【全文】衆議院 内閣委員会 質疑/幹事長・高山聡史(2026年4月24日)
2026年4月24日に衆議院 内閣委員会で行われた質疑における、チームみらい 幹事長・高山聡史の質問と、各答弁者による答弁を全文書き起こしたものです。
質問者=チームみらい 幹事長・高山聡史
答弁者=小野田紀美 内閣府特命担当大臣(人工知能戦略)、城内実 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
1. 人工知能基本計画に基づくAISIの強化について
高山聡史
チームみらいの高山聡史です。この内閣委員会において、本日午前も、大島委員、平委員のご質問の中で、最新のAIモデルとサイバー攻撃のリスク等に関連した質疑がございました。AIモデルの能力をどう評価するか、そして、その評価に基づいて活用やリスクに対する備えについても考えていくということは、もはや国家にとって最優先アジェンダの一つです。
今月、4月7日にAnthropic社がClaude Mythosを発表してから、政府・与党でも、平先生を含め関係する方々のご尽力もあり、4月中に我が国でも、国と民間事業者が連携し合って対処に当たる取り組み、これが具体化しようとしていることは、まず前向きに受け止めたいと思います。
その上で、このような最新モデルへの対処は、今後さらに短い軸での緊急対応が求められることも考えられます。今回のように、起きてからすぐプロジェクト化していく動きも重要ですが、同時に、常日頃からAIモデルに対するきちんとした評価ができる体制をしていくことも必要不可欠です。日頃の備えによって、たとえば3週間かかる対応を1週間、数日でできるようにしていく。我が国の経済安全保障そして国益を守るためには、これができるようになっていかなくてはならないと思います。
そこで、このお時間はまず小野田大臣に、人工知能基本計画に基づくAIセーフティ・インスティテュート、以下AISIの機能強化について伺います。
ご案内のとおり、昨年12月の人工知能基本計画の閣議決定を受けまして、我が国でも、AIガバナンスの中核を成す機関として、AISIの抜本的な機能強化の方針が示されました。このAISIの強化というところは、我々チームみらいとしても提言として強く主張させていただいた内容でございまして、この必要性は政府とも認識を共有しているものと思います。国際的にもAISIのネットワークは広がりを見せており、先般のインドAIインパクト・サミットでも各国AISIの役割や機能強化に関する議論がなされたと承知をしております。
特に、イギリスのAISIは、最新のAIモデルについて、サイバー分野はもちろん、生物、化学、自律性といった能力の領域ごとに、個別のモデルを対象とした評価レポートを継続的に公表しておりまして、AIモデルの評価を国際的に牽引している姿がはっきり見て取れると思います。
これに対して、我が国のAISIが公開しているアウトプットに目を向けますと、たとえば、AIセーフティ評価観点ガイド、AIセーフティに関するレッドチーミング(セキュリティのエキスパートが実際の攻撃者の手法を模倣し、リスク対策を評価する方法)手法ガイドなど、評価の枠組みであったり方法論の整備というところが先行していて、これら、これ自体は重要な基盤整備として率直に評価できるものですが、個別のモデルを対象に評価を実施して技術レポートを出すという実績については、まだこれからという状況であるように思います。
技術レポートを出すということがなぜ重要かというと、最新のAIモデルを開発している事業者、これはAnthropicもそうですが、ほかにも何社かありますが、そうした事業者が一般に公開される前のAIモデルについて事前のアクセスをAISIに提供する、こういったことはあるわけですが、この判断をするためには、そもそもそのAISIが評価能力を有する機関であるということが国際的に実証されている必要があります。常日頃から評価能力があるということを国際的に示し、そして、事前の共有を受けられる関係性、こういったものをつくることで、我が国AISIが世界最先端のモデルに日頃から早期に評価する機会を得る、こういったことを目指していただきたいわけです。
そこで、小野田大臣に伺います。大臣に、AISIとして、個別の最新AIモデルを対象とした評価を実施し、その結果を技術レポートとして公表する方針はあるのかと、その取り組みに関するロードマップ等の検討状況について、第二に、最先端のAIモデルを有する事業者との事前アクセスに関する協議や連携の状況について、そして第三に、英国のAISIをはじめとする国際社会に対して我が国AISIがどのように技術的貢献を目指すのか、これらについて、大臣のお考えをお聞かせください。
