見出し画像

本雑綱目 107 増渕雄一 おもしろレオロジー どろどろ、ぐにゃぐにゃ物質の科学

[HL:流れて変形するもの、物理ミステリー、物理魔法への架け橋]

今回は増渕雄一『おもしろレオロジー どろどろ、ぐにゃぐにゃ物質の科学』です。
ISBN-13 ‏ : ‎978-4774143101
NDC分類では428、自然科学>物性物理学。
前提知識必要度(物理に対する忌避観):★★☆☆☆
この本に計算式は全然書かれていないけど、物理と聞くとアレルギー発症する人はちょっと無理かもしんない。


これは乱数メーカーを用いて手元にある約6000冊の本から1冊を選んで読んでみる、ついでに小説に使えるかとか考えてみようという雑な企画です。時々恣意的に選んでいることもあります。

★図書分類順索引

1.読前印象:増渕雄一 おもしろレオロジー

 今回はちょっとイレギュラーに図書館で借りてきた本。3か月も近所の図書館閉まっててさ……。そういえば物性物理学の本は手元蔵書にないな。ちょっとダイラタンシーを調べたくて。僕はそもそも中高で物理とってないからこの分野はよくわからんのだが、せっかくだから読んでみる。
 補足:レオロジーとは物質の変形および流動一般に関する学問。当然の前提になってるせいで本文に改めての記載がなかったような。

2.目次と前書きチェック

 序章を読む。
 歯磨き粉は個体なのか液体なのか。マヨネーズと蜂蜜のどちらが流れやすいか。これらの物質の性質を我々は感覚として認識するが、製造現場ではこれらの性質を使いやすさ、快適性等の観点からフィックスさせなければならない。この本では、物質の流動と変形を扱うレオロジー小ネタ集で、教本のコラムで書くようなことをメインで、教本で書くようなことはコラムで書く。
 なんかこういうちょっとひねくれた話は大好き。でも残念、知りたいのは教本に書いてあるようなことだった。けどそれはきっと計算式であふれているので、最初はこれで良い。
 目次を見る。
 『エレクトロレオロジー 推理小説とロボット』、『チキソトロピー、塑性、シアシニング 神のなすレオロジー』、『分子レオロジー 蛇の加速装置』、『食品レオロジー イチゴジャムにはレモン』、『伸長粘度 プラスチックと米のパン』、『ダイラタンシーとシアシックニング 知能的サッカーボール』、『ゴム 紛争さえも散逸』、『地球と宇宙のレオロジー 万物流転』、『癒しのレオロジー くせになるその感触』、『抵抗低減効果 イルカ恐るべし』です。
 やべ、どれも興味ある。
 『エレクトロレオロジー 推理小説とロボット』、『チキソトロピー、塑性、シアシニング 神のなすレオロジー』、『ダイラタンシーとシアシックニング 知能的サッカーボール』、『ゴム 紛争さえも散逸』を読みます。やっぱミステリに使えそうなの優先。
 いつも通り前段はまとめ、後段は感想・雑感。

3.中身

『エレクトロレオロジー 推理小説とロボット』について

ーまとめ
 電場(電荷によって周囲の空間に生じる物理的な場のこと)下で固化する又は粘度が変わる性質をもつ流体を、『ER流体』という。粘度の上昇は10ミリ/秒程度の短時間で起こり、電極間距離1ミリあたり数キロボルトの電圧をかける必要がある。この特性はクラッチやアクティブダンパー、ロボットの関節制御に応用でき、例えば介護ロボットにER流体を組み入れれば、人にぶつかった時に想定される力を前提に自動的に動きを止めさせることができる。力覚提示装置(硬さを変えて質感を現す)としての使用も考えられる。
 19世紀後半から、電場によって液体の粘度(ねばり)が変化することが報告されている。液体に個体粒子を分散させたものは『粒子分散系ER流体』と呼ぶが、誘電体の粒子は電場下で分極し(分かれ)、電荷の過多よりによって近傍の粒子同士が結合し(くっつき)、電極と粒子間に引力が発生する結果、抵抗として働くと考えられる。誘電球モデルでは、粒子が結合すれば個体、結合せずまたは強い力で結合が外された場合は液体となる。
 ディスプレイに用いられる液晶は粒子分散系と異なり、電場下でも粘度が上がるだけで固化しない。粒子は電極間を架橋する(つなぐ)構造を取るが、この均一系ER流体では架橋構造を取らないためと考えられる。仔細については研究がまたれる。

