インディーロックはなぜ失速したのか。
2000年代、インディーロックは音楽シーンの中心に位置していました。
もちろん、とっくにカニエ・ウェストや50セントなどのヒップホップ、クリス・ブラウンやアッシャーのようなR&Bは大人気でしたし、ジャスティン・ティンバーレイクにビヨンセらポップアクトもチャートを席巻していました。
ただし、右肩上がりを続ける音楽フェスのヘッドライナーはインディーロックバンドが中心で、いまだ健在だった音楽雑誌やブログメディアを賑わせているのもそれらのインディーアーティストたちでした。
そんなインディーロックが明確に失速したのが、2010年代。すでに音楽の仕事をしながら公私共にインディーキッズだった僕は、2010年代半ばのインディー苦境に戸惑い、苦しさを感じていたのを今も覚えています。
インディーロックに何が起こったのか? その背景を7つの視点で整理します。
※ちなみに「インディーロックとインディーは厳密には違う」と僕は思っていましたが、2025年の今は「どっちも同じでいい」って気分です。フジロックにロックバンド以外が出るみたいな感じで。
照沼健太
編集者・ライター・YouTuber。テレビ東京やNetflixのメディア運営、レディオヘッドら数々のアーティストのCD封入解説文、HIKAKIN、米津玄師、押井守、藤本タツキなどのクリエイターや多くのビジネスパーソンの取材を担当。2023年末からはYouTubeチャンネル「てけしゅん音楽情報」を運営(2025年2月末時点でチャンネル登録者数約5万人)。
1. 「ブログ文化」の終焉

2000年代にMySpaceやMP3ブログが牽引したインディー/DIYのネットワークは、2010年代初頭にSNSのアルゴリズムとSpotifyのようなストリーミングサービスに置き換えられました。
おそらくこれを読んでいる多くの方は、00年代と2010年代とで全く違う音楽の聴き方、出会い方にシフトしていたのではないでしょうか(僕もそうです)。
この変化によって、いわゆる「ビッグヘッド&ロングテール」化が進行。
ブログ経由で新曲が瞬時に話題化する循環が消え、インディー発のバズが起こりづらくなりました。
チルウェイヴの短命さを振り返るPitchforkの特集は、その転換点を象徴しています(Pitchforkも、もともとは音楽ブログでした)。
2. ストリーミング時代の「ヒップホップ最適化」
これは音楽ファンにとっては耳タコ案件ですが、Spotifyなど音楽ストリーミングサービス、そしてTikTokのレコメンドは、短尺でフックが“早く、細かい”楽曲を優遇する傾向にあると言われています。
英Guardianは「コーラスを頭に置く曲が急増した」と指摘し、この構造がギター中心のバンドサウンドを不利にしたと分析。
それを証明するかのように、2017年にはヒップホップ/R&Bがロックを抜き去り、米国で最も消費されるジャンルに躍り出ました。
3. 「インディーがポップ化し、ポップがインディー化」した
And you would hide away and find your peace of mind
With some indie record that's much cooler than mine
あなたはどこかに隠れて心の安らぎを得るんでしょ
私のなんかよりずっとクールなインディーのレコードを聴きながら
2025年現在、僕たちは「Bon Iverとテイラー・スウィフトの共演」を当たり前のように感じていますが、これは2000年代的価値観では、まずあり得ない出来事でした。

インディーロック衰退が目に見えて表れた2014年、僕はイギリスの人気バンドThe 1975にインタビューしました。
その際のやり取りが次の通りです。
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