Photo by
satomigoro
恋花粉/毎週ショートショートnote
ある春の日、大学生の裕也は突然、くしゃみが止まらなくなった。鼻水も出るし、目もかゆい。
「やばい……花粉症デビューか?」
そう思っていたが、どうも様子がおかしい。花粉が多い日は何ともないのに、特定の場面でだけ症状が出るのだ。
それは、同じゼミの千夏が近くにいるときだった。
ゼミ室で千夏が裕也の横を通った瞬間
「ハックション!!」
千夏が裕也に話しかけた瞬間
「ズビッ....(鼻水)」
裕也は気づいた。これは普通の花粉症じゃない。千夏限定の花粉症、いや「恋花粉症」だと!
これはまずい。好きな子の前でくしゃみと鼻水を撒き散らすなんて、恋愛以前の問題だ。
意を決して病院に行くと、医者は笑いながらこう言った。
「君、それはただの恋だよ」
でも裕也は信じなかった。
なぜなら、彼の隣では、
「裕也くん、最近ずっと鼻かんでるね」
千夏も、同じくズビズビしていたからだ。
そう、千夏も裕也に「恋花粉症」だったのだ。
春の風に乗って、二人の恋は静かに舞い始めた。
410字
いいなと思ったら応援しよう!
いつもありがとうございます。よろしければ応援をお願いします。これからも分かりやすい記事の投稿に努めてまいります。