【全文】衆議院 憲法審査会 質疑・発言/政調会長・古川あおい(2026年6月11日)
2026年6月11日に衆議院 憲法審査会で行われたチームみらい 政調会長・古川あおいの質疑と発言を全文書き起こしたものです。
案件:日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(221国会衆11)
質問者=チームみらい 政調会長・古川あおい
答弁者=馬場伸幸 議員、浅野哲 議員、和田政宗 議員
1. 公職選挙法改正の効果と実効性について
古川あおい
チームみらいの古川あおいでございます。本日は、提出者の皆さまに本改正案について質問をいたします。
初めに、チームみらいの立場を申し上げます。今回提出されましたいわゆる3項目の改正案、すなわち、開票立会人の選任に関する規定の整備、投票立会人の選任要件の緩和、そしてFM放送による広報の追加につきましては、いずれもすでに公職選挙法において措置されている事項を国民投票法に反映するものであり、チームみらいといたしましても、その早期の成立の意義を認めるものでございます。
その上で、3点お伺いいたします。第一に、公職選挙法における改正の効果についてお伺いいたします。
今回の3項目はいずれも、すでに公職選挙法において先行して措置され、現に施行されているところでございます。したがいまして、これらの措置が実際にどのような効果をもたらしているかは、公職選挙法の運用の実績によって現に検証することができると考えております。
そこで、提出者の皆さまにお伺いいたします。
これらの措置は、公職選挙法において実際にどのような効果をもたらし、その施策としての実効性をどのように評価しておられますでしょうか。たとえば、立会人の確保の状況やFM放送による政見放送の実施状況など、効果を裏づける実績がございましたらお示しいただきたいと思います。
馬場伸幸 議員
古川議員のご質問にお答えをいたします。我々が把握している限りでは、公職選挙法改正後の状況について、令和8年の衆議院選挙において、東京都の新島村など7つの市・村で、投開票間際の悪天候により投票日当日に分割開票区を新たに設けた旨の告示を確認をしております。これらの市、村では開票立会人が新たに選任されたものと思われます。
また、令和7年参議院選挙において、青森県の選挙区などいくつかの選挙区で、FM放送で政見放送が実施されたものと確認をいたしております。さらに、新藤幹事のご地元であります埼玉県川口市におきましては、立会人の選任要件の緩和により、自治会が投票立会人を推薦するときの負担が軽減されたという声もあるようでございます。
提案者として、公職選挙法の施行状況を網羅的に把握しているとは言えませんが、このような事例も踏まえると、今回の3項目案の内容は投票環境の整備に資するものであると考えています。以上です。
2. 附則第4条第2号の検討の進め方について
古川あおい
ありがとうございます。続いて、本改正案と令和3年改正法附則第4条との関係についてお伺いします。
今回の改正案が対応するのは、附則第4条のうち第1号、すなわち投票環境の整備に係る事項であると理解しております。
一方で、附則第4条の第2号、すなわち国民投票のための広告放送やインターネット有料広告の制限、運動資金に係る規制、すなわちインターネットの適正な利用の確保につきましては、施行後3年をめどとする検討期限がすでに経過しております。しかも、この間に、検討の前提となる情報環境そのものが大きく変化しております。令和3年に附則が設けられた時点と比べ、AIなどの急速な進展により、本物と見分けのつかない偽の発言や映像を誰もが容易に作り出せる状況が生まれております。国民が憲法の在り方について最終的な判断を下す国民投票の場がこうした偽情報によって左右されることはあってはならないと考えます。
第2号が掲げるインターネットの適正な利用の確保は、立法当時に念頭に置かれていた資金力による不公平の是正という観点にとどまらず、今や、こうした新しい課題への対応をも射程に収めて検討すべき、重みを増した宿題になっていると私どもは考えております。
そこで、提出者の皆さまにお伺いします。この2号の検討というものは、今回の改正案とは別にするにしても、着実に進めていくべきものと考えますが、提出者の皆さまとしてはこの第2号の検討を今後どのように進めていくお考えか、ご認識を伺います。
浅野哲 議員
ご質問ありがとうございます。先ほどの階委員と新藤筆頭との議論と重なる部分がございますが、ご指摘のとおり、附則第4条については、純粋法理論としては、すでに所定の検討期限を経過しております。その法規範性の有無については議論があり得るという状況でございます。
ただ、この第2号に掲げられている事項については、これまでも憲法審でさまざまな議論の積み重ねがあります。そして、こうした検討条項の要請に応えて、私としても、先ほど新藤幹事がおっしゃられていたように、速やかに検討を行い、必要な法制上の措置その他の措置を講ずることが望ましいと考えておりまして、その点については同じものと思います。
いずれにせよ、各党各会派と真摯に議論を積み重ねていきたいと思っております。以上です。
3. 第2号の論点に関する結論の時期について
古川あおい
ありがとうございます。関連してもう一点、検討の実効性と本審査会における議論の進め方についてお伺いいたします。
