【全文】衆議院 本会議 質疑/幹事長・高山聡史(2026年6月3日)
2026年6月3日に衆議院 本会議で行われた、令和8年度補正予算案に関する質疑における、チームみらい 幹事長・高山聡史の質問と、各答弁者による答弁を全文書き起こしたものです。実際には、最初にすべての質問を行い、それに対する回答がまとめてなされましたが、読みやすさを考慮し一問一答形式でまとめ直しています。
質問者=チームみらい 幹事長・高山聡史
答弁者=高市早苗 内閣総理大臣、片山さつき 財務大臣、赤澤亮正 経済産業大臣
高山聡史
チームみらいの高山聡史です。会派を代表し、ただいま議題となりました令和8年度補正予算案について質問いたします。
長引く中東情勢の混乱に対し、国民の暮らしと経済を守るため、リスクを最小化するための備えを講じること、この基本的な考え方に対しては、チームみらいとしても賛同するところです。
その上で、本来、補正予算はお金を積むこと自体が目的とされるものではありません。何のために、どれだけ使おうとしていて、どのような効果があるのか、予算審議において国民に対する説明責任を果たすことが求められていると考えます。
そうした観点で、大きく3点、順にご質問いたします。
1. 中東情勢等対応予備費の使途と検証可能性
高山聡史
まず第一に、予備費の具体化と検証可能性について伺います。
今回の補正予算では、一般予備費を1兆円に復元した上で、新たに中東情勢等対応予備費を創設するとされています。先行きの不透明な情勢に臨機応変に対応するため、予備費という手法を用いること自体は理解いたします。しかし、中東情勢対応という大きな目的の枠をお示しになるだけでは、国会による予算の統制としてはなお粗いと言わざるを得ません。
かつて、新型コロナウイルス感染症への対応では、10兆円規模の予備費が計上され、最終的な使途や効果が十分に追跡できていないことに関して会計検査院からも課題が指摘されました。予見し難い事態への備えであっても、想定される使い道を可能な限り具体的に示すことこそが財政民主主義であり、納税者への説明責任です。
そこで、財務大臣に伺います。今回の中東情勢等対応予備費について、想定される使途の類型とそれぞれの想定額、そして使用の判断基準を国会審議の中で可能な限り具体的にお示しになる考えはありますでしょうか。
あわせて、総理に伺います。執行の後に、何に、どれだけ使い、どのような効果があったのか、これを国会と国民の皆さまにきちんとデータを開示して分かりやすい形で検証する、このことをこの場でお約束いただけますでしょうか。
高市早苗 内閣総理大臣
この中東情勢等対応予備費は、中東情勢に伴うエネルギー価格高騰といった我が国経済への影響への対応をはじ始め、国際情勢の変化に伴う影響への対応に使用できるようにするものでございます。
予備費は、予見し難い予算の不足に充てるために設けられた制度であり、その使用に当たっては、必要性、緊急性等を検討の上で、憲法、財政法の規定に従い使用決定してきているところでございます。
政府としましては、予備費の執行状況やその効果について、国民の皆さまに丁寧に説明することは重要であると考えております。適切な運用を行いつつ、予備費使用に係る情報提供に努め、十分な説明責任を果たしてまいりたいと考えております。
片山さつき 財務大臣
中東情勢等対応予備費は、中東情勢が不透明である中、今後の物価動向や経済に与える影響を十分注視しつつ、与党の提言を踏まえ、国民の暮らしや経済活動に支障が生じないよう適切かつタイムリーに対応するために、今後への万全の備えとして創設するものであり、予算総則で使途の範囲を限定し、中東情勢に伴うエネルギー価格の高騰など我が国経済への影響への対応に要する経費・その他の中東情勢をはじ始めとする国際情勢の変化に伴う我が国への影響への対応に係る緊急を要する経費に使用できるようにするものであります。
この本予備費の活用については、この使途の範囲内で、中東情勢が不透明な中、今後の物価動向や経済に与える影響を注視しつつ、必要に応じタイムリーに対応する観点から、具体的な検討を行っていくこととなります。
こういった点を含めて、予備費の予見し難い予算の不足に充てるという性質上、一概に、お尋ねのように、事前にその使用の判断基準を類型化し、それぞれの想定額をお示しすることは困難ではありますが、今申し上げた本予備費創設の考え方についてご理解をいただけるよう、丁寧に説明してまいりたいと考えております。
2. サプライチェーン強靱化とパワー・アジア
高山聡史
第二に、サプライチェーンの強靱化について伺います。
