「また最初から数えてる…」——場合の数でつまずくADHDのある子への教え方
「樹形図を書いていたのに、途中でどこを書いていたかわからなくなって、また最初から数え直してる」「数え方がバラバラで、毎回答えが変わってしまう」——。
ADHDのあるお子さんの保護者様から、場合の数の単元でこうした声を聞くことがあります。一緒にやればできるのに、一人だと数え漏れや重複が出てしまう。何度も数え直す姿を見ていると、つい「ちゃんと順番に数えて」と強く言ってしまって、後で後悔する。そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
場合の数がなかなか定着しないのには、発達特性と関わる理由があります。「集中が足りない」のでも「やる気がない」のでもありません。
この記事では、その理由と、おうちでできる具体的な教え方を解説します。
この記事でわかること
場合の数(ならべ方・組み合わせ)とはどんな単元か
なぜ多くの子が、そしてADHDのある子がつまずきやすいのか
場合の数を解くために必要な力
今日から使える教え方・声かけのコツ

場合の数(ならべ方・組み合わせ)とはどんな単元か
場合の数とは、「全部で何通りあるか」を数え上げる単元です。小学4〜5年生で登場し、「ならべ方(順番を区別して並べる)」と「組み合わせ(順番を区別せずに選ぶ)」の2つを学びます。中学以降の確率の土台にもなる、大切な考え方です。
たとえば、こんな問題があります。
「A・B・C・Dの4人から3人を選んで、1列にならばせます。ならび方は全部で何通りでしょうか」
この問題を解くときに使うのが「樹形図」です。樹形図とは、「1番目はA、そのとき2番目はB、そのとき3番目はC…」というように、枝分かれさせて全部の場合を書き出していく図のことです。先頭をAに決めたら、そこから出る枝をすべて書き、次に先頭をBに決めて…と、規則正しく書いていくと、漏れも重複もなく数えられます。
ただ、この「規則正しく書く」という部分が、多くのお子さんにとって難しいところです。

なぜ場合の数は難しいのか(発達特性に関わらず多くの子がつまずく)
場合の数は、発達特性のあるなしに関わらず、多くのお子さんがつまずきやすい単元です。理由は大きく3つあります。
ひとつ目は、手順が多いことです。場合の数は「規則正しく・漏れなく・重複なく」数える必要があります。「先頭を固定して、そこから出る場合をすべて書き、次の先頭に移る」という決まったやり方を、最後まで崩さずに続けなければなりません。
ふたつ目は、「ならべ方」と「組み合わせ」の区別がわかりにくいことです。「A→B」と「B→A」を、別のものとして数えるのか(ならべ方)、同じものとして数えるのか(組み合わせ)。この区別は問題文を正確に読み取る必要があり、混同しやすいところです。
みっつ目は、頭の中だけで処理しようとすると情報があふれてしまうことです。「今どの枝を数えているか」「どこまで数えたか」を覚えながら次を考えるため、頭の中が渋滞しやすいのです。
途中で数え直したり、答えがバラバラになったりするのは、決して珍しいことではありません。
ADHDのある子にとって、さらに難しくなるポイント
ここまでお伝えしたのは、多くのお子さんに共通する難しさです。ADHDのあるお子さんの場合、ここにいくつかのハードルが加わります。
ひとつ目は、ワーキングメモリへの負荷です。ワーキングメモリとは、作業をしている間、必要な情報を一時的に頭の中に保持して処理する力のことです。場合の数では「今どの枝を書いているか」「先頭は何に固定したか」を保持しながら手を動かす必要があります。ADHDのあるお子さんはワーキングメモリに課題があることが多く、書いている途中でこの情報が消えてしまい、「あれ、どこまで数えたっけ」と最初に戻ってしまいやすいのです。
ふたつ目は、手順を一定の順序で続けることへの課題です。樹形図は「先頭を固定して書き切ってから次へ移る」という順序を最後まで守ることで成立します。途中で注意が別のところに向くと、この順序が崩れ、同じ枝を2回書いたり、ある枝を飛ばしたりして、重複や漏れにつながります。
みっつ目は、「ならべ方」と「組み合わせ」のどちらで数えているかを、作業中ずっと覚えておく負荷です。数えている最中に「これは順番を区別するんだっけ?」という前提を保持し続けるのも、ワーキングメモリの負担になります。
数え直しが増えたり、答えが安定しなかったりするのは、お子さんの努力不足ではなく、脳の情報処理の特性によるものです。責める必要はありません。

