【全文】衆議院 農林水産委員会 質疑/林拓海(2026年6月11日)
2026年6月11日に衆議院 農林水産委員会で行われた参考人質疑における、チームみらい 林拓海の質問と、各答弁者による答弁を全文書き起こしたものです。
案件:
・重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案(221国会閣46)
・種苗法の一部を改正する法律案(221国会閣47)
質問者=チームみらい 林拓海
参考人=雄川洋子 富山県農林水産総合技術センター所長、油木大樹 一般社団法人日本種苗協会会長 株式会社武蔵野種苗園代表取締役社長
1. 育種から普及までの時間的制約
林拓海
チームみらいの林拓海です。本日は、ご多用の中、お時間をいただきまして誠にありがとうございます。
早速、質問の方に入らせていただきたいんですが、まず、雄川参考人にお伺いをいたします。
「富山100号」、これは令和元年の交配着手から、本年3月の品種登録の出願、さらに、現地実証を経て、令和12年頃の導入判断を見込んでいるということで、10年程度の歳月を見込まれていらっしゃったと思うんですが、現状、今回の重要品種の開発を進めていくというところについても、温暖化に対応することも含めて高温障害にも耐え得るような品種の開発もより進めていかなければならないという課題があると思うんですが、育種から普及まで10年から15年程度かかる現実とも言えると思うんですけれども、こうした構造の中で、最も時間の制約になっているのはどの段階かと。
これは、現場でその時間を早めることができる、工夫の余地というのもあるかもしれないですし、あるいは国の方でできることなんかももしお考えがあれば、ぜひお伺いしていきたいと思います。
雄川洋子 富山県農林水産総合技術センター所長
お答えいたします。育種期間の短縮につきましては、「富富富」(ふふふ、富山の銘柄米)のところでもちょっとお話し申し上げましたけれども、DNAマーカー選抜ということで、農研機構の方からは、いもち耐性(いもち病抵抗性)の遺伝子の形質を持ったものを育種資源として、素材としていただきました。そういうものがあれば短縮は可能なのかなというふうに思っておりまして、そういったやり取りができるということが望ましいかなというふうに思っております。
林拓海
ありがとうございます。
農研機構とのやり取りなんかもより密にしていくというような趣旨の答弁をいただいたかと思います。そういったことも進めていきたいと思っていますし、植物工場でのLED活用なんかもあると聞いていますので、育種から普及まで時間がかかるというところをどうやって、現状のニーズに応えるような開発というんですか、これもスピーディーに進めていくための施策、私も進めていきたいと思います。
2. 新品種育成・登録件数の減少原因
林拓海
次に、油木参考人にお伺いしたいんですが、今回、これまでの各先生方が質問されていらっしゃったように、新品種の育成・登録の件数が減少傾向にあるということ、やはり増やしていかなきゃいけないというか、一定維持していかなければならないといったときに、件数が減少しているそもそもの原因がどこにあるのかというところについてお伺いしたいと思っています。
先ほど、ほかの先生からのご質問で、10年延びるのはありがたいと答弁されていたかと思うんですけれども、いわゆる減少の本当の原因が、権利保護の弱さといいますか期間の短さというところにあるのかというと、必ずしもそれ自体が自明ではないのではないかという考えも持っておりまして、種苗会社を経営されるお立場から、新品種の育成・登録が伸びない最大のボトルネックがどこにあるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、ぜひ率直なご意見をお伺いしたいと思います。
油木大樹 一般社団法人日本種苗協会会長 株式会社武蔵野種苗園代表取締役社長
お答えいたします。従来の品種登録をしていたときと今と違っておりまして、最近、ゲノムの研究が相当進んでおりまして、従来、品種登録が増えていた頃は、F1の品種(異なる2つの系統の交配により生まれた第一世代目の子孫)を登録すればそれはまねできないというようなことがありましたけれども、現在は、葉っぱ1枚から、遺伝子一つからでもクローンができてしまう時代になっております。
そうしますと、やはりほかにいろいろな、たとえば親を登録するですとか、あるいは我々独自の遺伝子の、要はマーカーを登録するとか、今後そういうものが必要になってくると思いますけれども、この度、いろいろな、育成者権の強化をしていただいたことによって一部それが解決されてきておりますので、今後増えていく方向にあるのではないかというふうに思っております。
林拓海