 ER流体は電場に応答するが、磁性流体やMR流体は磁場に応答する。磁性流体はマグネタイト等の強磁性微粒子の表面を界面活性剤(水や油などの性質を変化させて混ぜられるようにするもの)で覆い油等に分散させたもので、宇宙服のシール剤(隙間を埋めて防水性や気密性を高めるために使われるもの)として開発され、現在はHDの流体軸受けに使用されている。磁性流体は磁力線の方向に入り込むので勝手にシールを形成する。
 MR流体は磁性流体より大きな粒子を分散させたもので、流動を与える方向によって抵抗力の大きさを制御できる。鉄粒子等は種類によってはMR流体としてもER流体としても働き、相乗効果を発揮する事もできる。
 これらの流体が日常であまり用いられないのは、デバイス化の困難さやコストの問題のようで、バブル崩壊によって高級装備品にかけるコストが許容されなかったからと思われる。

ー感想
 これ、基礎研究にお金を掛けないっていう流れの直撃を受けている話なんだろうなあ。最近の企業研究は性能を個別に直接上げる方法の研究が主体で、こういった流体の動き自体の研究という商売に直結しない基礎研究は日本では既に難しいのかもしれない。
 それはそれとして、とても夢のある話だ。一番に思いつくのがパトレイバーだったりするけれど、様々なミステリーのトリックにも使えそう。けれどこれらはおそらく未だ一般的な知識ではなく、そのままトリックにバーンと使えばノックスの第三戒、「難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない」に直撃する。
 だからやるとすれば冒頭で義肢の最新技術等としてさらりと書いておくしかないのだろうけれど、読者が解決編で速やかにトリックと義肢(例)が繋がるようにするにはどっかでさりげなく流体の説明をいれなければならず、これがなかなか悩ましい。SFでいかに基礎設定を短文でクリアするかみたいな話に似ている。でもこういう物理トリックって夢なんだよね、やっぱり。犯人は技師か研究者しかありえなくなっちゃうんだけど。

 あと使うとしたらSFかファンタジーだろう。未知の流体として用いる。魔法使いの魔法を使う基礎理論とかにすると面白そうな気はする。魔素とかいうわけのわからん粒子が空気中に蔓延していて、それを電場又は磁場で扱う魔法使いというのはなかなか心躍るんだけれど、単純に考えても無敵すぎて無理な気はする。
 だからそこから色々制限をつけていく必要があって、それは使える魔素の自分からの距離・範囲だったり魔素の属性(火水土風とか)だったりで調節する必要があるとして、今まで魔法をこんな物理的に考えたことがなかったからなかなか興味深い。魔力器官とかの設定に相性がいい概念かもしれない。

『チキソトロピー、塑性、シアシニング 神のなすレオロジー』について

ーまとめ
 ナポリの聖ジェンナーロの血液とよばれる物質は、普段は固まっているが年に二度、儀式の際に小瓶ごとゆっくり揺らしてジェンナーロの遺骸に近づければ液体に戻る。
 このように力を加えると軟化する現象は、①せん断速度(押し流す力に抵抗する性質)の上昇によって粘度が小さくなるシアシニング、②一定の降伏応力(材料の塑性が開始する応力)より大きな力がかかると流れ出す塑性流動(一定限度をこえる応力を受けた物質に生じる不可逆的変形)、③時間とともに応力が小さくなるチキソトロピー(粘度が時間経過とともに変化する)にわけられるが、この3つは性質が重複したり区別が難しく、言葉の定義の変遷もあって、だいたいがチキソトロピーでくくられる。