小野田紀美 内閣府特命担当大臣(人工知能戦略)
AIの安全性、セキュリティの確保はAIの利活用を促進する上で極めて重要でございまして、AIセーフティ・インスティテュート、AISIの機能強化は喫緊の課題です。委員のご指摘のとおり、特に、AISIが個別の先進AIモデルを自ら評価し、その結果を海外機関を含めて関係機関に共有する機能を持つことも非常に重要であるというふうに認識しております。
こうしたことから、今挙げていただいた、昨年末に策定したAI基本計画において、AISIの抜本的な強化を書いて、AIモデルの技術的評価を適切に行い、当該評価も踏まえ、AIがもたらすリスクに係る実態把握を行うとともに必要な措置を講ずるとともに、AISIの人員を直ちに現行の2倍程度に拡充するというふうにしております。
現在、評価環境の構築に向けた取り組みを進めておりまして、具体的なロードマップということはなかなか今申し上げられないんですが、ちゃんと人員を強化してそれができる体制にしてそれをやっていくということを、引き続き、AI技術の進展や利用者のさまざまなニーズに対応できるように、関係省庁のみならず、国内外の関連組織、そして諸外国のAISI等と連携し、AISIの機能強化を強力に進めてまいりたいと思います。
各国のAI担当の要人と話をするときにも、AISI同士の連携とか強化をぜひやりたいという話もその都度しておりまして、しっかり積極的に取り組んでまいりたいと思います。
高山聡史
ありがとうございます。今もご答弁にありました人員の強化、あるいはそのための予算というところは、ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。そして、ロードマップ、時間軸というところ、なかなか難しい面もあるかなと思うのですが、具体の取り組みの方針と一つの案として、たとえば、Claude Mythosであったりとか、こういったクローズドなモデルに対する評価をやるということだけではなくて、今オープンソースで公開されているモデル、今日「源内」もオープンソースにするというニュースがございましたが、オープンソースでもいいモデルを各国出しておりますので、そういったモデルに対する評価をまずやっていく。そうすると、自分の会社のモデルに対する評価でなくても、きちんと評価能力があるんだなということを世の中に示すことはできると思いますので、そういったこともぜひご検討いただきたいなと思います。
2. 規制のサンドボックス制度のさらなる活用について
高山聡史
続いて、議題が変わりまして、城内大臣に規制のサンドボックス制度についてお伺いいたします。
ご案内のとおり、規制のサンドボックス制度は、AIなど新たな技術の実用化であったり、プラットフォーマー型ビジネスなど新たなビジネスモデルについて、既存の規制との関係が不明確な新技術、新サービスであるという観点から、期間や参加者を限定した実証を認め、そのデータを基に規制改革につなげるというものであると承知しております。
制度の趣旨自体は私も大変優れたものだと思っておりますが、運用というところに目を向けますと、たとえば、申請から認定までのリードタイム、認定された件数、そして、実証終了後に本格的な規制改革に結びついた事例の数であったり、まだ改善の余地があるものではないかと思います。
そこで、大臣にお伺いします。第一に、規制のサンドボックス制度の現状、特にリードタイムのところなどについて、どのような評価をしておられるか。そして第二に、スタートアップ等から実際にこの制度の使い勝手に関する指摘をどういうふうに受けていて認識があるかというところと、それを踏まえた改善策の必要性について、大臣のお考えをお聞かせください。
城内実 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
高山委員のご質問にお答えしますが、規制のサンドボックスとは、言うまでもなく、産業競争力強化法に基づきまして、期間や参加者を限定することにより、規制の適用を受けずに新技術、ビジネスモデルに関する実証を行い、そのデータを活用して規制の見直しに利用する、つなげていく、そういった制度であります。
