【全文】予算委員会 質疑/幹事長 高山聡史(2026年3月2日)
2026年3月2日の衆議院予算委員会における、チームみらい 幹事長 高山聡史の質問と、各答弁者からの回答を全文起こしたものです。(2026年3月5日更新)
質問者=チームみらい 幹事長・高山聡史
答弁者=高市早苗内閣総理大臣、城内実経済財政政策・規制改革担当大臣、片山さつき財務大臣・金融担当大臣、松本尚デジタル大臣、上野賢一郎厚生労働大臣、黄川田仁志こども政策担当大臣、金子恭之国土交通大臣
1. 国内投資の活性化について
国内投資のテコ入れに向けたアクションについて
高山聡史
チームみらいの高山でございます。本日はまず最初に、わが国経済の成長にとって喫緊の課題である国内投資の活性化につきまして質問をさせていただきます。
先日、高市総理も「圧倒的に国内投資が足りない」ということを代表質問の答弁の中でも複数回おっしゃっておられましたが、わが国の国内設備投資の対GDP比は、長期にわたり米国や欧州諸国と比べても低い水準に留まっております。国内への投資は伸び悩む一方で、海外設備投資はある程度増加傾向を続けてきたわけで、企業にとって国内に投資するインセンティブが相対的に低いというこの構造を、今こそ変えていかなければならないと思います。この構造を変革しない限り、賃金の停滞、地方経済の衰退、そしてイノベーション力の低下といった諸問題の解決はままならないものと考えます。
この構造的な国内投資不足の背景について、わが国企業が国内投資に消極的であった要因としては、これまでもさまざまな指摘がなされてきたものと存じます。人口減少に伴う国内市場の縮小見通し、法人税をはじめとする税の負担、エネルギーコストの高さ、さらには各種の規制であるとか、許認可の手続きの煩雑さ、こういったデフレ環境下でのコストカットトレンド以外にも、事業環境上の課題が複合的に重なっているという見方があるかと思います。
そこで城内大臣にお伺いします。国内投資がこれまで不足してきた背景と主要因について、政府としてどのように認識をしておられるか。とりわけ構造的・制度的要因と企業マインドの問題、それぞれどのようにお考えであるかご見解をお聞かせください。
城内経済財政政策・規制改革担当大臣
高山委員にお答えします。午前中の斎藤(アレックス)委員、村岡(敏英)委員からも同趣旨の質問がございましたけれども、国内投資が不足していた主な背景については、やはり長年のデフレの中で企業部門がコストカットを行ってきた結果、収益の増加に比べまして将来のための必要な投資が抑制されてきたこと、これに尽きると思います。こうした状況を解消するには、やはり何といっても、企業が過度に現預金を溜め込む、保有するのではなく、またあるいは、大企業でしたら株主に配当を回すだけではなく、設備投資、あるいは人材投資、研究開発投資といった将来に向けて、こうした投資を効果的に行っていくことが極めて重要であります。
いずれにしましても、高市内閣におきましては、責任ある積極財政のもとで、長年続いてきましたこのような過度な緊縮思考を、そして未来への投資不足の流れをしっかりと断ち切って、危機管理投資・成長投資によりまして、世界共通の課題解決に資するようなサービス、製品、インフラ、これをしっかり開発して国内外に提供することによって、日本の成長につなげていく考えであります。
高山聡史
ありがとうございます。言及いただいたように、成長への投資をしっかりやっていく、未来に向けた投資をやっていくというところは、チームみらいとしても大変共感するところでございます。その上で申し上げたいのは、定量的に明らかにするというところの重要性でございます。
これまで成長戦略であったりとか、規制改革というのは何度も取り組まれてきた歴史があるかと思います。一方で、定量的な進捗管理が十分であったかというと、必ずしもそうではないケースが過去にはあったかと思います。政府の支出だけではなくて、民間投資額の目標であるとか、あるいはそれを実現するマイルストーン、そして目標未達の場合の見直しプロセス、こうした検証と改善のサイクルがしっかり回っていくようなロードマップにしていただきたいと思います。
総理も、とにかく成長のスイッチを押しまくるんだとおっしゃっておられましたが、押したスイッチがちゃんとついているかどうかというところ、大変重要なポイントかなと思います。
もう一つ、午前中、藤田(文武)委員からのご質問にもありましたが、規制改革について、このスピード感ということが非常に重要だと思います。城内大臣は規制改革の担当でもいらっしゃいますので、規制改革を加速するという際に、具体的にこの目玉となるような規制に関して「いつまでに、どう変える」みたいなところも、明確なタイムラインであったりとか、成果イメージのあるものを、お示しいただきたいと思っております。