場合の数を解くために必要な力
場合の数が定着するには、いくつかの力がそれぞれ積み上がっている必要があります。お子さんがどこでつまずいているかを確認する目安にしてください。
ワーキングメモリ:今どこを数えているか、どこまで進んだかを保持しながら手を動かす力
手順を一定の順序で続ける力:「先頭を固定して書き切る→次へ」という順序を崩さずに続ける力
ならべ方と組み合わせを区別する理解:順番を区別するのかしないのかを、問題文から読み取る力
漏れと重複に気づく意識:「全部数えきったか」「同じものを2回数えていないか」を確認する意識
すべてが一度に必要なわけではありません。お子さんがどこでつまずいているかが見えると、どこを手伝えばよいかがわかります。
場合の数が苦手な子への教え方【ステップ形式】
ここからは、おうちでできる具体的な教え方を紹介します。一度にすべてやる必要はありません。お子さんの様子を見ながら、できそうなところから試してみてください。
ステップ1:ならべ方と組み合わせの区別を、図で身近な例から理解する
言葉の説明だけでは区別がつかないときは、日常の例を図にして見せると伝わりやすくなります。
たとえば「赤・青・黄の3色から2色を選んで、上着とズボンの色を決める」なら、上着が赤・ズボンが青と、上着が青・ズボンが赤は別の組み合わせ(ならべ方)になります。一方で「3色から2色を選んでバッグに入れる」なら、赤と青を入れるのも青と赤を入れるのも同じ(組み合わせ)です。「順番が関係するかどうか」を、身近な場面で繰り返し確認すると定着しやすくなります。
ステップ2:先に「ならべ方か組み合わせか」を考え、紙に書く
樹形図を書き始める前に、まず「これは順番を区別する問題かな?」を確認します。問題を一緒に読みながら、こう声をかけてあげてください。
「この問題は、ならべる問題かな?それとも、選ぶだけの問題かな?順番がちがったら別のものとして数えるなら『ならべ方』、順番がちがっても同じなら『組み合わせ』だよ。」
最初にこのことについてだけ考え、紙に書いておくと、数えている途中で「区別するんだっけ?」と迷わずに済みます。
ステップ3:樹形図は「声に出しながら書く」
頭の中だけで数えると情報があふれてしまうため、書いている内容を声に出してもらいます。手と口を一緒に動かすことで、「今どこを数えているか」が頭の外に出て、保持の負担が軽くなります。
「先頭をAにしたら、次はB、その次はC——って、声に出しながら書いてみようか。」
お子さんが声に出せたら、「いいね、その調子」と認めてあげると続けやすくなります。

ステップ4:1本の枝が終わったら線を引いて区切る
「先頭をAにした場合」を全部書き終えたら、そこで一区切りの線を引きます。区切りを目で見える形にすることで、「ここまでは数え終わった」「次はBから始める」がはっきりします。
「Aから始まる分が全部書けたね。じゃあここに線を引いて、次はBからいこうか。」
区切りがあると、途中で注意が逸れても「どこまで終わったか」が紙の上に残るので、最初から数え直さずに済みます。
ステップ5:1分岐ずつの「小分け練習」
いきなり全体を数えるのではなく、「先頭をAにしたときだけ」のように、1つの枝分かれだけを書く練習から始めます。1分岐が安定して書けるようになってから、2分岐、全体へと少しずつ広げていきます。
「今日はAから始まる分だけ、ぜんぶ書いてみようか。それができたら、明日はBからやってみよう。」
小さく区切って成功を積み重ねると、「できた」という実感が次への意欲につながります。
これをすべて毎日やらなければ、と思う必要はありません。できそうなステップを1つ選んで試すだけでも十分です。
まとめ
場合の数のつまずきと対策を整理します。
手順が多い(規則正しく・漏れなく・重複なく数える) → 1本の枝が終わったら線を引いて区切り、進み具合を紙の上に残す
ならべ方と組み合わせの区別がつきにくい → 書き始める前に「順番を区別するか」を考えて紙に書く/身近な例を図にして見せる
ワーキングメモリへの負荷(今どこを数えているか保持しにくい) → 声に出しながら書いて、情報を頭の外に出す
手順の順序が途中で崩れやすい → 1分岐ずつの小分け練習で、成功を積み重ねる
すべてを一度に行う必要はありません。お子さんが「自分でも進められた」と感じられる形を見つけることが、自立学習への第一歩になります。
毎日教えるのが大変と感じている保護者様へ
ここまで紹介した対策を実践しようとすると、問題を用意したり、声かけのタイミングを見計らったり、区切りを一緒に確認したり——保護者様にも相当な集中力が求められます。毎日これを続けるのは、正直なところ、とても大変なことです。
そういった方に参考にしていただきたいのが、家庭学習デジタル教材「天神」です。Windows PC専用の教材で、学習中にゲームや動画に脱線しにくい環境でお子さんが集中して取り組めます。
天神を使った研究では、週1回・たった10分の使用を3ヶ月続けるだけで、すべての対象児童の視覚ワーキングメモリ課題の数値が改善したという結果が、日本LD学会で発表されています。先ほど「場合の数ではワーキングメモリへの負荷が大きい」とお伝えしましたが、天神はまさにその情報を一時的に保持しながら進める学習を、無理のない形で支える設計になっています。
障がい児教育の第一人者・山内康彦先生(障がい児成長支援協会 代表理事)は、天神を実際に確認した上で「知らないと損ですよ」「一番おすすめの教材です」と評価されています。

