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【全文】衆議院 内閣委員会 質疑/幹事長・高山聡史(2026年5月15日)

2026年5月15日に衆議院 内閣委員会で行われた質疑における、チームみらい 幹事長・高山聡史の質問と、各答弁者による答弁を全文書き起こしたものです。

案件:経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律及び株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案(221国会閣30)

質問者=チームみらい 幹事長・高山聡史
答弁者=森真弘 厚生労働省 大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官、小野田紀美 内閣府特命担当大臣、泉恒有 内閣府 政策統括官(経済安全保障担当)


1. 医療分野を基幹インフラ制度の対象に追加する意義と実効的な運用確保について

高山聡史
チームみらいの高山でございます。本日は、まず、今回の改正により、医療分野が基幹インフラ制度の対象に追加されることについて伺います。

近年、医療機関を狙ったサイバー攻撃は急激に深刻化をしており、ランサムウェアによる電子カルテシステムの停止、外来診療、手術の一時休止といった事案が国内外で繰り返し発生しております。患者さんの生命、健康に直接の影響が及ぶような事態を防ぐためにも、医療分野を基幹インフラ役務として位置づける改正は、私としても必要なものだと考えます。

他方で、医療機関は、これまで基幹インフラ制度の対象とされてきたほかの分野と比較しますと、事業規模、専門人材、ガバナンス構造など、相当異なる性質を有していると思います。大規模な病院といっても、大手金融機関や大手電力会社と比べると、これはやはり異なるわけです。特に、IT、サイバーセキュリティを担う専門人材の層が薄いこと、診療の継続性と情報セキュリティの両立という固有の難しさを抱えていることなど、留意すべき要素があると思います。

そこで、本制度と医療機関のサイバーセキュリティ対策との関係を整理させていただきたいということも含めまして、政府参考人にお伺いいたします。

まず、この医療分野も基幹インフラ制度の枠組みで対処するということの意義について、そして、政府として、対象医療機関に対し、これまで既存の基幹インフラ事業者で蓄積されてきた審査ノウハウや実務的な知見、これを活用すべきだと思いますが、医療現場が本来の診療業務を阻害されることなく制度の実効性を担保するために、具体的な運用の方策としてどういったことを考えておられるか、伺いたいと思います。

森真弘 厚生労働省 大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官
基幹インフラに医療を追加していくに当たってのご指摘だというふうに考えております。

委員ご指摘のように、この医療の分野においてサイバーセキュリティ対策をしていくのは、なかなか人材も、それから規模の面でも非常に難しいところがあるというふうに考えているところでございます。

今回、基幹インフラ制度の対象とすることで、対象医療機関が導入しようとする重要な設備が、我が国の外部から行われる妨害行為の手段として使用されるおそれが大きいかどうかをあらかじめ国において審査し、その防止を図ることが可能になります。

また、制度の実効的な運用を確保するためには、対象医療機関を段階的に指定し、それぞれの医療機関が円滑に対応準備を進められるようにすることが重要というふうに考えております。具体的には、特定機能病院を念頭に、本改正法案の施行時点で、各ブロックにつき1病院、その後、施行から3年程度の期間に、各都道府県につき少なくとも1病院を指定することというふうにしております。その上で、先行して指定された病院の運用を丁寧に支援するとともに、それ以降に指定された病院において、先行する病院の知見等を参考としつつ、より円滑に制度への対応準備というのを進められるようにしていきたいというふうに考えております。

また、特定社会基盤事業者として指定されるかどうかにかかわらず、医療全体のサイバーセキュリティ対策として、医療情報システムに関する安全管理ガイドラインというのを策定し、対応を促しております。それから、対応状況というのをきちんと確認して、医療機関の管理者が遵守すべき事項として必要な措置を省令に位置づけているという取り組みを行ってきているところでございます。このように、基幹インフラとしての対応と、それから医療全体でのサイバーセキュリティ対策というのを両方並行して行って、重層的な対策というのを構築していきたいというふうに考えております。

高山聡史
ありがとうございます。これまでのご答弁にもありましたが、現実的な指定のペースということは大変重要である一方、その備え自体は待ってくれないところもあるので、おっしゃっていただいた情報の共有であったりとか知見の共有によって、なるべく十分な備えが広く行き渡るように取り計らいをお願いしたいと思います。

そしてまた、基幹インフラ制度による事前審査だけでこのサイバーセキュリティの問題をすべてカバーするということではなく、基幹インフラ制度とそれ以外のサイバーセキュリティの対策とが相互補完的に機能するということが、これは特に医療分野においても重要であると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

2. 安定供給確保に向けた協力要請の実効性と運用上の留意点について

高山聡史
続いて、物資の安定供給確保に向けた相互連携、協力の努力義務ならびに支障が生ずるおそれがある場合の協力要請の規定について、大臣に伺ってまいります。

特定重要物資のサプライチェーンの強靱化は、今回のイラン情勢の緊迫化も含め、近年の地政学的な緊張の高まりの中で、まさに国家的な課題だと考えます。今回の改正では、認定供給確保事業者にとどまらず、その関係者まで法律上の枠組みで協力要請を行えるようにするという点が大きな変化であると認識しております。そこで、大臣にお伺いします。

これまで、主務省庁というのは、こういった法律上の枠組みがなくとも、特定重要物資の安定供給に関わる課題が生じるような場合においては、いわば運用として個別に、関係する企業などに対してヒアリングや要請、こういったものを行ってきたものと承知をしております。

