見出し画像

【全文】衆議院 本会議 討論/幹事長・高山聡史(2026年6月16日)

2026年6月16日に衆議院 本会議で行われた、チームみらい 幹事長・高山聡史による討論を全文書き起こしたものです。

案件:刑事訴訟法の一部を改正する法律案(221国会閣61)

発言者=チームみらい 幹事長・高山聡史


チームみらいの高山聡史です。私は、会派を代表し、ただいま議題となりました内閣提出の刑事訴訟法改正案に対して、反対の立場から討論を行います。

まず申し上げたいのは、本日、この本会議に再審制度をめぐる二つの改正案が並んで上程されている、その事実の重みです。

再審の手続き規定は、昭和23年の現行法制定以来、一度も本格的に見直されてきませんでした。70年以上動かなかった開かずの扉の仕組みが、今、現に動こうとしている。その原動力は、無実の罪を背負わされ、人生の大半を奪われてきた冤罪被害者お一人お一人、そして、そうした方々をずっと支えてきた方々の存在にほかなりません。

そして、もう一つの原動力が、与野党の枠を超えて積み上げられてきた議論の力です。

与党内でも、国会内でも、立場の異なる議員同士が、冤罪被害者の迅速かつ確実な救済を制度として保障するには何を行うべきか議論を重ね、法案の修正を重ねてきたその過程に対して敬意を表したいと思います。

その上で、内閣提出案について看過し難い三つの懸念を申し上げます。

1. 証拠開示の範囲についての懸念

第一に、証拠開示の範囲です。

無実を示す証拠が捜査機関の手元に眠ったまま開示されなければ、被告人はそもそも闘うことができません。袴田事件で半世紀以上を要した原因も、証拠開示が遅れたことにありました。内閣提出案では、請求人は証拠の全体像を把握することが難しく、何をどこまで開示するのかが裁判所の裁量に大きく左右されかねません。

無辜(むこ)の被告人を救済するための入り口が狭くなりはしないかという懸念に我々は応える必要があります。

2. 開示された証拠の目的外利用についての懸念

第二に、開示された証拠の目的外利用の扱いです。

内閣提出案は、証拠の目的外利用を罰則をもって禁じています。非公開で行われる再審請求審の閉ざされた手続きの中で請求人や弁護人に重しがかかれば、証拠の検証を社会に問うという、冤罪を晴らすために不可欠の営みそのものが萎縮しかねません。

冤罪被害者を救うための法改正で冤罪を明らかにする行為を縛ることにならないか、我々は極めて慎重になるべきです。

3. 再審開始決定に対する検察官の抗告についての懸念

第三に、再審開始決定に対する検察官の抗告です。

再審を開くという裁判所の判断が抗告によって引き延ばされる、この仕組みこそが救済を遅らせてきた事実に我々は向き合わねばなりません。

内閣提出案は、これを原則禁止とした点で一歩前進ではあります。しかし、例外も残しました。この例外が運用次第で抜け道とならないか、我々は注視をしていく必要があります。

4. 見直し規定について

最後に、見直し規定について申し上げます。

見直し規定もあるのだから、行き過ぎを避けるために慎重に制度設計して、不十分な点は後から見直しで正せばよいという考えもあるかもしれません。法律は、必ずしも完璧なものではありません。足らざるところや誤りがあれば見直し、よりよく改正すべきものです。

しかし、冤罪によって奪われた人生は二度と取り返すことができないものです。過ぎたるは及ばざるがごとしと申します。行き過ぎはいけません。しかし、その行き過ぎを恐れる余り、足らざる法案にしてしまっては本末転倒であります。

私は、今回の法改正においては、無実の人を一人でも多く救うことこそ第一とすべきだと考えます。

法律の行き過ぎは後から正すことができても、奪われた歳月が戻ることはありません。今回の刑事訴訟法改正は、議論の終着点ではなく、刑事訴訟法がその冒頭で掲げる公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障を両立させるための新たな一歩目となるべきものです。

今度も真摯な議論がなされることを心からお願い申し上げて、私の討論といたします。