本雑綱目 71 室井綽 ものと人間の文化史 10 竹
今回は室井綽著『ものと人間の文化史 10 竹』です。
法政大学出版局。ISBN-13 : 978-4588201011。
NDC分類では653。産業>森林立地. 造林。
これは乱数メーカーを用いて手元にある約5000冊の本から1冊を選んで読んでみる、ついでに小説に使えるかとか考えてみようという雑な企画です。
★図書分類順索引
1.読前印象
このシリーズは一つの物体(主に)について重箱の隅をつついていくような本だと思っている。今回の竹は基本的には竹細工をメインとして、日本人の暮しの内で竹がどのような扱いがなされていたのか、を書いた本、な気はする。
個人的には竹取物語が気になるけどあるかしら。
とりあえず開いてみよう~。
2.目次と前書きチェック
目次は『竹の生態』、『竹の利用形態』、『竹と食生活』、『竹と文化』、『竹と庭』、『これからの竹と生活』です。それぞれの下に小タイトルがぶら下がっているけれど、なんとなく民具イメージ。
『竹の利用形態』と『竹と文化』を読んでみよう。
『竹の利用形態』は竹細工の伝承、竹と建築、竹と日常生活、保護と竹、『竹と文化』は祭られる竹、文化財として、文化遺産として、竹の伝承、竹と戦争が小見出しになっている。
3.中身
『竹の利用形態』について。
竹は古代から使用されていたことを表す文献記録は多いが、燃えやすく腐敗しやすいので現在まで残るものは少ない。縄文末期の遺跡からは漆が塗られた籃胎漆器、古墳からは笊が発掘されている。比叡山中に延暦年間に創立された曼殊院は竹の御所と呼ばれ、筍寿司が伝わる。長岡京跡からは竹の排水施設、江戸末期の東大阪で竹の用水路が発見された。鹿児島には様々な竹文化がある。
三重県山田では毎年7/6に熊笹の方舟を流す風習があった。後醍醐天皇は海が荒れた時に笹舟を作って海に放った。笹舟は江湖後集にも記載があり中国文化の影響が伺える。松竹梅の中で真におめでたいのは竹だけで、盛んに伸びることから精力絶倫の意味があり、語呂のために松梅が加わった。
竹を摩擦して火を作り、燃料にも用いられた。竹行李は一時期異常なほど興隆した。箱根山のハコネダケはまっすぐに伸び弾力に富み、虫害を受けないことから御殿場の農家の副業として編まれた。山梨側の富士山麓のスズタケは青木ヶ原、本栖湖畔等から切り出され、甲州笊と行李が作られた。その他東北や長野で竹行李が興隆するが、戦後はナイロンやビニール、ボール紙等の進出やその機械生産によって廃れた。
原始人は竹筒を用いたことに始め、竹はそのままの姿で枡や食器など様々な用途で用いられた。
桂離宮の家屋材料は半分は竹である。兵庫から石川、鹿児島の離島、琉球、サンカ小屋で竹建築が見られる。東南アジアの乾季雨季の差が明らかな地方ほど多い。明治初年ごろまでは竹で屋根を噴き、屋根下地や壁にも竹が使われたが、戦後は板に取って代わられる。万博ではエチオピアの竹家ツクールが印象深かった。
カンナが普及する150年前より以前の日用品は竹細工か藁細工が主流だった。履物や笠・傘にもよく用いられたが、戦後安価な大量製造の製品が出て廃れる。防風水防用に河川に竹林が植えられた。
えーと。エッセイ味のある感じでざらざら記載されているので書出してみた、感じ。竹材は古来より建具、日用品、履物等として幅広く使用されていたが、戦後は安価な代替素材が発生してだいたい廃れてしまったようだ。残念。
『竹と文化』について。
天之鈿女命は天香久山の笹葉をとって舞い踊り、岩戸から天照大神が出てきたことからも、古くから竹笹は日本文化にとって重要だった。神楽声、神の枕詞の神楽浪という表現からも笹を神聖視していた。これは虫除けにもなり、竹筒に果物を入れれば酒になったことにも関連するだろう。
竹漉紙や竹物差し、うちわや扇、柄杓、馬連、釣り竿等も竹で作られ名産となっていた。
麻雀牌は竹のほうが音が良いのは同意。各地の竹と伝承についてと、火縄銃の歩口に竹が使われたこと。
全体的に、竹についてかかれた本である。竹細工の作り方や各地の竹の生育等も詳しく書かれているので、その辺りに興味があれば面白いのかもしれないが、そんな人はきっとあまりいない。もう少し神話伝承よりの記載を期待したが、主に民具寄りの話しだった。そして使い勝手の良かった竹が技術の発展によって同じく使い勝手の良いプラスチック等の製品に取って代わられた。これは竹だけでもないだろう。竹の質感というのは改めて考えれば独特でいい香りもするし、素材としてはとても良いものだと思う。でも時代の流れだろうなあ。
小説に使えるかというと、竹を使った職人の歴史モノを書くのならひょっとしたら役に立つのかもしれないが、あくまで竹一点突破の本なので、あまり役に立つとは思えない。
4.結び
竹皮が欲しいけど英語が通じなくてもらえないと困るのでエチオピアのツクールから竹皮を無断で一枚剥ぎ取る描写があるんだけど、やんちゃに書いてある著者の頭がおかしいとしか思えないやつ。ただこれ万博の頃だから常識が今ともだいぶん違うからなんとも言えない気分だし、エチオピア人にとってもそれほどのことでもないかもしれない。いや、断れよ。そのへんの文化差がよくわからないが、ともあれ断れよと思う。無断で取ってきちゃったうふふじゃねえ。断れ。
次回は渡辺精一監『図説 地図とあらすじでわかる!史記』です。
と思うのだけど、読書ストックが減ってきたので別のエッセイを投げ込むかもしれませんが、あしからず。
ではまた明日! 多分!
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