今回の危機で浮き彫りになったのは、サプライチェーンの最上流では供給は足りているにもかかわらず、現場では物資の不足が生じているという事実です。これは、需給の見通しが関係者の間でも十分共有し合うことが難しいという、いわば情報の目詰まりにほかなりません。人海戦術による目詰まりの解消にもおのずと限界があります。必要なのは、危機のたびに人手で対処することではなく、平時から需給の見える化を進め、買いだめや売り惜しみを構造的に防ぐ仕組みです。
また、調達先の多角化も一国だけでは限界があり、アジア各国、世界各国との連携が欠かせません。その意味で、先般立ち上げられたアジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ、いわゆるパワー・アジア(POWERR Asia)の方向性は意義深い取り組みであると評価をいたします。
その上で、経済産業大臣に伺います。このパワー・アジアへの取り組み、そしてサプライチェーンの透明性を高めるデジタルインフラなどのシステムへの投資を今後さらに進めていくべきではないでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。
赤澤亮正 経済産業大臣
高山聡史議員から、サプライチェーン強靱化に向けた取り組みとして、パワー・アジアおよ及びサプライチェーンの透明化について、一問お尋ねがありました。
議員ご指摘のとおり、サプライチェーンの強靱化を進める上では各国との連携が重要です。特にアジアは、医療品をはじ始め重要物資のサプライチェーンを通じて日本と密接に結びついており、そのサプライチェーンの強靱化に取り組むことは我が国にとって意義があると認識をしております。
こうした認識の下、本年4月、高市総理から、足下の代替調達の支援や、中長期的なエネルギー供給体制の強化に取り組む枠組みとして、パワー・アジアを発表しました。現在、ベトナムやフィリピンとの協力が進展しているところであり、引き続き、本枠組みの下での支援の具体化に取り組んでまいります。
また、現下の石油関連製品の供給の偏りや流通の目詰まりへの対応として、各省庁の情報収集窓口を通じたサプライチェーン情報の集約を行っておりますが、平時から官民で連携しながら、デジタルも活用しつつ、サプライチェーンの透明化を進めていくことも重要だと認識をしております。
引き続き、事業者との対話を続け、必要な対応を進めてまいります。
3. エネルギー供給構造の改革
高山聡史
最後に、エネルギー供給構造の改革について伺います。
ガソリンや電気、ガスへの支援は、足下の暮らしを守るために一定程度必要な措置であることは言うまでもありません。しかし、こうした激変緩和措置だけに頼り続ければ、価格が高騰するたびに財政が圧迫される構造から私たちは抜け出すことができません。今こそ供給構造そのものを変えるための投資が必要です。
とりわけ、AIの普及やデータセンターの集積により、我が国の電力需要は構造的に増大をしていきます。この需要増に応えることこそ、成長戦略の実現に欠かせない要素である一方、同時に、化石燃料やホルムズ海峡への過度な依存を減らしていくためには、省エネルギーや電源の多様化、そして次世代技術への投資を国家戦略として加速させなければなりません。
総理に伺います。AIによる電力需要の増大に応えるだけの国家戦略を描いた上で、激変緩和措置に偏ることなく、可能な限り構造改革に向けた投資へと予算を振り向けるべきではないでしょうか。総理のお考えと将来に向けたご決意を伺います。
危機への対応を、その場しのぎの打ち手を並べるだけで終わらせるのか、それとも、強くて豊かで持続可能な構造へと転換する好機とするのか。私たちチームみらいは、この際、未来志向で強靱かつ変化に強い社会をつくるためのきっかけにすべきであるという立場から建設的な議論を進めてまいりたい、そう考えております。
ここにおられる皆さまとの建設的な議論、そのきっかけとさせていただきたいと申し添えて、私の質問を終わります。
高市早苗 内閣総理大臣
中東情勢の緊迫化により、我が国のエネルギー需給構造上の課題が再認識されました。また、おっしゃるとおり、AIの進展に伴い、電力需要の増加も見込まれます。このため、我が国のエネルギー需給構造の強靱化は急務です。
原子力や再生可能エネルギーなど脱炭素電源を最大限活用するとともに、省エネ、非化石転換を進め、化石燃料依存の低減を図っていきます。
また、GX経済移行債も活用して、ペロブスカイト太陽電池や原子力、地熱発電など、我が国が強みを持つ危機管理投資を推進し、我が国のエネルギー需給構造を強靱化するということとともに、世界のエネルギー制約を乗り越える製品・技術・インフラの海外展開を強力に推進することで、日本の成長につなげてまいります。
