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【全文】衆議院 内閣委員会 質疑/幹事長・高山聡史(2026年6月12日)

2026年6月12日に衆議院 内閣委員会で行われた質疑における、チームみらい 幹事長・高山聡史の質問と、各答弁者による答弁を全文書き起こしたものです。

質問者=チームみらい 幹事長・高山聡史
答弁者=木原稔 内閣官房長官、井上諭一 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局統括官、小野田紀美 経済安全保障担当大臣


1. AI悪用によるCBRNEテロの抑止について

高山聡史
チームみらいの高山聡史です。先ほど、直前、吉田委員から、児童扶養手当の所得制限に関するお話がありました。私からも、ぜひ、政府には前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。

本日は、AIとバイオセキュリティリスクの関係、つまり、生物兵器を造るハードルがAIによって大幅に下がるおそれがあるという問題意識で質問をさせていただきます。

Anthropic社のClaude Mythosという最新のAIの登場以来、サイバーセキュリティのリスクに対する議論をここ内閣委員会でもさせていただきました。本日は、サイバーではなく、バイオテロへの備えを我が国としてどう強化していくか、問題提起をさせていただきたいと思います。

まず、AIの悪用によるCBRNEテロの抑止について、官房長官にお伺いします。

昨年9月にAI法が全面施行されました。その基本理念は、イノベーションの促進とリスクへの対応の両立とされています。一方で、最先端のAIモデルが、化学(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)、爆発物(Explosive)、いわゆるCBRNE(シーバーン)の脅威を高め得るという懸念が国際的にも共有されていると思います。

そこで、官房長官に伺います。AIの悪用がもたらし得るCBRNEテロの脅威について、政府はどのように認識をし、その抑止に向けて、政府全体としてどのような取り組みを進めておられますでしょうか。脅威の認識と取り組みの全体像をぜひお聞かせください。

木原稔 内閣官房長官
委員からご指摘がありましたが、仮にテロリストがAIを用いた生物設計ツールによって危険な物質を生成するといったことがあれば、CBRNEテロの脅威は高まるおそれがある、そのように政府としては認識をしています。

国際的にAIの悪用防止のための研究やルール作り等が進んでいるとは承知をしておりますが、我が国においても、諸外国や国際機関と協力して、また産官学と連携した取り組みを進めることが重要だと認識をしています。

本年1月に開催しました政府のCBRNEテロ対策会議では、私の方から、関係省庁に対して、CBRNEテロに用いる可能性がある技術の動向を把握し、対処能力の向上に努めるよう指示をいたしました。内閣官房国家危機管理室を中心に取り組みを今進めているところでございます。

引き続き、さまざまな技術の動向というのをしっかりとフォローしながら、CBRNEテロの発生の防止、日進月歩でありますから、万全を期してまいりたいと思っています。

高山聡史
ありがとうございます。脅威の認識をご共有いただき、また、政府内でもすでに局長級の会議を含めて取り組みをされているものというふうに承知をしております。

その上で、一点、ぜひ官房長官にお願いしたいのは、このAIがもたらすCBRNEリスクの中でも、生物、とりわけ合成核酸、合成DNA・RNAの悪用リスクについて、そういった政府の取り組み、会議の中でも具体的な議題としてぜひ取り上げていただきたいということです。

AIの進化によって、これまで一部の専門家でないと設計できなかったような危険な核酸配列が、専門知識がないような者であっても設計できるようになるのではないかという懸念が海外でも広がっており、Anthropic、OpenAI、Googleディープマインド、マイクロソフトAIなどのAI企業の首脳もアメリカ議会に対応を求めるという事態が今起こっています。ぜひ、迅速なご検討をお願いいたします。