 例えば力の流れによって粘度が小さくなる現象は、コロイド分散液やエマルジョンで見られる。コロイド分散液は液体中に微粒子が分散したもので、墨汁や練り歯磨きのように静かに置いておくと液体中の分散物が徐々に集まりゲルと呼ばれる網目構造を作り、液体全体が形を保って固体として振る舞うが、外から力が加わりこの構造が破壊されると支えがなくなるので流れる(ゾル)。エマルジョンは液体中に不溶液が分散し牛乳やドレッシング、マヨネーズのように混合物として分散しているときは合一して粗大化し、液が乳化剤等の効果で合一せず、くっつくと媒質側の液体壁が網目状となり、液体感の界面張力によって流れなくなるが、外的力が加われば破壊されて流れる。
 この場合、ゲルをゾル化するために必要な応力が降伏応力として観測されて②塑性流動とみなされ、流れによって徐々に構造が破壊されれば粘度が時間とともに徐々に下がる③チキソトロピーが観測され、流れの速さによって構造が破壊される程度が異なる点でひずみ速度(単位時間当たりの変形量を元の長さで割った速度)の上昇によって粘度が低下する①シアシニングが観察される。

 チキソトロピーは蜂蜜を考えれるとわかりやすい。
 温度が低い時は固まるが、温めると流れる。人はすぐに形を変えることができる液体の性質と、希望の形になった後は留まれる固体の性質の両方を要求する。この力や流れで粘度が変化する現象の応用例はゲルインクボールペンだ。ゲルインクは書いていないときはゲル状で固体として振る舞うが、チップ近傍でボールの回転による力がインクに加わるとゾル化して流れる。
 金属のチキソモールディング(マグネシウム合金の成形法)では、材料に熱を加えて溶かし、溶けた材料を注射器のように圧力をかけて射出して金型に流し込み、保圧冷却して型から取り出す。この際チキソトロピー性を持つ流体を用いれば射出時にかかる高いせん断力で液体の粘度が徐々に下がり、充填が容易となる。
 スプレー洗剤では出すときは粘度が低く出た後は個体となる性質が求められるが、界面活性剤は液中で紐状ミセルという分子集合構造を自発的に形成する。この紐構造は弱い分子集合体なので、スプレーから吐出する力が加わると壊れて液状になるが、すぐに再形成するので壁につけば固体化する。このレオロジーは土木工事でも利用され、紐状ミセルを形成する界面活性剤(花王のピスコトップ)をコンクリリートに添加すると、水中にコンクリートを流し込んだ時に分散が抑えられる。

 歯ブラシとチューブ入り練り歯磨きの登場によって、ライオンからチューブから出しやすく歯ブラシの上で垂れない歯磨きが発売された。現在はポリエチレングリコール等の水溶性の高分子等が加えられ、過渡的な架橋構造を保持してチキソトロピーを出している。
 ペンキには、塗るときは液体、塗る前と塗った後は個体(塗られて乾く)であったほしいという要求がある。クロマニヨン人等の壁画は顔料が動物の脂や卵で壁に付けられている。エジプト文明では蜜蝋やゼラチン、アラビアガムが用いられた。
 現代の塗料は沸点が低く蒸発速度の速い有機溶剤を用いるもの、顔料自体を凝縮してゲル化させるもの、適する薬剤により架橋反応をおこさせるもの等がある。溶剤で薄めて使うタイプでは、塗料自体のレオロジーはニュートン流体(力を加えたときに粘度が変化しない流体)となるように調整して塗りやすくし、溶剤の蒸発によって粘度を上昇させて液だれを防ぐものがある。
 アシナガバチ等は泥で素を作る時に泥水のチキソトロピー性を利用する。ハチは泥を持って来ると羽を激しく振動させ、ゾル化して巣をつくりやすくする。底なし沼は土の微粒子が水に分散した状態で、何もしなければゲル状で固体に見えるが、人や動物が力を加えればゾル化して体が沈む。
 粒子の径や分布によって効果が変化する。