もう一点、チームみらいとしては特に強調しておきたいのが、国内投資の促進という議論をするときに、ともすれば、設備投資、モノの投資といったところに目が向きがちであります。今後の日本経済の成長を考えたときには、もちろんモノの投資はそうなんですが、加えてソフトウェアの投資、AI・データ基盤に対する投資、そして人的資源への投資、こうした無形資産への投資がますます重要になってくるかなと思います。テクノロジーを使いこなして、成長テーマにしっかりと投資をしていく、それによってこどもや孫の世代が安心して暮らせる社会をつくる、こうしたことはチームみらいのまさに基本理念でございます。政府の成長戦略が形式的なロードマップではなく、真に国内投資を活性化し、国民生活の向上につながるというものであるように、引き続き議論させていただきたいと思います。
国内投資拡大の具体的打ち手と規制緩和について
高山聡史
続いて、先ほど城内大臣から答弁いただきましたが、国内投資を力強く拡大していくための具体的な打ち手についてお伺いしたいと思います。
国内投資の拡大においては、企業にとっての投資リターンを高めて、国内に投資する方が合理的であると判断できる環境、これを整備することが不可欠だと思います。総理は投資促進の減税であるとか、重点投資対象の17の戦略分野への注力など税制・財務面での後押しを掲げておられますが、各種の支援措置によってサプライチェーンの国内回帰であるとか、戦略分野の大胆な投資、これを実現していくことが重要かと存じます。
同時に、規制緩和の観点も極めて重要で、投資意欲を阻害するような規制のボトルネック、これを一つひとつ取り除いていく姿勢が求められると思います。
総理にお伺いいたします。国内投資の制約を解消するために、各種支援措置や規制緩和策として、政府はどのような打ち手が必要だと考えておられますでしょうか。短期的な施策と中長期的に取り組むべき構造改革、それぞれ具体的にお話しいただけますと幸いです。
城内経済財政政策・規制改革担当大臣
お答えします。先ほど申しましたように、高市内閣の成長戦略の肝であるのは、危機管理投資・成長投資を進めまして、世界共通の課題解決に資するような製品・サービス、インフラを国内外に提供することでありますが、まずは未来への投資不足の流れを断ち切り、国内投資の促進に徹底的にテコ入れするため、政府も一歩前に出て、事業者の予見可能性を高める大胆な措置を講じ、強力に民間企業の投資を引き出していくという考えであります。
そのために、17の成長分野におきまして、大胆な設備投資減税など投資促進策や、防衛調達を含む官公庁による調達、そしてやはり何といっても規制・制度改革、これをしっかりやることによりまして、供給面、そして需要面の両面にアプローチする多角的な観点から総合支援策を講じていく考えであります。
ご指摘の規制・制度改革、これは今申しましたように供給力をアップするのみならず、需要力をアップする観点からも非常に重要でありまして、先ほど定量的な投資のロードマップという話もありましたので、こうしたことにつきましては、スピード感を持って、しっかりと官民の連携で投資のロードマップを示せるようにしっかり取り組んでまいる考えであります。
高市内閣総理大臣
今、城内大臣が答えた通りでございますが、合わせて金融エコシステム、ここにもしっかりと力を入れてまいりたいと思っております。
高山聡史
ご答弁ありがとうございます。これまでわが国の産業政策においては、途中で方針が変わるであるとか、あるいは制度が短命に終わる、そういったケースもあったように思います。これは総理が大胆にやるということを宣言いただき、そして制度的にもそれがちゃんと続くということが担保されることによって、予見可能性というキーワードを何度かいただいておりますが、きちんと民間が予見ができて信じられる、そうした成長投資になっていくとよいかなと思います。
リスクマネーの供給と金融戦略について
高山聡史
続いて、官民連携による成長投資の拡大についてお伺いいたします。
先ほどは国内投資の促進についてお話しさせていただきましたが、投資拡大においては当然その原資となるリスクマネーの供給ということが不可欠です。しかしながら、わが国の成長産業へのリスクマネーの供給規模を、諸外国、米国や欧州と比較すると依然として著しく小さいという現実があるかと思います。
たとえば、米国のベンチャーキャピタル投資、これはAI分野を中心に大変堅調で、2025年には過去最高水準、3,394億ドルという記録が出ているところもございます。同じ調査で、日本もこの投資額自体は伸びておりますが58億ドルという調べもございまして、これは対GDP比で見ても大きな差がついている状況かと思います。
