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本雑綱目 42 歴史読本編集部 徹底検証 ここまでわかった! 本能寺の変

これは乱数メーカーを用いて手元にある約5000冊の本から1冊を選んで読んでみる、ついでに小説に使えるかとか考えてみようという雑な企画です。

今回は歴史読本編集部編『徹底検証 ここまでわかった! 本能寺の変』です。
新人物往来社文庫で978-4642050302。
NDC分類では歴史>日本史。
ここまでわかったの時点は2011年なので、最近の関ヶ原新説が騒がれる前の時点。

1.読前印象
 本能寺の変で何故明智光秀がやっちまったかが心底わからないんだけれど、あんまり詳しくはない。関ヶ原はこの間大谷吉継を書こうとして最新説を調べて止まっている。あのくらい劇的な発見があればおもしろいんだけどな。
 信長はみんな書くしキャラ文芸だからそれほど興味がないところではある。創作で歪曲しようが難しいというか、映画の『首』で新解釈しようとしてたけど、やっぱり動かせるとしてあの程度以上は難しいと思う。悩んだりしなさそうだし(印象)、そう思えば異世界転生して唯我独尊させるのにちょうどいいキャラだよな。

2.目次と前書きチェック
 はじめにを読むと、明智光秀のバックを論じるというのは話題が古いと書きつつ、黒幕がいたのか、それぞれの勢力との関係を検証して謎に迫るミステリー仕立ての本、だそうです。
 目次は『本能寺の変を知るために』、『信長の天下統一を阻む抵抗勢力』、『本能寺の変 その後』で構成されています。
 本能寺の変を知るためにから『時代のなかの「信長像」』、信長の天下統一を阻む抵抗勢力から『イエズス会は日本征服を狙っていたのか?』、本能寺の変 その後から『『日々記』から見る本能寺の変』を読みます。豊臣時代の東アジアが書きたいんだい。でも多分イエズス会といってるところから、そんな深くない話と思う。

3.中身
『時代のなかの「信長像」』について。
 信長が目指した国造りについて。そういえば道半ばで途絶えた道の先を考えたことがなかったな。結論としては信長の頭の『全国』の基礎は畿内であり、日本全国の統治指針については特に考えていなかった、というものだ。
 信長の方針は子飼いの直臣や親族偏重であり、松永秀久らのいわゆる外様に対しては大名としてではなく一部下としての扱いに過ぎず、その尖った性格から将来に不安を覚えても当然だったため反乱を促したとする。それを反面教師として独裁しつつ懐柔政策をしたのが秀吉であり、これら独裁をさらに反面教師として従来の幕藩体制をとったのが家康とする。
 そうかもね、とは思う。

『イエズス会は日本征服を狙っていたのか?』について。
 情報のレベルがよくわからないところ。当時日本にきてたキリスト教団体は4団体ほどあり、スペインが後ろ盾のフランシスコ会、ポルトガルが後ろ盾といわれるザビエルが作ったオリジナル色豊かなイエズス会など、それぞれ異なる立場で基本協力、時折反目し合っていたはずだ。指摘されている長崎についても防衛ではなく橋頭堡とするための売却を予定していたようにしか思えない。あそこは軍艦が入るから。
 とはいえこの章の結論は本能寺の変の黒幕がイエズス会説の否定なのでそこは同意するけれど、その原因はスペインから連れて来れる軍事力が少ないから日本征服は不可能だったというものであることは懐疑的。そもそも西欧の大航海時代の征服戦略は本国軍事力によるものではない。現地調達しようとしているキリシタン大名は増えているけれどまだ中央を取るには足りないという意味では軍事力は足りないけれど。
 信長はこの時点ではキリスト教を排斥していないから、将来受け入れられないかもしれないという不安より現在時点で布教の許しのある現状維持のほうが圧倒的に利益がある。動機が立たない気がするな。

『『日々記』から見る本能寺の変』について。
 本能寺の変の資料は少ない。まあ、テロだし。
 そしてこの頁は、日々記を読んでみよう! というコーナー。
 日々記は当時二条御所に向かった公家の体験(?)日記で、門前で追い払われたという記載内容だが、それなりに臨場感がある。

 本全体として、謎解きというよりは本能寺の変には明智光秀の裏に黒幕がいる、という検証をしてみたが、(他の章を読んではいないけれど)どれも論拠が薄くて決定打とはいえないのでミステリ仕立てと銘打った、だけの本のような。イエズス会のところしか読んでないけど、そもそも論というには薄い気はする。頁数はそれほどないので仕方ないところではあると理解するが、それにしてもという感じ。
 小説に使えるかと言うと悩ましい。例えばどれかの陰謀説に乗って書く場合、仮にイエズス会黒幕説で書くとすれば、潰して置かなければならない論点がいくつか浮き出てるので、そういうチェック的には役立つかもしれない。

4.結び
 なんていうか、中途半端だ。それぞれの頁はどちらかというと論文っぽい論調なのに短すぎて論拠を示すに至らず、結局読み物じゃないのかなという印象。どうせならムー的に劇的な方向で振り切ったほうが本としては面白いと思うんだけど、うーん、やっぱり中途半端だな。ここまでわかった、というほどわかってないし、徹底検証もされてない。実録@@の謎系の本も好きではあるのだけど、この手の本にしては面白みが足りない気がする。
 次回は町田隆吉著『グラフティ・歴史謎事典 8 シルクロードの謎』です。
 ではまた明日! 多分!

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