ありがとうございます。権利保護のところも重要であると。ゲノムのところもおっしゃっていただいたかと思います。ありがとうございます。
3. 海外への品種流出防止と実効的な支援
林拓海
次に、これは両参考人にお伺いしたいんですが、今回の種苗法の趣旨として、シャインマスカットに代表されるような海外流出をどうやって防いでいくのかという論点もあるかと思います。
今回、輸出差止めというところが新設されたりですとか、あるいは海外での権利行使を支援というかサポートといいますか、管理する機関が新設されるというようなことも言われているわけなんですけれども、海外流出、非常にゆゆしき事態だと思っておりまして、どうやって対応していくのかというのが重要、どうやって対応していくのか、防いでいくのかということを実効的に担保していくのが極めて重要だと思っています。
しかし、これまで官僚の方からのレクなんかもお受けしている中で、実際に海外で権利行使するに当たって、国ごとに申請といいますか、海外の国それぞれで権利を守ってもらうように相手国の警察機関なのかに動いてもらうというのに、申請だったり、その承諾にすごく時間がかかったり、お金がかかるというところの現実もあると聞いておりまして、海外での権利行使、そもそも海外に流出させないことも含めて、ここを、どういった支援や制度の在り方があり得るのかというところの現場でのお考えをお伺いしたいと考えております。
まずは雄川参考人にお伺いできますでしょうか。
雄川洋子 富山県農林水産総合技術センター所長
お答えいたします。富山県のほうでは、稲のほかにもう一つ育種をしているものがございまして、それはチューリップになります。富山県の県花でございまして、チューリップの球根生産も盛んなわけですけれども、その育種もしております。それを海外でも品種登録をしているものが六つほどございます。
ただ、海外とのやり取りについては、やはり県としても得意分野ではございませんので、そこは特許事務所にお願いをしていろいろ手続きをしているんですけれども、やはり何か一括してそういったような調整をしていただく機関があると非常にありがたいというふうに思っております。
林拓海
ありがとうございます。油木参考人にお伺いする前に、今の答弁をお聞きして雄川参考人にお伺いしたいんですが。
一括してやり取りするところがあるとありがたいとおっしゃっていたと思うんですけれども、これは、やり取りを代行するような位置づけの機関があるとありがたいというお考えなのか、やはり、県がやっているとおっしゃっておりましたが、費用負担のところで、どうしても申し込みの件数なのか、枠みたいなのが定められてしまうみたいなことなのかでいうと、いかがでしょうか。
雄川洋子 富山県農林水産総合技術センター所長
いろいろな交渉だとかを間を取ってもらうというか、言葉の壁とかということもありますし、そういった専門知識を持った機関に指導していただけるとありがたいなということでございます。
林拓海
ありがとうございます。確かに、やり取り、すごく専門的なところもかかってくるかと思うので、そういったところをサポートする機関があるとありがたいというご意見、理解いたしました。
続きまして、今のご質問について油木参考人にお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。
油木大樹 一般社団法人日本種苗協会会長 株式会社武蔵野種苗園代表取締役社長
海外流出についてですけれども、今回提出してあります法案の中で、品種登録してから品種化するまでの間の海外流出についても保護していただいたということで、我々が品種登録をした後に海外に出そうなときにはそこを押さえることができるということは、我々にとって大変に有効な事柄だと思います。
以前に、品種名について、品種登録してから品種登録の許可が下りるまでの間にその品種名が他国に使われた経緯がございます。それについては特許法を改正していただきまして、それを今防いでいるようなことですので、それと同じような処置が今回取られるのは、我々にとっては大変ありがたいというふうに思っております。
また、海外での品種登録についてなんですけれども、農水省のほうで、海外において日本の品種登録した場合の栽培履歴ですとか、特定の国においては、そのデータを活用して、相手の国でもそれを採用していただけるというようなシステムを今つくりつつあります。それによって、その国における品種登録が我々だいぶ簡略化されますので、それについては大変助かる事柄だと思います。以上でよろしいでしょうか。
4. 個人・中小育種家の権利保護の実効性
林拓海
ありがとうございます。今回の法改正でいわゆる防御力というんですか、こういったものが高まるというご認識をお伺いできたかと思います。
