冬こそ読書 「北極星をえがく」
遅ればせながら明けましておめでとうございます。経理作業や年末調整の書類提出などをこなしていたら、元日から1週間が経ってしまいました。時の流れは早いです。
「雪のない正月を迎えるのは久しぶりだなあ」と思っていたら、大みそかから元日にかけて、しんしんと雪が降った札幌。きょうは大雪警報が発令される大荒れの天候で、午後5時までの12時間降雪量は40センチと、1月の観測史上最多を更新しました。マンションのベランダにも大量の雪が積もり、視界は効かず真白な世界が広がっています。

こんな日は自宅を出ず、読書か映画鑑賞にひたるのが一番。「読書の秋」と言われますが、北海道は「読書の冬」だと思います。昨年は「二季」という言葉が流行語となり、全国的に秋の季節が短くなっているのかもしれませんが、北海道はもともと秋が短く、長い冬が来る前に積極的に外出して景色やグルメを楽しむのが毎年の習わしです。
「越冬移住」を進めている私は、今年も1月末から北海道の方々を連れて沖縄に滞在します。旅に備えて電子書籍が読み放題になる「Kindle Unlimited」に加入しました。
12月に入ってからAmazonのウェブに、数年前に利用させてもらった「3カ月99円」のキャンペーンが表示されるようになり、「初めてじゃなくても利用できるのかな?」と思いながら調べると、一定期間を置けば再び対象となることを知り、迷わず再加入しました。
そんなわけで、ここ数日はKindleでの読書にいそしんでいますが、最近読んだ中で個人的に秀逸だった本がありますので、ご紹介します。
今年、創基150周年を迎える北海道大学が記念事業の一環で無料配布を始めた連作小説「北極星をえがく」です。作者は北大出身で2024年上半期に直木賞候補にもなった岩井圭也さん。1987年生まれで、現在38歳の小説家です。

「個人的に」と書いたのは、自分の母校が舞台であることが最大の理由。ですから、刺さるのは一部の人だけかもしれませんが、「北大での学生生活ってこんな雰囲気だよ」ということを知らせるのにぴったりな内容です。
小説である以上、登場人物は架空の名前なのですが、大学で行われる授業にはモデルがあります。
昨年7月に刊行された第1話「教養等の蛙たち」は、主人公の泉ひばりが北大入学直後、構内に生息するカエルの解剖実習を通じ、研究者として必要な問題解決の視点と手法をマスターする「蛙学(あがく)への招待」を受講するところから始まります。
こちらは2001年から20年間に渡り、1年生に向けて開講された授業で、単位取得の難易度が高く、学生間で「あの授業だけは取るな!」とささやかれながらも、毎年高倍率となった「名物講義」です。その内容も一冊の本にまとまっています。
小説では、ひばりが授業を通じて仲間との結束を強めていく過程が描かれています。私が学生時代には行われていなかった授業ですが、セイコーマートで買い求めたスナックや飲み物を持ち寄り、大学界わいに住む仲間のマンションで課題への準備を進めるシーンなど、「当時と変わらない生活が今も繰り広げられているんだな」とノスタルジックな気持ちにさせてくれました。
昨年10月に刊行された第2話「歌え、ソングバード」では、2年生に進級したひばりが、カナリアなどの鳴禽類(ソングバード)が、歌を学習する仕組みを研究する授業を受講します。
担当する理学部教授の考え方に感銘を受け、研究室の手伝いを始めるのですが、厳しくも温かい指導の様子が熱を持って描かれています。
最後に仲間と大学構内で楽しむジンパ(ジンギスカン・パーティー)は、北大生にとって通過儀礼のような行事。私が卒業した後、ジンパのできる場所など色々と制約ができましたが、仲間との絆を深める伝統が脈々と受け継がれていることを嬉しく感じました。
これまで2冊刊行された小説は、第1話が92ページ、第2話が76ページと、いずれも1~2時間で読み終えられる内容。大学時代に「動物行動学」を専攻していた自分も、論文執筆に向けて気合を入れた学業を思い返すとともに、「あの時のような情熱を持ってこれからも何かに打ち込みたい」と思わせてくれる物語でした。
小説は第5話まで3カ月ごとに刊行予定で、今月中には第3話が出ます。私はこれを読んでから沖縄に向かおうと考えています。道外でも丸善、ジュンク堂などの大型書店で配布しているそうなので、こちらを参考に。
私もMARUZEN&ジュンク堂書店札幌店を訪れてみましたが、バックナンバーを手に入れるのはなかなか難しいよう。ネットでは高額で転売されているケースが見受けられますが、あくまで無料の本ですので悪質業者から購入されないよう注意願います。
岩井圭也さんもnoteを執筆されており、私もフォローさせていただいたので最後にリンクを貼らせていただきます。今後の展開、楽しみにしています!