これはすなわち、優れた技術であるとか事業アイデアがあっても、それをスケール(拡大)させるための資本が圧倒的に不足をしているということになるかと思います。この資本規模の格差というものは、単にお金が足りないという問題ではなくて、おっしゃっていただいた金融エコシステム、投資エコシステム、こうした全体の構造に関わる問題であるかと思います。
今回、戦略17分野に対して官民の投資ロードマップを策定するとありますが、その中でリスクマネーの供給の資本の厚みをどう確保するかということは決定的に重要な問題だと思います。単に政府が補助金や基金を積むだけではなく、あわせて民間の長期の資金が成長分野に流れ込んでいくという仕組み、これを構築できなければ、世界の投資の競争には勝てないというところかと思います。
そこで総理にお伺いします。国内の成長産業へのリスクマネー供給を拡大して、米国や欧州並みの資本規模を確保していくためには、公的資金が呼び水となって機関投資家の投資行動が変わることであるとか、あるいは海外投資の呼び込みといった多面的なアプローチが不可欠かと存じます。総理はこの官民連携による投資のエコシステム、金融のエコシステムというところをどのように形成していくお考えでしょうか。今後のロードマップの中でリスクマネー供給の拡大というものがどう位置づけられるか、具体的なビジョンと道筋をお示しいただければと存じます。
高市内閣総理大臣
強い経済の実現に向けて、まさに危機管理投資・成長投資を訴えております。この戦略分野の投資促進に取り組む上で、金融面からのサポートは非常に重要です。成長戦略の策定にあたりまして、金融を分野横断的課題の一つに位置づけております。
官民の金融機関や官民ファンドから戦略分野の国内企業へのリスクマネー供給を拡大するためには、成長段階のスタートアップへの資金供給力の強化、また地域の中堅・中小企業を支える金融力の強化、そして官民の適切なリスク分担などの課題がございます。
そこで片山担当大臣に対しまして、夏の日本成長戦略策定に向けて具体的な検討を行い、国内の成長産業への投資につながる新しい金融戦略を策定するように指示しております。
片山財務大臣
金融担当大臣としてもお答えいたしましたが、ただいま総理がおっしゃったように、私も成長戦略の横串として金融戦略を策定するように指示を受けておりまして、委員ご指摘のように、リスクマネーは圧倒的にまだGDP規模から比べて少ないです。
実際に地域の中堅・中小企業の金融力の強化につきましては、すでに年内に一つ戦略をつくっておりますが、具体的に資金を供給できるような状況にどういうふうにしたらなるのかということで、そのリスク分担、保証、あるいは官民ファンドの組成、さらに加えまして、出資をする場合、メザニン(ミドルリスクの資金供給手法)を公的にある程度取るのかとか、かなり具体的なものについて、17の戦略分野ごとに資金が出せる、資金が動員できる形をつくっていくにはどのようなプランがあるのか。これが、ある程度動いていかないと、まさにリスクマネーの回転といいますか、投資エコシステム、金融エコシステムになりませんので、委員ご指摘の通り、この具体性を持っていただいて、それに海外のほうも呼応するような、「さすがに今回、日本は変わったな」と思うような形が大事だと思っております。
すでにこの2月、3月でかなりの問い合わせも受けております。具体的に日本が立ち上がって投資マネーの呼び込みと国内における投資に大きく舵を切っているということが認識されつつあることですので、これをさらに押していくように、具体的な金融戦略をつくってまいりたいと考えております。
高山聡史
ありがとうございます。まさに官民連携しながら、しっかりとリスクマネーが入っていくということを私としても望んでおります。今、官民ファンドの話もございましたが、過去あったように、公的資金に過度に依存をして、そのあと民間のマネーがなかなか入ってこないということがないように、今後具体の議論を尽くしていければと思います。
ディープテック分野における資金供給について
高山聡史
続きまして、このリスクマネーの供給に関連して、特にディープテックの分野における資金供給のあり方について、城内大臣にお伺いしたいと存じます。
成長投資を拡大していく中でも、特に深刻な構造的課題があるのが、いわゆるディープテックの分野であるかと思います。ディープテックというのは、量子コンピューティングであったりとか核融合、バイオテクノロジー、先端ロボティクス、新素材など、基礎科学に深く根ざした技術革新でございまして、これは17の戦略分野の多くが該当するものであると思います。社会課題の根本的な解決、新たな産業を生み出す力、そうした力を持つ分野でございまして、わが国の成長戦略の中核をなすべきものだと思います。