ー感想
 事例報告感があったので、だらだら長くなった。
 この一群の話も物理トリックに使いやすい気はする、が、この項目で想定されている架橋される力ってきっとものすごく弱い。でも何かに使えないかな。
 うーん。使うとしたらこれは物理ではなく叙述のほうな気がしてきた。たとえばジェンナーロのように遺物が特定の動きをしたりしなかったりすることによって印象的な光景を登場人物に焼きつけて時系列の間違いを糊塗するとか。そうすると不可思議な怪異を作り上げてそれが科学的にありうることを証明する、方向になるからどっちかっていうと現代怪異の解明的な話か。あるいは水中にコンクリートを打設する際に界面活性剤が入っていなくて(故意・過失はさておき)人死にがでてその恨みとか、うーん迂遠。
 これ怪異が基本存在しない現代でやるのって難易度が高いのと、その誤りを生じさせる/生じるメカニズムを人為的/非作為的に組み込まないといけないから、それはそれで面倒な気はする。

 この本は具体例として商品名が乗っていて、すごくイメージしやすいのがよい。そういえばジェンナーロの杖はこの間見たパルテノペにでてきてたんだけれど、あれって儀式のときに液体になるんだよね。そうするとやっぱりゆっくり振ることで架橋を壊してるのだろうか。
 この本には火山灰降り注ぐ場所でジェンナーロは処刑されたから特殊な金属が混ざっている可能性を指摘していたけれど、僕はトマトケチャップでも混ざっている説を推す(何の話だ。

『ダイラタンシーとシアシックニング 知能的サッカーボール』』について

ーまとめ
 加えられる変形の速度が早ければ早いほど粘度が上昇し、固体のようにふるまう現象をダイラタンシーと言う。ダイラタント流体の典型は片栗粉水だが、片栗粉水に割りばしをゆっくりいれるなら楽に入るのに、早く居れれば大きな抵抗がある。片栗粉でなくても水に分散しても溶けない粒子の細かい粉であればよい。こぼすと広がって粉を吹くが渇けば掃除機で吸い取れる。
 砂を入れた風船にガラス管(砂が透過しないよう砂との間には布を巻く)をさして管に水を入れて風船を握れば、砂が風船内に移動して隙間に水が入り、風船は固くなる。溶液中の分散粒子は粒子間には弱い反発力等が働き、粒子が運動すると周囲の液体を押し流すことにより周囲の粒子に力を及ぼす(流体力学的相互作用)。これは粒子同士を近づける向きに働くことがあり、粒子が高速に運動するほど早くなる。
 ダイラタント流体は動くときは液体として形状にフィットし、衝撃を感じれば硬化するプロテクターに向いている、バイク用グローブやスキーウェア、ポロ用プロテクタ等に使用されている。これら商用の流体の組成は企業各社によって異なるが、デラウェア社ではシリカ微粒子の分散液を用いている。流体で卵を包んでトンカチでたたいても割れないほどチューニングされているものがある。ケプラー繊維にしみ込ませれば防弾性能が上昇する。そのほかスポーツ競技のボールやテニスラケット、モータースポーツのビスカスカップリングにも用いられる。

ー感想
 
ダイタランシーの例って片栗粉とか砂浜がよく使われるんだろうけどさ、最近Yogiboとかの方がイメージわくかもしれないなと思った。
 ダイタランシーはやっぱり汎用性が高そうだ。いくつかアイデアはでたけれど、これを長編で使うには複数のトリックを組み合わせる必要があるから短編で何か書いてみようかな。そしてすでに書いた片栗粉のやつは量的にちょっと厳しいことを認識した。水を保持する機構がいるからパレットか何かに撒けばよかったのかもしれないが、不自然な気もする。やっぱり調べずに書いたらいかんやつだね。まあそれに気づけたからいいんだ。

