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ダイソン掃除機: 壊れたバッテリーの交換

ダイソンの掃除機を使い始めて10年ほどが経過した。吸引力が高く、コードがないので掃除しやすい。とても便利で毎日利用してきたのだが、ここ数ヶ月はバッテリーが以前より早めに切れるようになっていた。かつては1Fと2Fの両方を一度に掃除できたのだが、最近は2Fを掃除すると1Fの掃除途中でバッテリー切れとなってしまう。掃除機が突然停止し、再充電しないと1Fが掃除できない状態となっていた(充電はすぐには終わらないので、すごく不便である)。

そして、ついに「その時」がやってきた。2025年の大晦日である。いつものように壁に取り付けた充電器からダイソン掃除機を外して電源レバーを引いたのだが、うんともすんとも言わなくなってしまったのだ。充電時間は十分なのに、まったく起動しない。バッテリーが死んだのであった。

知人もちょうど同じ時期に同じ機種を購入していて、ちょっと前にバッテリーを交換したというが、どうも、ダイソン掃除機のバッテリーの寿命は10年程度のようである。ちなみに注文の翌日に配達されたそうで、その手際の良さに感心したという。

交換用バッテリーの購入

掃除機を新型に買い換えるか、それともバッテリーを交換するか迷ったのだが、今回はバッテリー交換を選んだ。正月になると廃品回収の手続きがやりにくくなるし、通信販売で新機種を注文したとしても商品が届くのは少し先になりそうだし….しかし決め手になったのは、上述の友人の経験である。交換パーツが速やかに配達されるのは非常に魅力的である。正月であることを加味しても、おそらく数日で配達されることが期待できそうだ。

ところがである….。友人に教えてもらった通り、ダイソンのダイレクトショップでパーツセクションに入り、該当する機種のバッテリーを検索してみると「在庫なし」だという….。

「在庫なし」と表示されたお目当てのV7用バッテリー

感じたのは、「がっくり」という落胆よりも、「もしかして製造中止?」という恐怖であった。日本の家電などでは、古い機種の部品は数年程度しか保管してないケースが結構ある(「建前で10年は大丈夫と購入時に説明されると思うが、実際には数年で消えてしまうケースが多いよ」と先日エアコンを買いに行ったパナソニックの小売の方から話を聞いたばかりだったのだ。パナソニックは部品をちゃんと長年確保する代わりに、製品価格に転嫁し値段が高めになるという「言い訳」であった)。

仮に製造中止だとする新しいモデルのダイソン掃除機一式を購入する必要が出てくる。しかし、昨今の物価高でダイソン掃除機はかなりの値段になっているし、正月に新商品を買うとなると「在庫がない」とか言われかねない。面倒なことになりそうで、気が重くなってしまった。

そこで思いついたのが(禁断の)「互換バッテリー」である。純正品が1万円弱だから、互換製品なら数千円だろう。しかも、amazonのロボット式自動倉庫なら(正月とはいえ)早めの配達が可能かもしれない。ということで、検索してみることにした。すると出てくる出てくる….。

まずは、amazonで人気のありそうな、しかも安いものを検索してみた。目に止まったのはAWANFIという(聞いたことのない)メーカーの3000円程度の商品であった。配達は翌々日で、評価は⭐️⭐️⭐️⭐️(5つ星中の4つ星)だという。購入例も多く、PSE適合マークも取得済みということであった。

AWANFIというメーカーのV6用互換バッテリー(amazon.co.jpで2026.Jan現在に販売中のもの)

また、AWANFIの互換バッテリーを取り付けてみたよ、というブログ記事も複数見つけることができた。「交換してから10年経つけど大丈夫だった」みたいなことは書いてなかったが、こういうのがあるとなぜか安心してしまうのは確かである。

以上の簡単な「調査」を踏まえ、amazonで「注文を確定」ボタンを躊躇せずに押し、AWANFIの互換バッテリーの購入が決まった。これで一安心。埃にまみれた部屋からなんとか脱却できる….とおもったのだが、ちょっと気になったのが「最近のリチウムバッテリーの発火事故」である。上で「禁断の互換バッテリー」と書いたのは、互換製品には粗悪品が混じっていることがあり、発火事故が増えているという報道を小耳に挟んでいたからである。しかし、汚くなった部屋を掃除したい一心で、その「小耳情報」が無意識のうちにブロックされていたのであった。

リチウムイオンバッテリーの発火事故

注文した後である。キャンセルは面倒臭い。「まあ大丈夫だろう」と自分を納得させようとしていた。しかも、多くの人がすでに購入している製品である。きっと火災など起こしていないよ、と思いながらも、「念の為」に軽めの検索だけはしてみることにした。すると、初っ端に表示されるGoogle AIのレポート文に(これまでの私の態度に対する)「戒め」に近い内容が書かれていて、胃と腸が引き攣ったのである。「最近、ダイソン掃除機の互換バッテリーの発火事故が目立つ」というのだ….。

冷や汗が流れ、齧り付くようにその参照文献を読み始めた。まずは日経XTECHというウェブマガジンの記事に、発火事故についての経済産業省の緊急告知についての紹介があった。

