マリア様に見えた木の根っこ
静かな池のそばで、不思議な「かたち」と出会いました。
近所の公園を散歩するのが日課になっています。
緑が深く、池では鴨がのんびり泳ぎ、木々の間を風が通り抜けていく。
ただ歩くだけなのに、毎回どこか新鮮な気持ちになる不思議な場所です。
ある日、その池のそばを歩いていたときのこと。
ふと足元を見ると、地面から何かが「ボコボコ」と顔を出しているのが目に入りました。
木の根っこ?それとも岩?
今まで見たことのない、不思議な形でした。

気になってすぐに調べてみると、それは「ラクウショウ」という木の気根。
水辺に生える木で、根っこが水の中でも呼吸できるよう、空気を取り込む“管”のような働きをしているそうです。
今まで何度も歩いていた道なのに、そんなものがあったなんて。
そう思って周囲を見渡すと、池のまわりには気根があちこちに立っていて、
まるで静かに並んでいる小さな人たちのようにも見えてきました。
その中のひとつをじっと眺めていたら、不思議と銅像のような形に見えてきて、
やがてそれが「マリア様」のように思えてきました。
気づけば、なんとなく手を合わせていたんです。
通りすがりの誰もいない時間。
木の根っこに祈るなんて、自分でもおかしいなと思いながらも、
なぜか心がとても落ち着いていくような、やさしい気持ちになりました。
ちなみに、「ラクウショウ(落羽松)」という名前もとてもきれいで、
枝ごと葉が落ちる様子が、鳥の羽が舞い落ちるようだからだそうです。
自然にあるものって、形にも名前にも、ちゃんと意味があって、
それを知るだけで、世界の見え方が少し変わっていく気がします。
静かな水辺で、名も知らなかった木の前に立ち止まる。
そんな小さな出来事が、今日の心にそっと灯りをともしてくれました。
明日もまた、見過ごしていた風景に目を向けながら歩いてみようと思います。
自然の中には、まだたくさんの“マリア様”が眠っているかもしれないから。