しかしながら、資金的なギャップというものが、通常のスタートアップよりも大きい。つまり、一般的なITのスタートアップであれば、プロダクトを開発して市場に投入をして収益化するといったところまで数年で達するようなケースもありますが、このディープテックという分野、最初、基礎研究であるとか概念実証、プロトタイプを開発して、量産できるかどうか、そうした研究があって、そして商業化に至ると。このサイクルが10年とか15年とか、あるいはそれ以上の期間を要するというケースも少なくないということで、研究開発費が先行的に多額の金額が発生し、その間、収益がゼロあるいは極めて限定的であるという、いわゆるスタートアップにおける「死の谷」が格段に長くて深いものであるという課題があると思います。
そこで城内大臣にお伺いいたします。ディープテック分野においては、多額の研究開発費が先行するということで、資金ギャップが長期にわたり、通常の投資の時間軸では対応しきれないという構造的な課題があると思います。この課題を克服して、官民の連携によって大規模かつ長期安定的な資金供給を可能とする仕組みを、どう実現していくお考えでしょうか。
城内経済財政政策・規制改革担当大臣
高山委員ご指摘の通り、このディープテック分野は大変大きな成長のポテンシャルがあるということは言うまでもございませんが、こうしたAI、バイオ等のディープテック分野におけるスタートアップは、高いイノベーション力を通じまして、リスク対応や社会課題の解決を牽引する大変重要な存在だというふうに認識しております。
一方で、ディープテックに関する製品、これを市場に出すまでには、一般的には長期かつ大規模な資金が必要となり、また資金ギャップの問題もございます。このため、政府といたしましては、創業から事業化、さらにはそのエグジット、出口である商品化・商用化に至るまで、シームレスに切れ目のないようなディープテック分野への成長資金の供給が非常に重要であるという認識のもとに促進してまいりました。
具体的に事例を挙げさせていただきますと、たとえばNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)を通じて、ディープテック・スタートアップに対する研究開発支援、あるいは事業開発支援。さらには、民間資金の呼び水となる官民ファンドを通じたリスクマネー供給。3つ目は、我が国の優れたディープテック・スタートアップの魅力を国内外の投資家等に発信するようなグローバルイベントを日本で開催すること。こうした取り組みを行ってまいりました。
先般の日本成長戦略会議のもとに、私自身が分科会の会長である「スタートアップ政策推進分科会」を立ち上げまして、2月4日に第1回目となる会議を開催したところでございます。今後、こうしたディープテック・スタートアップの支援のあり方を含めまして精力的に検討を進め、「スタートアップ育成5か年計画」がございますので、これをより強化し、わが国発のスタートアップが主要なプレイヤーの一つとして活躍する強い経済の実現に向けて、5月までにこの取りまとめを行いたいと考えております。
高山聡史
ありがとうございます。ディープテック分野についてもう一点あるとすると、多くの場合、たとえば補助金の事業、これは事業を概ね継続されていれば成功と、たとえば8割はちゃんと事業が続いているね、いいねとなるかもしれません。ただ、こうしたディープテック・スタートアップのようなものに関しては、しっかりと大きな市場をつくって、ホームラン級のものがいくつ出るか、その成果の大きさによって計られるべきという性質もございます。
この「続けばOK」というものと、「大きく花開くことが重要である」というもの、それぞれの性質の違いということも踏まえながら、今後の議論をさせていただければと思います。
2. ワイズスペンディングとEBPMの強化
客観的データに基づく政策効果の評価と検証について
高山聡史
続いて、ワイズスペンディング(賢い支出)の実現に向けて、EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)の強化についてお話しさせていただきたいと思います。
ここまで、国内投資の拡大、そして官民連携による成長投資、ディープテック投資という、成長戦略のある意味「攻め」の要素についてお話しさせていただきました。しかし、攻めの投資を積極的に行うからこそ、その資金の使い方の質、すなわちワイズスペンディングの徹底がこれまで以上に重要になってくると思います。