油木参考人に重ねてお伺いしたいんですが、今回の種苗について権利を保護するという観点で、新しく管理といいますか、サポートする機関が新設されるということも含めて、両参考人はありがたいというふうにおっしゃっていたかと思うんですが、先ほどお配りいただいた資料の中でも、たくさんの種苗会社の方々とコミュニケーションされることが多いかと拝察するんですけれども、個人の育種家の方ですとか、あるいは中小の育種家の方もいらっしゃると思っておりまして、そういった方々が開発した種、種苗を保護していくというときに、やはり、海外流出をさせないこともそうですし、万が一海外に出てしまったときにそこでちゃんと権利を行使できるような体制を、個人の方や中小の企業の種苗をされている方々がどこまでできるのかというと、やや実効性を担保するための配慮といいますか取り組みも必要かと思っておりまして、そこについて、現状、今回この改正でありがたいとおっしゃられていたと思うんですが、そこへの手当てについても見込みとして十分だとお考えかどうかをお伺いしたいと思います。
油木大樹 一般社団法人日本種苗協会会長 株式会社武蔵野種苗園代表取締役社長
お答えいたします。従来ですと、個人の育種家で有望品種がありますと、我々種苗メーカーとある程度タイアップをして、両者合意の下で品種登録をしたりしている場合がございました。昨今は個人育種家の方々もいろいろな育種をされておりまして、今般のような知的財産を管理するような組織ができますと、ご自分の品種登録がそこでできたり、いろいろ簡素化がされると思います。我々種苗会社でも、大手の方はそれを自前でできますけれども、やはり、中小・それと品目が絞られている会社ですね、たとえばキュウリだけやっている、スイカだけやっているような会社が中小でありますので、そういう会社にとっては、品種登録の後の知的財産権の保護については、そういう組織があると大変助かるというふうに思っております。
林拓海
ありがとうございます。従来と比較して、そういった機関が新設されるとなれば、個人でも中小でも助かる部分があるのではないかというご意見だったかと思います。
ここは、実際に新設されてどういった運用がなされていくのかというところで、運用上の実効性の担保がなされることをしっかり見ていく必要があると考えておりますので、そこもしっかりとやっていきたいと思います。
5. ゲノム編集技術の活用と消費者への周知
林拓海
油木参考人にまたちょっと別の質問をお伺いしたいんですが、本日の質問の中でゲノム編集について度々触れられていたかと思っておりまして、ここがもう少し活用できるようになるといいのではないかというご意見だと拝察しています。
これは、現状だと規制のところもあるというお話だったかと思うんですが、そこについて、ゲノム編集がもっとできるとこういうことができるんだですとか、そういったところを教えていただけますでしょうか。
油木大樹 一般社団法人日本種苗協会会長 株式会社武蔵野種苗園代表取締役社長
先生おっしゃるとおりに、遺伝子組み換え体とゲノム編集はまったく違う技術でございます。
ゲノム編集というのは、過去、我々が育種をしてきて、長年かけてたとえば一つの遺伝子を欠落させていくというようなことが短時間でできる。遺伝子組み換え体というのは、その植物体が本来持っていないものが入りますので痕跡が残ります。我々はその痕跡を見て、これは遺伝子組み換え体だなというのは分かりますけれども、我々今育種をしている、長い年月をかけて一つの遺伝子を替えていくような、自然の中で起こり得ることを短時間でやるのがゲノム編集でございます。
それによってどういうことが起きるかというと、短時間で育種ができる。やはり、今まで10年かかっていったものが、物によっては3年、4年で仕上がっていくというメリットがございます。それによって、我々が体感する以上に進んでおります今の気象変動に対して対応できる。
ただ、やはり消費者の方は、まだ遺伝子組み換え体とゲノム編集の区別がついていない消費者の方が大変多うございますので、そこら辺の違いを消費者の方々に少しでも分かっていただける活動を政府としてやっていただけると我々としては大変助かるということでございます。
林拓海
ありがとうございます。10年から15年かかるというところの課題が明確にある中で、それが3、4年で済むということになれば、これは極めて大きいことではあると思うんですけれども、規制されている理由のところも含めて、技術のところも含めて、私もそこについては知見を深めていきたいなと思いました。
海外に流出することを守ることですとか、今回の種苗法、重要品種の開発促進も含めて何ができるかというところにしっかり取り組んでいきたいと思います。
両参考人、ありがとうございました。これで私の質疑を終わります。
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