見出し画像

【蝦夷幽世問わず語り】ケソラプ

沙流川流域の伝承に登場する、眼状紋のある尾羽根を生やした幻の鳥。名前は【羽に斑点がある】(ケソ→斑点、ラプ→翼、または羽毛)の意。しばしばクジャクと同一視される(但しクジャクは眼状紋がある飾り羽を持つのは雄だけだが、ケソラプは雌雄共に眼状紋がある尾羽根を生やしているらしい)。

〈容姿〉
概ね、古代中国の鳳凰に似たイメージのようである。人間の子供位ならその腹の下で隠し庇える位には大きい。

〈性質〉
少なくとも邪悪な存在では無い。天界や遠い土地(例えば樺太など)から【まれびと】として姿を見せるカムイであるとされる。一方でヒトの美男子に惚れて、巫術を駆使して何とか配偶者にしようと目論むも、露見して談判の末に降参する等、些か人間臭く俗っぽい逸話もある。

〈備考〉
ケソラプやフリュー(【フリュー】の項目も参照の事)のような幽世の鳥について、アイヌ伝承では他にも以下のような存在が伝わる。

ニシカントリ
字義は【天上の鳥】。英雄神アイヌラックルを助勢した聖なる鳥。

クンネチカプ
字義は【黒い鳥】。英雄神ポンヤウンペ(ポイヤウンペ)が征服した北方のコタンに流れる、クンネペッ(黒い川)と言う河川に住む怪鳥。一説には【悪徳の象徴】であると言う。

フウレチカプ
字義は【赤い鳥】。英雄神ポンヤウンペが征服した北方のコタンに存在する、フウレケナシ(赤い林)と言う森に住む怪鳥。フリュー(【フリュー】の項目参照)と何らかの繋がりがあるとされる。

イワエチシチス
字義は【山で呼ぶ者】。鳥の姿をしているが、鳴き声は牛のような太い吠え声であると言う。その鳴き声は凶兆とされている。また、様々な悪霊・魔物と友好関係を結んでいる。

イワオロペネレプ
字義は【岩を破るもの】。巨大な夜行性の鳥の姿をしており、岩をも破壊する凄まじい怪力を持つ。その叫び声を聞いた者は即座に死んでしまう。

ライクルエチカップ
死人を食べる妖鳥。野営している人の近くの木に止まり、隙をついて襲いかかる。また、戦乱のあった地域では死肉を啄んだ鳥が「あの美味い食べ物をもう一度食べたい」と人語で叫ぶ事がある。

ラプスカムイ
中川郡豊頃町十弗とうふつの伝承に登場する怪鳥。その鳥を吹き通してくる風を受けると著しく身体を病み、酷い時は死に至る。ラプシヌプルクル(【ラプシヌプルクル】の項を参照)の伝承の変形か。

※クンネチカプとフウレチカプについては吉田巌『アイヌの妖怪説話 (續)』及びWikipediaの関連項目に依る。

参考資料
アイヌの物語世界(中川裕著、平凡社)
アイヌと神々の物語(萱野茂著、ヤマケイ文庫)
Wikipedia

いいなと思ったら応援しよう!