 あとこれはわりと防御側の使用方法があって、例えばファンタジーで技術チート関連の話で、撃たれたと思ったのにダイタラント流体を用いたグローブとかで弾丸を防ぐとかいけるかもしれないと思った。いや、それを魔法に代替すればいい、けど魔法に代替する前提だときっと、単純に魔法でかたずければいいって言われそう。俺は理屈が好きなんだよ! 理屈がないと気持ちが悪いんだ。
 でもやっぱ物理はいいな! 物理はうまくつかえば思ったよりいろんなことができる。中高で物理とってればよかったかもしれないが、あの頃は僕は計算がとても嫌いだったんだ。今も嫌いだけど今は嫌いだからやりたくないという発想にはあんまりならないので。嫌でもやらんといかんことはある。やりたくない。

『ゴム 紛争さえも散逸』について

ーまとめ
 特定の分子を取り出して特性を測る単分子計測の技術が発展しているが、この技術は古くメソアメリカの遺跡からも見つかっている。天然ゴムはポリイソプレンの高分子溶液で、高分子は拡散運動(粒子、熱、運動量、等が、散らばり、広がる、物理的な現象)で相互に位置を変える事によって、物質としては流れる性質をもつ。ゴムの木の樹液そのままでは流れて形を保てないため、古代メソアメリカ人は朝顔の樹液を混ぜることでポリイソプレンが架橋して分子が結合し、一つの分子となったゴムをボールとして使用していた。その後グッドイヤーは硫黄を混ぜて加熱してイソプレン分子を結合させる加硫を発明する。
 ゴムは比較的小さな力で大きく変形し、力を取り去ると元の形に戻る性質を持つ。この性質を生かした代表例は輪ゴムや自転車のタイヤチューブ等だ。
 ゴムは温度が上がることによって縮む。金属のバネでは温度が上がれば伸び、逆の性質を持つ。この性質はエアコンのヒートポンプ等で用いられているが、ゴムと空気で伸縮に対する温度の振る舞いが逆になる。
 このゴムの弾性はエントロピー弾性と呼ばれる。ゴムはポリイソプレン高分子が架橋したもので、架橋点の間は紐状の高分子で繋がれる。ゴムひもは熱によってブラウン運動(浮遊微粒子が不規則に動く現象)し、温度が高いほど激しく運動するが、両端は架橋点なので自由に動けず中央部が収縮する。

 ゴムの物性として、加えられた力学的エネルギーを分子の運動によって熱として散逸させる効果がある。具体例としては制振、防音、免震がある。水滴を高いところから落としても跳ね返らずに横に広がるが、固体の場合は跳ね返る。この違いは液体がエネルギーを熱として散逸させ、固体が力学エネルギーとして返すことよる。
 ゴムや高分子は粘弾性体のため、分子の形や架橋程度を変えることによって液体と固体の間を時間によって変化させ、分子運動を制御してエネルギー散逸度合いや応答速度を制御できる。ハネナイトボールは普通のゴムボールと外形上区別がつかないが、変形周期を変えることで1000分の1秒程度の速さの変形は振動を吸収し跳ね返らない(温度を下げると分子運動が変わるので跳ね返る)。
 ゴムのエネルギー散逸はゴムやプラスチックに個体の微粒子を入れる事でも変化する。カーボンブラックを天然ゴムに混ぜると強度が上がる。自動車のタイヤは、転がり摩擦はできるだけ小さくし(エネルギー散逸を抑える)、ブレーキ時の滑り摩擦は大きくしたい(散逸したい)。転がり抵抗は比較低周波数域での特性、滑り抵抗は比較的高周波数域での特性のため、分子運動をうまくコントロールして高周波数域での散逸を高める材料の開発が進められている。また、制御時に大きく変形する部位に散逸度合いが高い材料を使ってバランスをとる等の工夫がある。

 免震ゴムは建物と地面の間に入ることで建物の共振周波数を変え、固有周期を長周期化でき、共振被害を防ぐ。制振では散逸効果の高い高減衰ゴムを用いて地震の揺れを熱に変換して建物の影響を低減させる。
 ゴムは弾性(エネルギー保存)と粘性(エネルギー散逸)のバランスをとることができるレオロジー物質である。