制度の利用実績としましては、制度開始が2018年6月ですが、それ以降、33計画、152者が認定されており、うち3件は、実証の結果、法令等の改正につながり、着実に実績を上げているというふうに認識しております。
また、高山委員ご指摘のリードタイムでございますけれども、事業者から相談を受けてから実証計画の認定まで、平均で8か月程度であります。そのうち約半数が、実証から1年以内に事業を開始しております。なお、制度を利用した一部の事業者の方々からは、やはり申請書の作成が煩雑であるといったご指摘がありました。
さまざまな社会課題の解決のために規制のサンドボックス制度を利用する事業者さんに対しまして、実証計画策定などのサポートにハンズオンで取り組むとともに、規制、事業所管省庁と連携しながら、高山委員のご指摘もしっかり踏まえながら、本制度の利活用に今後とも一層取り組んでまいる考えであります。
高山聡史
ありがとうございます。まさに、よい取り組みであるからこそ、スピード感を持って、特に、ご答弁にもありました8か月というのは、私もスタートアップで働いていた経験がございますが、今と来年ということになりますと、まったく事業環境であるとか競争環境も異なる前提で対していく必要もあるといった時間軸でもございますので、少しでもスピード感のある形で事を進めていただきたいと思います。
3. スタートアップ育成戦略と規制改革の連動に関する考え方について
高山聡史
続いて、城内大臣に、スタートアップ担当大臣でもあり規制改革担当大臣でもあるというお立場も生かしていただきながら、スタートアップ育成戦略と規制改革をどう連動させていくかという観点でお伺いをいたします。
スタートアップ育成5か年計画は、令和4年11月の策定から約3年半が経過し、5年計画ということでございますから、最終盤に差し掛かっているものと思います。
まず、この間の成果につきまして、私としても、スタートアップの社数が当時の1.5倍、25,000社であるとか、GDPの創出額でいうと兵庫県内の名目GDPに相当するような規模であるというような話も伺っていて、エコシステムの裾野が着実に広がっているんだなという点では、大変評価できる部分もあるかなと思います。また、人材育成においても、未踏事業の採択実績など、順調な推移を見せているものもあると思いますし、この関係者のご尽力、大変敬意を表したいと思います。
他方で、目標としていたものに目を向けると、まだまだ厳しい側面もあると思います。たとえば、投資額を10倍にする、10兆円だと目標を置いていたところに対して、計画開始時からほぼ横ばいの8,000億円台であるというところであったり、ユニコーン企業数というところ、これはまだ現時点の社数が問題かというのはありますが、目標100社に対して8社であるというところ、そして、政府調達、3%目標というところも、政府全体ではまだ未達であると承知をしております。
裾野はある意味広がったわけですが、つくりたかった山の高さからすると、まだ足りないところもあるということではないかと受け止めております。スタートアップを盛り上げていくというところで、しっかりと高さを出していくということに対して、ボトルネックになり得るのは、まさに規制であるというところでございまして、医療、ヘルスケア、モビリティ、金融、宇宙、スタートアップが力を入れる領域を並べてみましても、いずれも、どの程度伸びるかということが規制の在り方に大きく影響をされる、成長速度であったりとかどの程度伸びるかというところに直に規制の在り方が影響するという分野が多くあると思います。先ほども、規制のサンドボックス制度についてもお伺いしましたが、スタートアップ育成の観点からも、どの規制をいつまでにどう変えていくか、この一体で検討をするという視点も重要であると考えます。
そこで、大臣にお伺いをいたします。第一に、スタートアップ育成5か年計画の進捗について、大臣としてどのようなご認識をお持ちで、残り期間、どこに重点を置いて追い込みをかけるというお考えなのかというところ。そして第二に、スタートアップ担当大臣と規制改革担当大臣をお兼ねになっているという立場も生かして、スタートアップの成長のボトルネックとなっている規制分野を特定、そして優先的に改革していただきたいと我々考えておりますが、これに対するお考えをお聞かせください。
城内実 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