官房長官への質問は以上ですので、ご退席いただいて構いません。

2. 合成核酸の受託合成におけるスクリーニング

高山聡史
次に、合成核酸、今申し上げた合成DNAやRNAの受託合成におけるスクリーニングの実態把握と所管について政府に伺います。

現在、研究者は、受託合成を行う事業者に発注をすれば、任意の塩基配列のDNA・RNAを入手することができると思います。だからこそ、注文された配列が危険なものではないか、注文者が正当な研究者かという入口でのスクリーニングがより重要になってくると考えます。

すでにアメリカやイギリスでは、合成核酸に関するスクリーニングの枠組みの整備に関する議論が進んでいると承知をしています。また、先ほども申し上げたとおり、AIの進化に対応して、それに備える動きが必要ではないかという動き、アメリカでは特に高まっているというふうに思います。

そこで、政府参考人に伺います。国内の受託合成事業者について、配列スクリーニングや顧客確認、記録保存といった措置の実施状況を政府は把握していますでしょうか。また、こうした受託合成の注文段階のスクリーニングについて、直接の所管とする省庁は現在どこにありますでしょうか。

井上諭一 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局統括官
お答えいたします。委員ご指摘の点でございますが、現状では、国内で核酸合成受託事業に、懸念配列、顧客のスクリーニングに関する規制、これは行われておりません。このため、実施状況も把握できていない状況でございます。

他方で、ご指摘いただいた受託合成サービスを通じた危険な遺伝子配列の入手に関するリスク、この対応は必要だと私どもも認識してございます。このため、今後、関係省庁や企業と連携いたしまして、懸念配列、顧客のスクリーニングの実施状況の把握、これを行っていく考えでございます。

今後の検討に応じまして、所管の省庁等も確定していきたいと考えてございます。

高山聡史
ありがとうございます。現状、そういった、まだ、これから実態を把握していくという段階だとご答弁いただいたものと思います。ぜひ、迅速に実態の把握をしていただき、しっかりとこれは規制の観点でも整備をしていくということが、健全な研究を育てる上でも大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

3. 公的研究費におけるプロバイダー利用の要件化

高山聡史
続いて、公的研究費におけるスクリーニング済みプロバイダー利用の要件化について、これは全面的な規制をいきなり導入するということが難しくとも、まず着手できる現実的な一手になるのではないかという問題意識で伺います。

具体的には、公的研究費の交付条件について検討できないかというもので、今、公的研究費といえば、AMEDJSTNEDO科研費といった、さまざまでございますが、そういったもので合成核酸を購入する際に、きちんとスクリーニングを実施している認定済みのプロバイダー利用を交付条件として求めるといった仕組みについて検討できないかというものでございます。

内閣府もすでに、経済安全保障の文脈で、諸外国の資金提供機関によるスクリーニング基準の運用、この調査、整理などは内部的には進んでいるものだと思います。

そこで、政府のお考えを伺います。日本でも、公的研究費による合成核酸の調達について、スクリーニング済み、認定済みのプロバイダー利用を求める、こういった仕組みの導入について、政府として検討の余地はございますでしょうか。

井上諭一 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局統括官
お答えします。委員ご指摘の点でございますが、実際、世界でもう検討が行われている状況でございまして、特にアメリカでは、連邦研究資金で、危険な遺伝子配列のスクリーニングを実施しているプロバイダーの利用を要件化する動きがございます。そのことも私どもも承知してございます。

今、内閣府におきまして、この受託合成サービスを通じた危険な遺伝子配列の入手に関する国内のリスク対応、関係省庁や民間企業と意見交換を行ってございます。

引き続き、国際的な動向、関係者の声も踏まえながら検討を進めてまいります。その中で、公的研究費についての扱いも検討してまいりたいと思います。

高山聡史
ありがとうございます。問題意識については共有いただいているものと、ご答弁を踏まえても認識をしております。

これは、非常にスピード感を持って取り組まないと、AI側の進化はすごく速いものでございますから、対応が間に合わなかったということになってしまうと非常に大きな問題でございます。ぜひ迅速にお願いしたいと思います。

