずは回路図で「電流の通り道が1本道か、途中で枝分かれしているか」を指でなぞって確認する習慣がおすすめです。一本道なら直列(電流はどこも同じ)、枝分かれがあれば並列(電圧はどこも同じ)です。記事で紹介した「電流?電圧?カード」を手元に置き、図をなぞって種類を判断してからカードでルールを確認する、という順番を毎回踏むと、少しずつ自分で見分けられるようになり、本文で説明した〈何を求めるかを保持したまま計算する〉負荷も一段軽くなります。
Q. 買切り価格が高くて不安ですが、まず体験だけでもできますか?
A. はい、資料請求するだけで無料体験ができます。体験は完全無料で、クレジットカードの登録も不要。体験後に購入を強くすすめることもありません。詳細な料金は資料請求時に同封の資料でご確認いただけます(月額換算で約2,750円〜の買切り型です)。一度購入すればご兄弟も追加料金なしで使えます。
Q. うちの子はグレーゾーンですが、天神は合うでしょうか?
A. 天神は様々な特性を持つお子さまに幅広くお使いいただけます。診断の有無ではなく、お子さんの今の学び方に合うかどうかが大切です。まずは無料体験でお子さんの反応を確認してみてください。
Q. 子どもがやる気を出してくれるか心配です。
A. 最初は乗り気でないお子さんも多いです。天神は正解すると「天才!」「すごい!」の音声が流れるゲーム感覚の設計で、「間違えても心にダメージが少ない」という声も届いています。まずは取り組みやすいところから試してみるのもひとつの方法です。
この記事は天神メディア編集部が作成しました。発達障害の特性には個人差があります。学習面で気になることがある場合は、専門機関へのご相談もあわせてご検討ください。
