【全文】衆議院 内閣委員会 質疑/幹事長・高山聡史(2026年5月27日)
2026年5月27日に衆議院 内閣委員会で行われた質疑における、チームみらい 幹事長・高山聡史の質問と、各答弁者による答弁を全文書き起こしたものです。
質問者=チームみらい 幹事長・高山聡史
答弁者=小野田紀美 内閣府特命担当大臣、西川和見 経済産業省 大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官、城内実 内閣府特命担当大臣、松本尚 デジタル大臣
1. AI主権確立に向けた計算基盤の確保
高山聡史
チームみらいの高山聡史です。本日もよろしくお願いいたします。今日は、質問順が最初ということで、またちょっと新鮮な気持ちで、よろしくお願いします。
今般の不透明な状況が続く国際情勢と、そして、AIの急速な進化にわが国がどう向き合っていくか、今後補正予算の議論も始まりますが、今必要な備え、検討は何かという観点で、順にご質問をさせていただきます。
まず、小野田大臣に伺います。
Anthropic社のClaude Mythosの出現以来、大臣には、この間、何度かAI関連のご質問をさせていただいておりますが、こうした高度なAIの登場は、サイバー攻撃への悪用リスクという防御面の課題を提起すると同時に、もう一つ、見落としてはいけない論点を我々に突きつけていると思います。それは、こういったフロンティアAIモデルの開発、そして運用に必要な計算資源を国がどれだけ自国内で確保しているかということが、その国のAI主権、経済安全保障、そして産業競争力をも直接左右する時代に入ったのではないかという点です。
フロンティアAIを開発する米国、中国の主要企業は、基盤モデル開発などに年間何兆円という規模の資本投下であったりとか、GPUも数十万規模という大規模な投資、動員をしている状況でございます。
Claude Mythos級のAI、これは特徴的なのが、ほかのモデルよりもより多くの大量の計算資源を要するというところでございまして、こういったモデルの登場は、AIモデル一つ一つの開発、運用に求められる計算資源の重要性が一段と高まったということを意味しており、わが国がAI主権を確立し、サイバー脅威にも自律的に対応していくためには、こういった計算基盤の確保について、これまでの想定よりも一段高い水準を目指していくことが不可欠ではないかなと思う次第です。
そこで、小野田大臣に伺います。
Claude MythosのようなAIが現に登場して、その悪用リスクへの対応というのが、総理指示の下、プロジェクト化されているような現在、AI主権の確立の観点から、計算基盤の確保についてこれまで以上に高い水準を目指して取り組むべきと考えますが、大臣の考えを伺いたいと思います。
小野田紀美 内閣府特命担当大臣
計算資源を含めたAIインフラについては、昨年12月に策定したAI基本計画において、AI研究開発の強化および利活用基盤の増強、確保のため、十分な計算資源とその基盤となる半導体の開発および供給、データセンターおよびクラウド環境の整備等、AIインフラの戦略的な整備を加速するとしているところです。
AIの高度化が急速に進む中にあって、わが国がAIの利活用を推進し、またAIの開発力を強化していく上で、ご指摘の計算資源を含めたAIインフラを強化することの重要性はますます高まっているというふうに認識しています。
計算資源の整備等については、経済産業省を中心に取り組みを進めているところではありますが、引き続き、関係省庁と連携し、AI技術の急速な進展を踏まえつつ、必要な取り組みの強化に努めてまいりたいと考えます。
高山聡史
大臣から、今、AI基本計画を軸にお答えをいただきました。AI戦略全体としても影響を受けるところだと思いますので、ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
2. 計算基盤整備の具体的目標と見通し
高山聡史
その上で、計算基盤の整備の具体目標、すなわち、規模であったり、スペックであったり、あるいはその整備、調達の時期だったりに関する政府の考え方について、今もお話がありました経済産業省に伺いたいと思います。
計算基盤の確保目標の考え方、足下、計画の達成見通しなども含めて、今後、規模、スペック、整備の時期についてどのように検討されていくお考えか、政府の見解を伺いたいと思います。
西川和見 経済産業省 大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官
生成AIは、技術黎明期でございます。市場動向の変化が大変激しいということもございまして、技術の進展に応じて随時、目標や整備の仕方を更新していく必要がある、まず基本的にこういうふうに考えてございます。
