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本雑綱目 87 週刊朝日編 戦後値段史年表

今回は週刊朝日編『戦後値段史年表』です。
朝日文庫 し 3-4、ISBN-13 ‏ : ‎ ‎ 978-4022611086。
NDC分類では337。社会科学>貨幣. 通貨。
前提知識必要度(なし):☆☆☆☆☆

これは乱数メーカーを用いて手元にある約5000冊の本から1冊を選んで読んでみる、ついでに小説に使えるかとか考えてみようという雑な企画です。

★図書分類順索引

1.読前印象

 この戦後はいつの戦後だってのが最初に来るけど、まあ普通に考えて第二次大戦後かなっていう。二次大戦を前提にすれば、戦後すぐは何もない枯渇状態から始まりその後朝鮮特需等の数度の特需によって景気は上向き、オイルショックでインフレはますます加速し……この話はバブル崩壊までターゲットにしてるのかな。よくわからん。
 とりあえず開いてみよう~。

2.目次と前書きチェック

 序文はなし。
 なんていうかぁ。物の名前があいうえお順に目次に羅列してある。1つの項目に各1頁って感じ。これはもう適当に選ぶしかない。とはいえ無作為すぎるので、三段組の目次に並んでいる一番右の項目を順番に。『岩波文庫』、『絵具』、『懐中電灯』、『乾電池』、『クレヨン』、『国家公務員の賞与』、『質屋の利息』、『寝台車料金』、『大学の授業料』、『地図』、『東京大学の授業料』、『乳酸飲料』、『ピアノ』、『まんじゅう』、『山小屋宿泊料金』、『レコード』。弓張提灯とかもあって面白い。
 開いてみたけどまじかっ。これ『値段だけ』書いてあるわ。たまに使う明治大正風俗史は多少の補足があったから油断していた。基本戦後の昭和20年から多分出版当時の平成7年まで。どうしようっ。どうしたらいいんだっ。値段に感想だなんてッ。仕方がないからいつも通り前段は価格の移り変わりをざっと述べて、後段はなんか思いついた感想を……うかぶのか?

3.中身

『岩波文庫』について
 前半は星1つの定価で、昭和62年以降は最低価格。昭和25年30円から段階的に上がり昭和50年に100円、昭和52年に150円、平成1年に200円、平成2年から平成7年までは210円。
 安いなっ。岩波は帯の色でジャンルが違うんだよね。

『絵具』について
 国産の学童用水彩絵の具(12色入り)の小売標準価格。昭和20年すず張り鉛チューブが6円50銭、翌21年には15円80銭とそこから結構急激に値段はあがり昭和28年100円、昭和54年に500円、平成元年に600円で平成7年に製造中止。昭和62年にポリチューブ750円が登場し、平成元年からは900円。
 すず張りチューブというのはイメージ的に昔のセメンダインとかボンド系にちょくちょく使われてた銀色チューブの奴で、鉛の危険性から置き換わったもよう。絵を描く子供を話に出す場合は年代を注意されたし。すず張りは5ml、ポリチューブは12mlだそうだから、単価的には下がったのかも。

『懐中電灯』について
 国産懐中電灯(単1を2個使用)の小売標準価格だそうで、昭和21年は18円90銭、22年には62円まで上がって昭和26年には135円。結構な値上がり率だな。唐突にドンと値段が上がって平成5年以降は1000円~1100円。
 懐中電灯ってあんまり真面目に選んで買ったことがないけれど、最近は百円ショップでヘッドランプ売ってるから多分国産は高性能以外は滅んだんじゃないかと思わなくもない。

『乾電池』について
 国産マンガン単1の価格で、昭和20年は1円20銭、昭和24年に公定価格が廃止になったそうで、23年には8円80銭(普通品)だったのが28年に35円(同)になる。昭和38年に高性能品が誕生し、普通35円のところ60円で販売されていたけれど、そのあと超高性能品がでた影響で普通は昭和55年ころには需要がなくなる。昭和55年から高性能品は100円、超高性能品は140円で平成7年までプラス10円くらいで推移している。
 超高性能品あたりからおそらく海外工場での製造が安定化したのかなっていう感じ。百ショの電池はすぐ切れるけど、あれは普通品が復活したとかだったりするんだろうか。ないな。昔の普通とは作り方が違う気がするから、単純に蓄電量の差な気がする。