ー感想
 ゴムって1つで1分子なのかっていう驚き。
 わりに公共系の建物に時限的に仕掛けるトリックとか使えないかなと思ったんだけれど、そもそも時限のスパンが長すぎて使うには難しいかな。なんか物理トリックのネタとしかみなしていない気がしてきた。そうだなぁ、簡単というか直截的なのはたくさんのゴムボールの中にハネナイトボールを混入させてそれをトリックに使うとかだけど、パッと状況は思いつかないな。けれどそういう物質があるということを知っていれば何かの時に思い出すかもしれないから良いの。
 それはそれとして日本が大戦時に東南アジアのゴムプランテーションを全て奪って西側世界のゴムが欠如した方向の話は歴史として書いてみても面白そうな気はするが、そうすると主人公を誰にするか難しい。
 ゴムというのは効果が解りやすく汎用的で、昔から存在する物質だから、何かのトリックをつくるとしてその説明はしやすい気はするな。問題はそのトリックを捻りださないといけないってことだけど。

まとめ

 結局全部読んだ。
 それぞれまとめが長くなったけれどまあ仕方がない。
 しれっと知らない用語が出てくるので調べながらまとめたけれど、僕も物理は一度も取ったことがないので概念として以上のところはあまり理解できてない。その一方で、特にこれまで疑問に思っていなかった物理現象も分析すれば思った以上に様々な性質をもっていて面白い。
 全体的に、今では新しいのは無理ゲーと思っていた物理トリックのネタが満載で、とても面白かった。しかしこれは物理(学問)的な話なので、小説で生かすには物理アレルギーの読者でも感じないくらいに物理感(?)を薄めることが前提となる。物理、というか物理のもたらす計算のイメージが嫌いな傾向の人って結構多い。僕も嫌いだけど。
 小説に使えるかというと、使える、けどこれを使おうとするにはこの分野に興味が持てるかどうかで両極端だなと思う。これらの物理トリックはとても魅力的だけど、作中で登場させても種明かしの時にヒントが少なすぎたり説明が難しすぎたりすると真実究明のカタルシスが得られない。この本は例示が商品名とともに出るからとてもわかりやすいけれど、そもそも物理トリックって書く側もよく理解しないとありえへんことになってしまうので、なかなか使うのにハードルが高いな。

4.結び

 たまたま借りてきてたから図書館の本で書いてみたけどさ、半分くらい読んでから本旨にあってないことに気が付く。この本雑綱目はもともとすぐに開ける蔵書の内容の確認のためであって、図書館で借りてくる前提の本は入っていないのだ。だって今書いてるものの資料にすぐ使うために夜中に図書館に押し込めないだろ。そんなわけで図書館の本は以降、この項目には使わない、と同時にすごい使えそうな気がするから古本で売ってたら買うメモ。こう気が付いたから今回感想書くのは全然プラス。
 ところでレオロジーの意味が表紙にしか書いていない(表紙の小さな字のコメントって普通読まないだろ)から調べたんだけど、レオロジーは英語でrheologyで、rheoはpanta rheiパンタレイ、ヘラクレイトスの万物は流転するからきてるらしい。でもこの万物の流転って物質が流れる話じゃなくて哲学な物事の等価性の話だから、そもそも方向性が全然違うんじゃないかしらん。もう流体学でいいよ、流体学で。
 次回はダ・ヴィンチ特別編集『実は平家が好き。―目からウロコの「源平」、その真実』です。
 と、次回を予定していましたが、つぶやき機能の終了に伴い、本記事で本雑綱目の最終となる見込みです。
 これまでお読みいただき、誠にありがとうございました!

★似たテーマの本
うおん。物理な話はまだ読んでないよ。なのでまあ、方向だけは同じにむいていそうなやつ。

★一覧のマガジン

#読書 #読書レビュー #レビュー #うちの積読を紹介する #書評 #読書感想文 #note感想文 #読書記録 #最近の学び


いいなと思ったら応援しよう!