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mahorogood
溜め息#風まかせ文芸部
教室の窓際。午後の授業が始まる五分前。
神谷はペンをくるくる回しながら、ふっと息を吐いた。
その小さなため息は、机に突っ伏していた隣の席の男子を起こすには十分で。
「なに?そんなに大きな悩みでもあんの?」
「別に。ため息って、理由がないとしちゃいけないわけ?」
言い返す声はどこか投げやりで、それでいてほんの少し甘えているみたいに聞こえた。
「ため息つくと幸せ逃げるって言うだろ」
「そういうこと言う人が、幸せを逃がしてるんだよ」
彼女はまた、ふうっと短く吐く。
窓の外、白い雲がかたちを変えながら流れていく。
逃げていくのは幸せじゃなくて、時間のほうなのかもしれない。
チャイムが鳴る直前、彼も小さくため息を真似してみた。
理由なんてない。ただ同じ音を並べてみたくなっただけだった。
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