今回の改正により、こうした要請が正式に法制度に基づく行為として位置づけられることになると思いますが、正式な位置づけになるということと、そして、認定事業者だけでなく関係者、これは部素材メーカーであったりとか金融機関含めて、関係者にも広がるということがサプライチェーンの実態的な強靱化にどういった効果をもたらすとお考えでしょうか。また、これに関する運用上の留意点についても大臣のご見解を伺います。

小野田紀美 内閣府特命担当大臣
今般の改正案は、供給確保の計画に基づく取り組みが困難となる場合に、計画の認定を受けていない事業者など本法の支援枠組みの対象でない事業者も含めた幅広い関係者に対して主務大臣が協力を求めることができる旨などを規定するものでございます。

これまではこうした規定がなく、委員ご指摘のとおり、各省庁が行政指導の範囲で関係者に対して協力を求めてきたところでございまして、本規定に基づく主務大臣の要請には一定の重みがあると考えております。

なお、元来、サプライチェーンは民間事業者の自由な経済活動に基づいて構築されるものでありまして、本規定の運用においては、あくまで事業者の判断を尊重すべきであり、また、過度な負担とならないように留意することというのも必要だと考えます。

ただ、経済安全保障上重要なサプライチェーン強靱化のためには、短期的な経済合理性を超えた総合的な判断が望ましいケースもありますので、本規定が事業者にとっての一つの規範となり、経済安全保障上重要な行動を取ろうとする事業者の意思決定、これを後押しできるようになればいいなと期待しております。

高山聡史
ありがとうございます。

これは、経済合理的で必ずしもない意思決定を民間の事業者に求めるということは、たとえば、事業者が社内で決裁を回すときに、これはなぜなんだといったときに、これは経済安全保障のために必要だという意義を説いても、やはり、それでも必要なのかという議論があるものだと思います。

これが、法に基づくきちんとした正式な要請を受けたということがあれば、その事業者が社内決裁を通しやすくなるということがあると思いますし、これは金融機関における、たとえば銀行の稟議などでも同様のことがあり得ると思いますので、この意味合いということは大変大きなものだと考えます。

3. 改正法の施行後3年見直し規定における今後の運用と検討論点について

高山聡史
最後に、本法案の施行後の見直しの規定について伺います。

本法案の質疑でも再三議論に上がっておりますとおり、経済安全保障の領域は、AIをはじめとする技術の環境の変化、地政学的環境の変化、これらが極めて急激に変化をする中で、そうした環境変化に素早く対応することが不可欠の分野であります。

条文の修正案もございますが、あらためて、3年という期間にかかわらず不断の運用見直しが行われることの重要性について、この場でも触れさせていただきたいと思います。

昨日の参考人質疑のなかでも、何年ならいいんだ、3年ならいいのか、1年、2年なのか、こう時間軸を切るよりも、不断の検討により大きな変化に対して常に対応できることが重要であるという趣旨の議論があったと認識をしております。

政府としても、今回の法改正を受けて、あるいはこれまでの3年を振り返って、今後運用の具体化を一層進めていくべきだと考えている論点、あるいは不断の見直しを特に要すると整理できる論点としてどういうものがあると考えているか、ご見解を伺います。

泉恒有 内閣府 政策統括官(経済安全保障担当)
まず、今ご審議いただいています法案は、経済安全保障推進法の制定から数年経過いたしまして、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれていることに鑑みまして、経済安全保障を確保するために必要なさらなる措置を講ずるために、今、提出し、ご審議いただいているものでございます。

それで、まずは、改正後の本法の取り組みを迅速かつ強力に推進いたしまして、経済安全保障の確保に一層取り組んでまいります。

その上で、本法案は施行後3年をめどに施行状況を見直すことを政府に求めているという規定が一部入ってございますけれども、この規定にかかわらず、状況に応じて各施策を不断に見直すことは、ご指摘いただきましたように、当然に必要だと考えてございます。たとえば、本年1月に政府の有識者会議の提言において、安全保障上重要な個人に関する機微なデータの防護等のデータセキュリティの在り方等についてご指摘をいただいておりまして、これらも含めましてさまざまな措置を検討してまいりたい、このように考えてございます。

高山聡史
ありがとうございます。

まさに不断の取り組み、本法案の改正に関わるところもそうですし、官民協議会というのもございます。民間との協議によって新たに理解が深まる点、あるいは、それによって、現場での運用実態を踏まえて、制度的な手当てが必要となるような点も見つかってくると思いますので、必要に応じた運用改善そして制度改正を機動的に行っていく方針を明確に確認させていただきたいという趣旨でございました。

今回、イラン情勢のことであったりとか、あるいはAIの急激な進化というのは、事前に予見をすることが大変難しいテーマでございます。特にAIの進化というのは、今回、Claude Mythosというものがこれほどまでに国会でも大きく取り上げられましたが、AIの飛躍的な進化というのは、恐らくこの1回だけではございません。今年、来年、どういった変化が起こるか、それによってどのような経済安全保障上の取り組みが必要となるかということは、今、現時点では我々、予測が難しい種類のものであると考えます。そういった大きな変化に対して、政府としても、迅速に、機動的に取り組めるような、そういった議論が必要であるということを申し上げて、私の質問を終わります。