その記事にあった「すみとも商店が輸入した…Orange Line DC60…」というリコール製品の写真が、一見(さっき購入手続きしたばかりの)AWANFIの互換バッテリーと同じなのであった….(よくみると表面の切り込み模様に違いがあるのがわかる、しかし、概形がほぼ同じに見える)。

日経XTECHの記事から切り出した写真(PSE保証されているそうである…)

「これはまずい….」と焦りを感じ、慌ててamazonのアカウントページに入り、キャンセルの手続きに突き進んだのである。幸い、キャンセルは受理されたので安堵であった。

ここまでで分かったこと:

1. PSE適合マークは当てにならない(経産省の緊急告知に掲載された事故品にはPSE認定マークが付いていた!)。
2. amazonで4つ星評価されていても「保証」とはならない。
3. 発火事故は使用開始直後に起きるとは限らないかも(ブログで紹介されているということは、しばらくは大丈夫らしい)

特に3の点についてはリチウムイオンバッテリーの構造に関係していると思われる。「不良品」とはいったいなんなのだろうか?おそらく、どんな「不良品」でも新品時には正常に作動するという性質があるのではないだろうか?「不良品」という意味は(たぶん)「劣化が早い」という意味かもしれない。さらに「劣化を検知するシステムが弱い」ということも関係しているような気がするのである。

これを確かめるためには、更なる調査が必要だろう。しかし、それはちょっと面倒である(この思考パターンがまずいのは重々承知なのだが、やはり人間というのは弱いものである…)。Google 検索してみると「互換バッテリーには日本製品もあるので、そちらをお勧めする」というのがあったので、日本企業が提供する「ダイソン互換バッテリー」を探してみることにした。

日本製のダイソン互換バッテリー: エネライフ

Google検索の結果、互換バッテリーを分析している専門のサイトがあることがわかった。どうもバッテリー系のエンジニアの方が個人的に運営しているサイトのようである。その記事の一つに「日本製のダイソン互換バッテリーとしてエネライフ製品がおすすめできる」とあった。

この記事に従って、amazonで検索してみると(さっきは中国製品に埋もれてなかなか見つけられなかったが)エネライフ製の互換バッテリーが販売可能であるという情報が得られたのである!

amazonの販売ページより切り取ったもの

値段は6000円ほど。AWANFIの倍であるが、純正品の2/3である。

PSE認証は”意味なし”であることはわかっているが、「無い」となれば即却下であるから確認は必要である。その結果、一応PSE認証はされているようであった。

評価は4.2スターで、購入件数もそれなりにあるようである。が、こういった情報は(先ほどのAWANFIの例で見たように)役に立たないのは重々承知である。が、まったく星がつかない、というのも、購入者が0というのも、問題であろう。そういう意味では、EnelifeはAWANFI程度には「よい評価」を受けているようであった。これは少なくとも「購入直後なら問題なく使用できる」ということを意味しているのかもしれない(「直ちに影響は出ない」という官僚がよく使う言い回しのような感じであろうか?)。

最後は、発火事故が報告されているかどうかである。Google AIに調べてもらうと「そういう事故はこれまで報告されていない」のだそうだ。これに気分を良くした私は、さっそくamazonで注文することにしたのである!

これでやっと掃除ができる、と安心したのである…が、AWANFIのこともある。発注した後とはいえ、念の為更なる情報を求めて、"互換バッテリー.com"の記事を読み進めてみることにした。すると、気になるコメントが書いてあったのである。

まずは「評価する点」からみてみよう。

エネライフバッテリーに関しては、公式には発火事故を防ぐための対策として、「保護回路の搭載」「高品質なセルの使用」「PSE認証の取得」などをアピールしています。また、5億円の製造物責任保険に加入していることからも、万が一の事故に対する備えは十分にあると言えるでしょう。

互換バッテリー.comより

これだけを見れば、購入に関して迷いが発生することはないだろう。しかし、この次の段落が問題であった。

ただし、実際の製品検証では、エネライフバッテリーの保護回路が「全セル+単セル検知方式」を採用しており、これは特定条件下でのセルアンバランスを見逃す可能性があることが指摘されています。また、放電遮断機能が十分でないという検証結果も報告されており、理論上は過放電によるリチウムデンドライトの発生リスクが考えられます。

互換バッテリー.comより

だんだん記述が技術的になっているため、一読しても意味がわからない人が多いだろう(私もその一人)。そこで、「まあいいか」と最初は思ってしまったのである。しかし、最後の文が気になるのも確かである。「(事故の報告はないが)理論的には過電流がありうる」という部分である。先ほどのAWANFIの購入にあたっては「面倒になって調査を途中で辞めた」のが失敗原因だったわけで、今回はそこで学んだことを思い出し、ちょっとだけ我慢して奥へ進んでみることにしたのである。

まずは「全セル+単セル検知方式」とはなにか、そして次に「セルアンバランス」、そして最後はリチウムデンドライトについて調べてみた。その内容は「次回へ続く」ということにしよう(ちょっとこの記事が長くなりすぎたので)。

ただ、この調査をしてみて、私がどういう結論に至ったのかについてだけは、ここに書いておく。結局エネライフ製のダイソン互換バッテリーも注文キャンセルとしたのである。決め手は「セルアンバランスによるデンドライトの発生が過電流、およびショート(回路短絡)を引き起こし、発火を起こす可能性がある」と判断したからである。(つづく)