その上で、現時点での目標でございますけれども、AI基盤モデルの開発に資する高度な性能のコンピューター整備について、経済産業省の有識者による会議、半導体・デジタル産業戦略検討会議と申しますけれども、において、2027年度末までに60エクサフロップス(コンピュータの処理速度を表す単位)の整備を目指すという目標で今進めさせていただいてございます。経済安全保障推進法に基づいて、その整備支援を行っております。
他方、委員ご指摘のとおり、今後について、やはり市場動向や技術の進展、こういったもの、世界の動きもしっかり見据えながら、必要に応じて目標をさらに設定していくということで考えていきたいと思います。以上でございます。
高山聡史
ありがとうございます。まず、今おっしゃっていただいた2027年度の目標を、しっかり達成に向けて進めていただいて、今ご答弁にもありました技術の動向であるとか市場動向の変化、非常に激しいところで、これは、ほかの海外の国あるいは主要企業であっても計算資源の調達というところは非常に激しい競争があるところでございます。ぜひ、前広にといいますか、中長期の確保目標をしっかり実現できるようにご検討をよろしくお願いいたします。
3. 中東情勢等の国内投資への影響と対策
高山聡史
続いて、城内大臣にお伺いいたします。
中東情勢が緊迫化して以来、ホルムズ海峡経由の原油、エネルギーの調達に関してさまざまな不安が生じているところであると思います。
全体量としては、備蓄も含めてあるという一方で、ナフサ関連物資に関しては、実際に現場で供給の目詰まり、届かないといった声も多くあるというところで、加えて、国内では、物価上昇の長期化というところが企業のコスト構造に対しても大きなインパクトをもたらしている、こういった外的、内的なショックが、わが国企業の設備投資の意思決定にも影響を及ぼしかねないという状況であると思います。
今般、成長戦略の中核として、国内投資をしっかり喚起をしていくんだというところは議論させていただいているところですが、こういった足下の不確実性が国内投資の減速につながらないかという懸念に対して、今日はご質問させていただきたいと思います。
こういった国際秩序の不安定化、中東情勢の状況みたいなものは、今回1回のことではなくて、いつまたより緊迫した状況にならないとも限らないといった中で、こういった外的な変化を一時的なものとして処理するのではなくて、成長戦略を実現していくまでにも何度かショックが起こり得るという政策設計が求められるのではないかと思います。
そこで、城内大臣にお伺いいたします。
中東情勢に伴う物資供給の目詰まりであるとか物価上昇の長期化といった外的な影響を国内投資の構造的な減速要因として根づかせないために、さまざま、成長戦略の政策手段はあると思いますが、政府全体としてどう束ねて措置をしていくお考えでしょうか。大臣の戦略、お考えをお示しいただきたいと思います。
城内実 内閣府特命担当大臣
今、高山委員からご質問がございましたけれども、外的ショックがあったとしても国内投資の停滞に直結させてはならないというご指摘がございましたが、現下の中東情勢を踏まえましても、というかむしろ、こういった中東情勢があるからこそ、危機管理投資、成長投資により、気候変動、防災・減災、そして特に、エネルギー・資源、さらには健康・医療など、世界共通の課題解決に資する製品等を開発し、国内外に提供することで日本の成長につなげる、こういった日本成長戦略の重要性には変わりはございません。
また、日本成長戦略の中には、経済安全保障の確保に向けた製造・技術基盤等の強化にも取り組んでいくこととしておりまして、こうした取り組みは、さまざまな地政学リスクの高まりや、サプライチェーンリスクの顕在化の対応に資するものと考えております。
この夏の日本成長戦略の策定に向けまして、17の戦略分野や8つの分野横断的課題につきまして、省庁の垣根を越えて、スピード感を持って施策の具体化を一層加速してまいります。
そして、さらに、未来の投資不足の流れを断ち切って、国内投資の促進に徹底的なてこ入れをするため、厳しい環境の中にあっても、高山委員ご指摘のとおり、政府も一歩前に出て、事業者の予見可能性を高める大胆な措置を講じて、強力に民間企業の投資を引き出してまいる考えであります。
高山聡史
ありがとうございます。ぜひ、今ご答弁にもありました成長戦略、これはしっかりやり切るというところで、足下の供給の目詰まり対策だけではなく、中長期のわが国の経済成長のために、しっかりと、打ち手を切らさずに実行いただきたいと思います。
4. 高度AI時代のIoT機器セキュリティ対策
高山聡史
続いて、松本大臣に伺います。
先ほども触れましたが、Claude Mythosの登場以来、わが国のAI、そしてサイバー関連の政策、すでに政府の方でもアップデートがあると認識をしております。Project YATA-Shieldの策定を踏まえて、今、自律的に脆弱性を発見し、悪用する能力があるような高度なAIを前提にさまざまな議論、検討が始まっていると承知をしております。