『クレヨン』について
 国産の学童用クレヨン(12色入り)の小売標準価格で、昭和20年は1円60銭で順当に値上がりして昭和26年に50円。昭和32年に太いクレヨンが発売され、細いのより10円高かったけれど、昭和42年から同価格になったり多少差が出たりしつつ、昭和56年以降は太クレヨン300円のみとなる。平成1年380円までは緩やかに値上げし、平成7年まで価格据え置き。
 絵具にくらべると2分の1~4分の1くらいを推移。ご家庭にやさしい。

『国家公務員の賞与』について
 国家公務員上級職に合格した公務員の大卒初任給から算出した年間の支給額。昭和21年は1080円、22年は540円、34年は4140円、24年は2108円と細かく推移しつつ、昭和26年以降は右肩上がり。平成5年最終は94万9760円。
 昭和61年が約60万だったのが平成1年に75万、平成2年に84万になってるあたりバブルを感じる。公務員給与は世情に送れるから平成4年までは上がって平成5年に少し下がってる。

『質屋の利息』について
 東京の民間質屋の利息の最高限度額だそうですが、昭和22年は月7分、23年は1割、29年あたりから少し下がり始めて5~8分あたりをウロウロしつつ平成7年は5分。
 これ最高限度額だから平均を取るときっともう少し低いということだろう。正直最も高利なところを出すなら低利のところも出してもらわないと相場動向がよくわからない気はする。各時期の質屋は流すことを前提にしてたのか返すことを前提にしてたのかが気になるところ。

『寝台車料金』について
 JRの寝台料金で昭和37年までは一等寝台、以降はA寝台を対象。昭和20年は下段が55円上段が40円。23年7月には350円と260円。以降は一等特別室と一等普通室にわかれるんだけど、23年12月は特別室下段2200円上段1800円、一等普通は下段1500円、上段1200円。この割合は継続され、昭和44年個室4300円下段4200円上段3800円。それから上がったりたまに下がったりしつつ最終平成1年は個室13100円下段10300円、上段9360円。
 上段の方が安いんだね。僕は上の方がいい気はするが、上段だと窓をあけたら人と目が合うからだろうか。この間寝台下段にのったらちょうどホームの足が見える感じだった。

『大学の授業料』について
 慶應と早稲田の1年の授業料で実習費は含まない。昭和21年慶應文700円、医工900円、早稲田文680円、理工760円。そこから慶應はあがって昭和23年文6000円、医工7200円、早稲田は文2800円、3300円だが昭和24年ごろには慶應の7割くらいで推移する。昭和38年慶應は医15万円工8万円と学部間の差が開き、以降医は文の5倍、工の3倍程度を推移し平成7年文58万、医236万、工92万、新設の総合政策・環境情報は74万となる。早稲田も文より理工が6割ほど高いまま推移するが、昭和52年ごろから文も理工も慶應よりやや高いまま推移し、平成7年は文が59万6400円、理工が90万。
 なんとなく慶應は高いイメージがあったけど、医学部は別として、思ったほど学費に差がなかった。平成5年の国1公務員初任給が93万なので、やっぱ学費は大きい。

『地図』について
 5万分の1一色刷り1枚当たりの価格。昭和21年は2円、そこから順調に上がって昭和51年に230円、平成3年は税込み240円。
 一枚刷りの地図って買ったことないな……。

『東京大学の授業料』について
 特に学部の記載はないけれど年額で、昭和21年360円、23年1200円、27年6000円からどんどんあがって平成7年44万7600円。
 早慶よりは安いがそれなりにかかる、っていうかこれは何部なんだ! 学部共通ってことはない気はするんだけどよくわからん。