実際、海外の動向を見ても、アメリカなどでは、今年1月にも、超党派の議員立法で、核酸合成のセキュリティ規制、強化をしていくような動きもあるように聞いております。これは超党派ということなので、アメリカの大きな政党、超党派でやっているということで、こういった海外の動向もぜひ見ながら、我が国としてふさわしい規制の仕組み、ぜひ整備をお願いいたします。

4. AIの進化に伴うバイオリスクへの対応方針

高山聡史
最後に、小野田大臣にお伺いします。

今回の件は省庁横断の課題であると思います。その取りまとめを担う内閣府、なかでも科学技術政策をご担当の小野田大臣からぜひ前向きなご答弁をいただきたいと思います。

今日問題提起させていただいた件、これは、核心は、ポイントは一点だと思っていまして、今後、より強力なAIが、これまで一部の専門家でないとできなかった、設計できなかったような危険な核酸配列の設計を専門知識がなくてもできるようになってしまうかもしれない、これに対してどう対応していくか。かつ、この危険な配列を受託事業者に発注するということも、たとえば小分けに発注されてしまうと、個社、スクリーニングしているだけでは、この分割注文のリスクは防げず、政府横断で、あるいは全体像をしっかり見た基盤がなければ対処ができないのではないかというような論点もございます。

政府は、合成生物学を含むバイオ技術の領域を、経済安全保障上の特定重要技術が含まれ得る技術領域と位置づけておられると思います。今日議論させていただいているようなAIの進化に伴うバイオリスクへの対応方針、これをいつまでに、どういう体制で、どう会議体で議論して結論づけていくのか、ぜひ、お取り組みの方針、そして意気込みもお示しいただけないでしょうか。

小野田紀美 経済安全保障担当大臣
AIによる遺伝子配列の生成や遺伝子合成技術を活用した創薬やバイオ物づくりなどの取り組みが進められておりまして、日本のバイオ産業や医療の発展に欠かせない技術となっている一方で、委員ご指摘のように、こうした技術を用いれば、人体や農林水産物、環境に有害な遺伝子の合成が可能でありまして、AIの進化がリスクを高め得ると認識しております。

バイオ領域の研究開発段階において省庁横断的なリスク管理体制を確保することは、国民の安全・安心の確保とバイオエコノミーの拡大を両立させる観点からも重要であると考えております。委員がいろいろ、小分け発注されたらとか、省庁横断的に見ないと駄目だろうというふうにおっしゃっていただいたご指摘、内閣府では、AIの進化も踏まえたリスク対応について、関係省庁や民間企業とも意見交換を進めているところでありまして、迅速に対応してまいりたいというふうに考えております。

今後、内閣府に置くバイオエコノミー戦略に関するバイオ有識者会議、こちらにおいて有識者の意見を聴取しながら、もう本当に早く、迅速に対応していけるようにということを想定しておるところで、ちょっと具体的なスケジュールを申し上げられなくて申し訳ないんですけれども、早急に取り組んでまいりたいと考えております。

高山聡史
ありがとうございます。今日この場でなかなか時間軸というところは難しいとは思うんですが、ぜひ、迅速にということですので、年度内に論点整理いただくであるとか、期限を区切って今後お話しいただけるようにお願いします。

また、今日、政府参考人の方から、まだ実態把握ができていないという部分であったりとか、これから検討していくとされた点に関しても、ぜひこれは一定の時間軸で、たとえば年度内であったりとか、そういった時間軸でぜひ検討を加速をしていただきたいというところでございます。

冒頭申し上げたとおり、AIに関しても、あるいはバイオ領域に関しても、これは、大きなリスクがある一方で、我が国の経済成長を支えるような可能性のある領域でもあると思います。こういった中で、しっかりとリスクに対して備えができている状態でなくては我が国の安全は守れませんし、逆に、この規制の整備が遅れてしまうと、アクセルを踏むというところもなかなか進まないという事情があるかなと思います。

ぜひ、今日申し上げたバイオリスクに関する備え、政府全体としてしっかり取り組んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。