大規模な財政出動が、国民にとって真に価値のある投資になるために不可欠なのが、エビデンスに基づいて評価をする、すなわちEBPMであります。客観的なデータに基づいて政策を設計して、その効果を定量的に検証して、その検証結果をもって次の政策であるとか予算配分に反映をしていく、このサイクルが回って初めて、責任ある積極財政というものがよりよいものになっていくと思います。
特に、複数年度にわたる投資、あるいは基金の効果検証というものは、通常のものに比べて難易度が高いものだと考えます。単年度であれば事業が終了して一定検証すればいい、こういう整理も可能かもしれませんが、複数年度に基づく戦略投資、特に半導体であるとか造船分野で創設された基金、こういったものもございますので、投資から成果が現れるまでに一定の年数を要するものに対して、その間、投資資金が適切に活用されているのか、中間の段階でどう評価をし、評価に基づいてどう軌道修正をするのか、こういった仕組みの整備が重要だと思います。
そこで松本大臣にお伺いいたします。責任ある積極財政のもと、複数年度予算であったり、長期的な基金による戦略投資が拡大していく中で、EBPMの取り組みをはじめとする客観的データに基づく政策効果の評価、これを定期的かつ実効的に行っていくことが不可欠だと思います。この政策効果の評価・検証をどのように実践していくお考えか、具体的にお示しいただきたいと思います。
松本デジタル大臣
質問ありがとうございます。政策効果の評価というのは非常に重要だということは、委員ご指摘の通りです。
ちなみに、我々は行政事業レビューというのをやっておりまして、令和6年度からこれを抜本的に見直して、委員がおっしゃったEBPMの要素を取り入れながらこれをやろうということで、令和6年、そして7年と続けさせていただきました。昨年の秋のレビューでは、28名の外部有識者がこうした指標も用いながら、レビューシートを使って、3点、前回では評価をされています。「短期・中期のアウトカム(成果)をしっかりと設定しろ、長期だけではダメだ」というようなご意見、あるいは「優良事例を横展開しろ」、あるいは今委員がご指摘になった基金、これは「残存の基金の残高をちゃんと見てその後の継続を考えろ」といったようなご指摘もいただいているところでございます。
委員が今おっしゃったEBPMについては、おそらく定量的な評価をどれくらいやるかということを、もう少し重視しろと、たぶんおっしゃっているんだろうと思います。我々も、いろいろな手法を導入して、政策効果が数字で見えるように定量的な成果目標を立てながら進めたいと思っております。ただ、予算を投入したインプットと、何をどう買ったか、あるいはどれぐらい増えたかというアウトプットは数字は出やすいのですが、それによってどれぐらい効果があったかというアウトカムについて数値化するというのは、なかなか難しい部分もございます。
そういったところで若干我々も苦労しているところはありますけれども、ぜひチームみらいの皆さまには、お得意な部分ではないかと思いますので、こうしたところをアウトカムで数字にすると非常に客観的な評価になるよ、といったことは、ぜひこっそりとお話をいただければ。表に出ても結構なんですけれども、ぜひご指導を賜りたいと思っております。
高山聡史
はい。ぜひ表でも、個別にもお話しさせていただきたいと思います。
まさに今、政策評価の中でアウトカムの検証をどうやっていくかというお話がありましたが、チームみらいとしてぜひ提案したいのは、その評価に用いたデータであるとか、あるいは前提条件、何かモデルを使うのであればそのモデルを、なるべく公開していくという考え方でございます。これは多くの人の目に触れるところで、どういう考え方でどういう前提を置いて評価をしたかということを複数の目を入れて検証していくことで、より質の高い議論ができる要素もあるかなと考えます。
政策評価を踏まえた意思決定について
高山聡史
続いて、この政策評価、これはしっかりやっていくというところなのですが、その評価結果を踏まえて、どのように投資の方針の見直しであるとか、さらなる投資加速、これを実行するかということに関してお話しさせていただきたいと思います。
評価結果を踏まえてその方針を見直すのか、あるいはさらに投資していくのかという意思決定は、素早く適切なものでなければなりません。評価があっても意思決定の時間がかかりすぎるであるとか、あるいは厳しい評価が出ているのだけれど調整と称してどこかのプロセスで見直しが骨抜きにされたり、前年踏襲であったり、そうした惰性で見直しが進まないということがあれば、せっかく評価しても「評価しただけ」ということになってしまいます。