『乳酸飲料』について
 カルピス標準瓶(昭和55年までは633ML、以降は550ML)1本あたりの小売標準価格。23年の12月より製造開始時は290円、31年に280年で17年値上げせず48年に320円、49年450円。瓶を変えたときに440円に値下げし、平成4年~7年は480円。
 これって多分原液価格だよね。希釈量は一定なんだろうか。ここ10年程カルピスは飲みやすくなっていると感じます。

『ピアノ』について
 河合楽器の普及タイプのグランドピアノ(以下G)とアップライトピアノ(以下U)の小売価格。昭和26年G36万、昭和28年U17.8万で、昭和45年でG40万U21.8万。片方しか書いてない年が結構あって、だいたいUはGの4~6割程度の値段のもよう。昭和63年G90万が平成1年G82万に下がっているのは物品税が消費税に変わったため。平成7年はG125万U54万。
 ピアノって贅沢品か。改めて考えてピアノと野菜の税額が同じというのは制度的に違和感が強い。

『まんじゅう』について
 駄餅菓子屋の並饅頭1個の値段(昭和22年は15匁、以降50g)。昭和22年6銭、31年10円、順調に上がっていき、平成7年で80円~140円。
 駄菓子屋ではなく駄餅菓子屋とかいてあるけれど、これっておせんべい屋さんとかのことかな。今のまんじゅう単価はもっと上がっている気がするけれど、これは駄菓子屋に類する低廉な和菓子屋が滅んだからな気がする。

『山小屋宿泊料金』について
 槍ヶ岳山荘の宿泊料金、昭和44年までは米持参または別、昭和45年以降は米代込み。昭和23年は150円、から順調に上がり、昭和44年は1200円、44年は1430円、平成7年は7800円。
 槍ヶ岳は泊った事ないけど、これはタコ部屋寝前提だよね、確か。西穂高は場所借りてテント貼ったことはあるけれど、サイト代は2000円くらいで宿素泊まりで1万円くらいじゃなかったかな。米……ってことは1食か2食付きなんだろうけれど、その間の差異が230円で、でも翌年も110円とか上がってるから正直米炊き出し+梅干し1くらいだろうか。詳細がわからないとなんともいえん……。山小屋はテント運ぶ労力を考えると高いとは思わないけど、宿泊客属性が博打なのであまり泊まりたくない。

『レコード』について
 昭和28年までは国産SP、以降昭和62年まではEP、以降はCDシングル価格。昭和22年までは統制価格。昭和21年2月は1円で11月は17円、23年は135円と爆上がりし、その後も順調に上がり昭和63年以降平成7年は1000円。平成1年に物品税から消費税になた関係で少し値下がり。
 今はだいたいWEBだろうからCDがいくらなのか最早把握してない。配信価格はピンキリだけど、配信って配信会社がサビ終したら全部なくなるからあんまり積極的になれない。

 全体的に、終戦直後に紙幣が紙切れになったんだっていうインフラがドンと起こって、あとは業界によって多少違いはあれど基本的には右肩上がりに値段が上がっていくという状況。でも実質給料も上がってたんだから羨ましいには羨ましい。
 小説に使えるかというと、たとえばピンポイントの昭和の一時代を描くなら資料にはなるだろうけれど、物の値段というのは基本的に社会情勢に応じて変動するものだから、社会の中でその品目がどのような位置づけだったのかっていうのを把握せずに値段だけ把握しても意味がないっていうか。これは本当に補助の補助資料だね。

4.結び

 終身雇用で年功序列が生きていた時代の値上がり率は、給料も同様以上に増えていただろうから、体感物価としてはむしろ下がってたんじゃないかな(もちろん時期にもよるけどさ)。そう考えると今は好景気感とか全くないし、お金使おうかっていう機運が生まれようがないよね。普通に将来考えるなら金貯めないとって気になるし、将来好転する未来がどこからも見えないよ。
 次回は川崎房五郎『江戸ばなし 文明開化東京① 明治前期』です。
 ではまた明日! 多分!

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正直似た本はないんだけど、時代的にはこれか。

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