お答えします。委員ご案内のとおり、2022年にスタートアップ育成5か年計画を策定いたしまして、それ以来、官民一体の取り組みを行ってまいりました。その結果、我が国のスタートアップの数は、2021年の16,100社から、委員もご指摘がありましたけれども、2025年には過去最多の25,000社に増加するなど、我が国のスタートアップエコシステムは着実に発展しつつあります。
他方で、ご指摘のように、10兆円規模というスタートアップへの投資額とか、あるいは100社のユニコーンの創出という5か年計画で掲げた目標は、まだ実現できておりません。ご指摘のとおりであります。スタートアップ政策を強化するため、本年、日本成長戦略会議の下に、私自身が分科会長であるスタートアップ政策推進分科会、これを立ち上げまして、現在精力的に検討を進めているところでございます。
ご指摘の規制改革についても、スタートアップの育成、推進に極めて重要な課題であると、まさに高山委員と同じ、まったく同じ認識でございまして、実は、4月22日に開催された日本成長戦略会議においても、スタートアップに係る規制改革について、ちょっと幾つか例を挙げさせていただきますが、独占禁止法に基づく議決権保有制限の見直しとか、あるいはスタートアップの資金調達時の有価証券届出書の提出免除基準の引き上げ、さらには、国家戦略特区制度のさらなる活用の促進といった対応の方向性をお示ししたところでございます。
今後、高山委員のご指摘も踏まえまして、さらに検討を進めて、スタートアップ育成5か年計画を強化し、我が国発のスタートアップが主要なプレーヤーの一つとして活躍する強い経済の実現に向けた戦略を5月までにまとめたいというふうに考えております。
高山聡史
ありがとうございます。5月までにまた次の戦略というところで、その内容もぜひ注目しながら、引き続きいろいろと議論をさせていただきたいと思います。
まさに、このスタートアップの領域、きちんと粒ぞろいの成功をしていくことももちろん大事、100点、120点を目指すことも大事なわけでございますが、やはり海外、特に米国に目を向けると、100点、120点を目指すという視座ではなくて、1,000点を目指すみたいなぐらいの成長をするような企業が何社生まれるかというところで、市場自体も大きく広がっていく、そういった特性があるかなと思います。
今、スタートアップで頑張っておられる方々もそういった1,000点を目指す夢が見られるというか、そういったことも現実的になるなというチャレンジができるような規制改革ということをぜひ進めていただきたいなと思います。
もう1点ぜひお伺いしたいのが、私、成長戦略の観点と規制改革の観点というご質問を大臣に何度かさせていただいていると思うのですが、やはり、省庁の方は、お話を伺っても、すごくそれぞれで仕事をしっかりやられているということは感じるんですが、成長戦略の目線と規制改革の目線というのは日頃考える目線が結構違うんだろうなというところでございまして、その両側の目線を持つ大臣から、この連動であったりとか、あるいは、ある意味、自分の所管を超えて、向こう側を想像して働くといいんじゃないかみたいなところのお考えについて、ぜひ一言いただけないでしょうか。
城内実 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
大変これは適切なご指摘だと思います。おっしゃるように、成長戦略の目線と同時に、反対側に、それを実現するために規制改革をどうしていくかということは、本当に重要なご指摘だと思います。
そういった観点から、17の戦略分野がございますが、それと同時に、分野横断的課題として8つの課題がございまして、その中にもスタートアップというものがございまして、また、私、ご指摘のとおり、日本成長戦略担当大臣であるとともに、まさにスタートアップの担当でもあり、規制改革の担当でありますので、やはり省庁の垣根を越えて、ご指摘のとおり、日本成長戦略を策定すると同時に、スタートアップの視点、そして規制改革の視点も、しっかり、横串を刺しながら、各戦略分野にそういった観点を別の角度から注視するように努めてまいりたいというふうに考えております。
高山聡史
ありがとうございます。まさにそういった目線を、日頃から、関わる方に対してお示しいただくということが、ある意味で、こういった複数の担当大臣を兼ねられている城内大臣としても、非常に、もし私が担当者であれば聞きたいなと思うところですので、ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