そこで片山大臣にお伺いしたいと思います。大臣においては、租税特別措置・補助金見直しの担当として日本版DOGEという取り組みもなされているかなと思います。複数年度にわたる長期投資、基金、あるいは租特、補助金といったものを含め、政策効果の評価、これを踏まえた予算配分をどう見直していくのか。「効いているもの」にはさらに加速をさせて、「効いていないもの」は撤退するという意思決定、これを予算制度の中でどう迅速に行うかというところをお伺いしたいと思います。
片山財務大臣
高山委員に大変有用なご指摘を先ほどからいただいておりますが、もともと政策評価、先ほどの行政評価レビューにつきましては、私ども財務省のホームページにもつけております。たとえば(令和)7年12月26日に、今回の8年度予算案の予算編成でどのように活用されたかということが出ております。対象は5,700あって、全部載せているわけではないのですが、その年度について、今ご審議いただいている予算案の中で、こういうことがチェックポイントとしてあって、こういうことは是正されるというようなことが書いてあるわけです。
これが今回、まさにこれから投資的なものについて複数年度の枠組みをつくっていくと、まさに概算要求のところから違う枠になっていくし、当然評価は最初の単年度に行っただけではなく、毎年毎年ズレていないかとか、予想された結果とはまた違う部分があるんでしたら、それを改善するために変えていかなければならない。ずっと5年なら5年の計画の中で、毎年PDCAを回していくということになると思います。それによって、よく投資案件というのは、初めの勢いはよかったのだけれどあまりいい結果が出ないものが多かったと言われてきたわけですが、そういうことが決してないように、軌道修正をしながら、よりよいものにしていくことができると思っております。
その手法についてはさまざまな手法がありますし、モデルを回すこともあるでしょうし、あるいはデジタルの活用ということを党是にしてらっしゃる御党においては、新たな生成AI等の活用の手法等のご提案もあるでしょうから、そうしたところもぜひ受けてまいりたいと思います。
こうしたことを複数年度予算の枠組みに持っていく、あるいはきちっとした投資を伴うような基金が組成されたときの、その基金が毎年ズレていかないように、きちっと軌道修正をしていくために使って、不断に予算の質の向上に取り組んでいくということは当然なことだと思います。
まさに高市内閣においては「メリハリ」、これが強い経済をつくるための強い予算だと思っておりますので。こうしたことをやっていく上で、先ほどご指摘をいただきました日本維新の会と我々との政策協定に基づきまして、私が総理から担当大臣を拝命しております見直し、租税特別措置とともに補助金等、──基金は当然補助金で組成されているものが多いから入ってきますので、これにつきましてもきちっとその進捗の管理、それもできるだけ数値化されたものもやった上で、エビデンスに基づいたものと言えるようにして、メリハリを持って、「おかしい」とか「これ以上役割は果たせない」というものはビシッと切って、その代わり新しく出てきた提案が素晴らしければそちらに変えるということで、きちっと皆さまにご理解をいただけるようにやってまいりたいと思います。その財源に関する議論の中では、おそらく国民会議でもそうした問題も出てくると思いますので、(チーム)みらいさんにはご参加をいただいているわけですから、ぜひご提案を賜りたいと思います。
高山聡史
ありがとうございます。今お話に出ましたチェックポイント、非常に重要なところかなと思います。特に撤退する条件のところが、撤退が政治判断になってしまうと非常に難しい。そうではなくて、あらかじめ設定した撤退条件に照らして、ある意味仕組みで撤退をするということがしっかりなされないと、ずるずるいってしまうという恐れがあるというところで、そのあり方について引き続き議論させていただきたいと思います。
3. プッシュ型行政サービス実現に向けて
公金受取口座登録の目標について
高山聡史
続いて、プッシュ型の行政サービスについてお伺いいたします。
先日、私がさせていただいた代表質問でもプッシュ型行政サービスの実現に向けて、これまでマイナポータルの整備、公金受取口座の登録制度の創設、マイナンバーによる情報連携などに触れて総理にご答弁いただきましたが、公金受取口座の登録制度というのはプッシュ型の給付に道を開く大変重要なインフラだと捉えています。