天神では、場合の数をレクチャー → ポイント → 問題演習の流れで学びます。
レクチャーは、アニメーションで「先頭を固定して、そこから枝分かれさせる」という樹形図の書き方を視覚的に説明します。短くコンパクトにまとまっているため、集中が続きにくいお子さんでも最後まで取り組みやすい設計です。続いてポイント画面でレクチャーの要点が整理され、そのまま問題演習に入ります。

問題は1画面1問の表示で、答えを確認してから次の問題へ進みます。「ほかの問題が目に入って気が散る」ことがありません。また目次画面でおおよその所要時間が確認できるため、「今日はどのくらいかかるか」という見通しを立てやすくなっています。

問題を間違えたときには、ヒントが自動で表示され、もう一度その問題に取り組めます。保護者様が横についていなくても、お子さん自身が「どこに気をつければいいか」を確認しながら進められる設計です。正解すると「天才!」「すごい!」の音声が流れ、得点が加算されます。
「間違えても心にダメージが少ない(ゲームのような気分でできるので)。間違えた後、どうしたら正解できるかわかるのが良い」
——天神体験後アンケートより
集中が続きにくいお子さんについては、こんな声も届いています。
「ムダなものがなく子どもが集中しやすい。レクチャーがていねいでわかりやすい。問題数がちょうどよい」
——天神体験後アンケートより
天神は教科書に沿った学年別の構成で、学年を簡単に切り替えられます。場合の数の前提となる単元に戻って確認したいときも、お子さんの現在地から無理なく積み上げていけます。
アール医療専門職大学の坂本晴美准教授(医学博士・発達障害専門)が発達障害のある児童を対象に行った研究では、こんな報告があります。
「何事にも自信が持てなかったお子様が、天神を始めてわずか1ヶ月で自ら『習い事をしたい』と意欲を見せるなど、意欲に大きな変化が見られました。『できた!』という自信が、学習意欲だけでなく、運動や日常生活への挑戦意欲、つまり『自立心』へと繋がっていくのです」
——アール医療専門職大学 准教授 坂本晴美先生
※効果には個人差があります。
現在、天神では無料体験を実施しています。体験専用のPCを無料でお届けするので、実際にお子さんが操作する様子を確認してからご検討いただけます。クレジットカードは不要で、体験後に購入を強くすすめることもありません。天神は買い切り型の教材で、月額換算で約2,750円〜からご利用いただけます。詳しい費用や購入プランは、資料請求時にご確認ください。
→ 天神 無料体験・資料請求はこちら
https://www.tenjin.cc/lp/wp/hattatsu-s-02-price/
よくある質問(FAQ)
Q. 樹形図を書かせても、途中でバラバラになってしまいます。どうすればいいですか?
A. 「全部を一度に正しく書く」ことを最初から求めず、1本の枝ごとに区切ることをおすすめします。「先頭をAにした場合」を書き終えたら線を引き、「ここまで終わったね」と一緒に確認してから次へ進みます。区切りを紙の上に残すと、途中で注意が逸れても最初から数え直さずに済みます。声に出しながら書くのも、頭の中の負担を減らすのに効果的です。
Q. 「ならべ方」と「組み合わせ」の違いを、どう説明すればいいですか?
A. 「順番がちがったら別のものとして数えるかどうか」が見分けるポイントです。言葉だけでは伝わりにくいので、身近な例を図にして見せると理解しやすくなります。たとえば「上着とズボンの色を決める」なら順番が関係する(ならべ方)、「2色を選んでバッグに入れる」なら順番は関係しない(組み合わせ)、というように、お子さんの生活に近い場面で繰り返し確認してみてください。
Q. うちの子はADHDの診断があります。天神は合うでしょうか?
A. 天神は様々な特性を持つお子さまに幅広くお使いいただけます。診断の有無ではなく、お子さんの今の学び方に合うかどうかが大切です。1画面1問の集中しやすい設計や、間違えたときの自動ヒントなど、情報をしぼって取り組める工夫があります。まずは無料体験で、お子さんの反応を確認してみてください。
Q. 場合の数は小学何年生で習いますか?
A. 場合の数(ならべ方・組み合わせ)は、主に小学6年生で学ぶ単元です。学校や教科書によって扱う時期や範囲には幅があります。お子さんが取り組むべき学年や単元は、無料体験のときに実際の画面でご確認いただけます。
参考文献
文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」https://www.mext.go.jp/
国立特別支援教育総合研究所 https://www.nise.go.jp/
この記事は天神メディア編集部が作成しました。発達障害の特性には個人差があります。学習面で気になることがある場合は、専門機関へのご相談もあわせてご検討ください。