こういったAIの能力の高度化を踏まえると、攻撃面が広く、かつアップデートが必ずしも行き届きにくいIoT機器がさまざまございますが、こういったIoT機器に対する対処、これまで以上に、ボットネット(マルウェアに感染し、外部から遠隔操作が可能となったコンピュータのネットワーク)化であるとか、脆弱性悪用の主たる標的となるリスクを踏まえて、いろいろ対応が必要ではないかと思います。
これに関連して、経産省、IPAが運用を開始しているJC-STAR(セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度 )というものですね。現在、レベル1の運用が中心と承知をしておりますが、日英の相互承認など、この制度の設計、そして運用が順次進んでいるところであると思います。
これら進捗に関しては率直に評価できるところでございますが、Claude MythosのようなAIによるサイバー脅威の高度化というものが現実に今来ている状況で、これまで想定されていた時間軸でよいのかというところを大臣に伺いたいと思います。
今般、いろいろ議論させていただいているとおり、脅威が高度化するスピードが大変速くなっているという中でぜひ伺いたいのが、JC-STARのレベル2以上の本格運用、これを前倒しで進めていくということであったりとか、そして、政府調達においても、JC-STARの参照であるとか必須化、こういった検討について、これまでの想定よりも一段踏み込んでいく必要があると考えますが、大臣のご見解をぜひ伺いたいと思います。
松本尚 デジタル大臣
JC-STARは非常によい制度だというふうに私も思っております。
ご指摘の点ですけれども、いわゆる星2つ以上、星2つ以降の高度な基準については、今年の2月に、通信機器およびネットワークカメラを対象として、一部の高度基準に係るセキュリティ要件を公開しました。夏頃までに申請の受付を開始する予定をしております。
これは、スター3についても本年にはまとめていきたい、実はもうすでに通信機器についてはスター4までは適用が決まっていまして、今ネットワークカメラをやっていて、それからスマートホームをやって、その後にまたドローンとかいろいろなものが入ってきますので、順次これを進めていきたいというふうに思っています。
一応そういうスピード感なんですけれども、確かに、委員おっしゃるとおり、もっと早くやらなきゃいけないという気持ちは私も当然持っておりますので、これはまた、経済産業省と相談しながら、私の立場からもしっかりと後押しをしていきたいというふうに思っています。
高山聡史
ありがとうございます。ぜひ、経産省さんとも連携をしながら前に進めていただきたいと思います。
いきなり必須化ということではなくても、こういう基準だよということがしっかりメーカー側にも浸透して、その要素を政府としては気にしているよということのコミュニケーションが進むことによって、非常に前向きな効果があると思います。
5. サプライチェーン全体でのリスク管理
高山聡史
引き続き、松本大臣に伺います。
Claude Mythosのような高度なAIに対する脅威に対しては、今のJC−STARのような取り組みもございますが、製品のライフサイクル全体で、サプライチェーン全体で対応を進めていく必要があると思います。
10月、能動的サイバー防御法の本格運用フェーズに入っていくというところもございますが、重要インフラにおけるIoT機器のサプライチェーンリスク管理として、JC-STAR以外にも、取り組みをどう一体的に進めていくお考えでしょうか。大臣のご見解をいただきたいと思います。
松本尚 デジタル大臣
今、重要インフラについては、重要インフラのサイバーセキュリティに係る行動計画を策定して、その取り組みを実施しているところでございます。
IoT機器等の調達に当たっては、安全基準等策定指針においていくつか内容を決めています。サイバーセキュリティに対する要求事項を整理して、セキュリティに対する対策状況を把握して、リスクアセスメントおよびリスク対応などのリスク管理をちゃんと求めているというようなことで、加えて、先ほどのJC-STARを参照するというふうにしております。
さらに、重要インフラの脆弱性への対応のために、情報提供・注意喚起を行うと同時に、今般、重要インフラ統一基準の作成、これを今やっているところです。もうやがて、大体骨子はできていますのでもうすぐできますけれども、行動計画はボランタリーですけれども、この統一基準については、サイバーセキュリティ基本法に基づいた、いわゆる、ねばならないという、マストなものでございますので、この二つ、行動計画と統一基準をしっかりと重層的に用いながら、重要インフラのサイバーセキュリティに努めてまいりたいと思います。
高山聡史
ありがとうございます。ご答弁の中にもありました、脆弱性情報の共有ですね、官民連携の中でどういう情報をどこまで共有するのか、そういったところも含めてぜひしっかりご検討いただきたいと思います。
時間ですので、私の質問を終わります。ありがとうございました。
