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nasigorendayo
自動#風まかせ文芸部
小さな頃、母に連れられて行った郊外のスーパーマーケット。
その入口に立ったとき、私は生まれて初めて「自動ドア」というものと出会った。
扉はガラス張りで、向こう側に果物の山やカラフルなポスターが見える。
でも、その透明な壁は、じっと私を拒むように動かない。
「開かないよ?」
私は母のコートの裾を引っ張った。
「大丈夫。歩いてごらん」
母は笑うだけで、手を伸ばそうとはしない。
半信半疑のまま、小さな足で一歩踏み出したその瞬間、
すうっ、とガラスが左右に割れるように滑っていく。
「えっ!」
たった一歩で世界が勝手に動いた。
魔法みたいだ、と本気で思った。
中に入っても私は振り返り、何度も何度も確認した。
すると、次の人が近づくたびに扉はまた静かに開いていく。
『私のためだけじゃないのか』
子ども心に、少しだけ悔しい。
でも、帰り道で母が言った。
「自動ドアってね、誰にでも同じように開くんだよ。
それが便利なんだけど、ちょっと優しすぎる気もするよね」
その言葉が妙に胸に残った。
今でも自動ドアの前に立つと、『開くよね』と思う自分がいる。
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