今申し上げたとおり、第2号の検討期限はすでに経過しております。加えて、本審査会と並行して、関連する議論は具体的に動いております。与野党による選挙運動に関する各党協議会におきましては、選挙期間中のSNS上の偽情報、誤情報への対策を盛り込んだ法案の骨子がまとめられ、情報流通プラットフォーム対処法や公職選挙法の改正を念頭に、今国会中の法案提出も視野に検討が進められているものと承知しております。
本改正案がまさにそうであるように、公選法において措置された事項は、国民投票法への反映も必要となり得るものでございます。選挙運動に関する各党協議会の検討を受けて公職選挙法が改正されれば、それに合わせて国民投票法の整備もまた課題となってまいります。であればこそ、国民投票法をめぐる手続き的な論点は、本審査会において優先的に議論を進めるべき論点であると考えております。
そこで、提出者の皆さまにお伺いいたしますが、こうした選挙運動に関する各党協議会の検討状況なども踏まえて、この第2号の論点についてはどのような場でいつまでに結論を得ることを想定しておられますでしょうか。重なる部分もありますが、ご見解をお伺いいたします。
和田政宗 議員
お答えをいたします。ご指摘の事項につきましては、国民投票独自の問題というよりも、頻繁に行われている一般の選挙においてこそ検討が必要な問題であると考えます。
現在、超党派の議員による選挙運動に関する各党協議会で議論がなされているところと承知をしております。そこでの議論も参考にしながら、ネット情報の特性を踏まえた国民投票運動への関わりについて、速やかに検討を行い、必要と判断された場合には措置を講ずるべく、引き続き議論をしていきたいと考えます。どの場でいつまでに、については、憲法審査会においてできるだけ速やかに検討していきたいと考えております。
古川あおい
時間となりましたので、終わります。ありがとうございました。
発言
古川あおい
チームみらいの古川あおいです。先ほどの質疑に続きまして、国民投票運動における情報環境の整備、そして投票環境の整備について意見を申し上げます。
質疑でも申し上げましたとおり、令和3年改正法附則第4条第2号の検討は、期限を超過した課題、宿題であるとともに、AIの急速な進展という情報環境の変化によってその重みを増しております。
本日は、この宿題に取り組むに当たっての私どもの考え方を3点申し上げます。
第一に、検討の出発点は、憲法が保障する表現の自由を大前提とするということでございます。
偽情報への対応と申しますと、削除や禁止といった規制がまず想起されがちでございます。プラットフォーム事業者に対する偽情報対策には海外の先行例もございまして、たとえばEUのデジタルサービス法、いわゆるDSAは、大規模なプラットフォーム事業者に対し、偽情報の拡散リスクの評価と軽減や、政治広告の透明性の確保などを求めるものでございます。
もっとも、こうした規制には、事業者が制裁を恐れて過剰な削除を行い、かえって正当な表現までもが萎縮しかねないという懸念も各国で指摘されているところでございます。
私どもは、何が真実かを国家が認定し、直ちに一律の規制や禁止を課すという発想ではなく、情報の出どころの識別可能性や透明性の確保、AIを活用したファクトチェック、そして情報の真正性を担保する技術といった、表現を制約しない手法を基本に、制度と技術の両面からの検討を丁寧に積み上げていくべきものと考えております。
こうした専門的、技術的な論点こそ、本審査会において議論を深めていく価値のあるテーマであると考えております。
第二に、選挙運動に関する各党協議会との連携でございます。
選挙運動における偽情報への対応と国民投票運動における情報環境の整備とは表裏一体の課題でございます。一方で公職選挙法の議論が進み、他方で国民投票法の議論が据え置かれたままとなれば、両者の制度の間に齟齬が生じかねません。選挙と国民投票とを貫く情報環境のルールを整合的に整理していくため、協議会における検討状況を本審査会としても共有し、足並みをそろえて検討を進めていくことをあらためて提案申し上げます。
第三に、投票環境そのものについて申し上げます。
在外邦人の方、離島にお住まいの方、災害により投票所への来場が困難となる方など、投票へのアクセスが十分に確保されていない方々が現に存在しておられることをこれまでも本審査会において申し上げておりました。
国民投票は、主権者である国民が憲法の在り方について直接その意思を示す最も重い機会でございます。誰もが確実に一票を投じられる環境を整えるということはその大前提となります。
この点、投票所にタブレット端末を置く、電子投票に取り組む自治体が広がりつつあります。2024年12月には、大阪府四條畷市におきまして、全国で8年ぶりとなる電子投票が実施されたところでございます。また、海外では、エストニアのように、本人確認の仕組みを整えた上で、国政選挙のみならず、国民投票についてもインターネット投票を可能とする法制度を整えている国もあるものと承知しております。
セキュリティや改ざん対策など、慎重に検討すべき課題は少なくございませんが、主権者が確実にその意思を示せる仕組みを整えるという観点から、内外の先行例に学びながら議論を深めていく価値は大きいものと考えております。
国民投票運動における情報環境の整備、そして投票環境の整備は、改憲に対する賛否の立場を超えて、主権者の権利を保障するために整えるべき共通の基盤でございます。
表現の自由を大前提に、制度と技術の両面から各党協議会と本審査会とが連携してこの課題に取り組んでまいりますこと、そして、チームみらいといたしましても、技術的な観点などを含め、その具体的な検討に貢献してまいりたいと考えております。以上です。