この制度の登録件数、今デジタル庁さんが公開されていて、昨日3月1日時点で63,371,229口座に達しているということを確認できました。これは素晴らしいと思います。日本の人口の約半数に相当する数で一定の普及が進んでいるということで、大変評価したいと思うのですが、逆に国民の約半数がまだ登録していないということでもあります。
そこで松本大臣にお伺いします。公金受取口座の登録制度、これは各種給付の迅速化であるとか、プッシュ型の行政サービス実現に向けて極めて重要な取り組みだと思います。さらなる普及に向けて、登録数であるとか行政機関からの照会件数について、具体的な目標を設定するお考えはありますでしょうか。
松本デジタル大臣
公金受取口座の登録制度というのは、今委員がおっしゃった通り、非常に国民の皆さんに給付等を迅速かつ確実に進めるための非常に重要なインフラだと思っております。これが任意登録でございまして、今ご指摘ありましたように6,300万人、約国民の51%にまで進みました。
実はこれを本格的に始めたのが2022年の6月末からなのですが、そのときに何をやったかというと、登録をした人には「7,500ポイント、マイナポイントをつけます」ということをやりました。皆さま覚えてらっしゃるかどうか分からないのですけれど。1年3ヶ月の間に数百口座だったのが6,000万を一気に超えたのですね。そこから先はほとんど、増えていないわけじゃないですが、じわじわとしか増えていなくて。どこかで何か、ポイントをつけるというわけにはなかなかいきませんけれど、何か少しアクセラレートするものを考えなければいけないと思っておりまして。
今回、今年度の当初予算と昨年の臨時予算、補正予算をつけまして、この公金受取口座の未登録の方、これは年金受給者の方々を対象として、年金の受取りの口座をこちらに振り替えるということを、これからやろうと考えております。これで対象者が1,700万人ぐらいいるのですけれど、どうしても嫌だというような方とか、あるいは我々の情報がうまく伝わらないという方、どうやったらいいか分からない方、いろいろいらっしゃると思いますので、1,000万人ぐらいを目途に増やしていきたいと。
ただ、それ以外のところもしっかりと進めていかなければなりませんので、これは国民の皆さんにどうやって進めていくかというのは私の仕事だと思います。ちなみに、20歳未満の方の口座の割合が50%未満、それから80歳以上になりますと、この方々も50%未満ということで、まだ年齢に少し差があると。一番しっかり登録されているのが60歳代で、ちょうど私の年齢になりますけれど、55〜57%ということで、もうちょっと下がるのかなと思ったのですけれど、それほどではないので、できる限りこうしたことをやると便利になるよということは私のほうからも、いろいろな機会を通して周知を徹底していきたいというふうに思っております。ありがとうございます。
高山聡史
ありがとうございます。具体的に、この任意登録であるという状況の中でも普及に向けた取り組みが行われているということは、大変望ましい状況かなと思います。
国・自治体・関係機関のデータ連携について
高山聡史
続いて、プッシュ型の行政サービスを実現するためには、この公金受取口座というインフラだけではなくて、行政機関が保有するデータを相互に連携する基盤が不可欠だと思います。所得であるとか住民税、世帯構成、各種手当の受給状況、医療・介護の情報など、こうした複数の行政機関が保有するデータを安全に繋ぐことができる、もちろん本人の同意のもと、安全に繋げるという仕組みが必要かと思います。
松本大臣にもう一点お伺いします。プッシュ型行政サービスの実現に向けて、国と自治体であるとか自治体同士、あるいはさらに関係公共機関の間のデータ連携、これは必須だと思います。デジタル庁として、このデータ連携のあり方を各自治体に対して示すお考えであったりとか、あるいは具体の取り組み、詳しく教えていただければと思います。
松本デジタル大臣
国民の皆さんの利便性の向上と行政運営の効率化ということで、マイナンバー制度においては共通のデータ様式があって、これに基づきまして国と地方公共団体、それから地方公共団体同士、この間で行政機関間の情報連携を可能にしております。今それを細かく、1,700以上ある地方公共団体に1つずつ採用していただけるように努力をしているところでございますけれども。
ちなみに、こうした活動を続けてまいりまして、2019年度にこうした情報連携の利用件数は5,000件程度(※)だったのですが、2024年の段階で2億件まで増えている。結構頻繁に、国・地方、それから地方同士、情報の連携をやっていただいておりまして、どういう内容が多いかというと、年金給付関係の事務とか、あるいは住民基本台帳関係の事務というのが非常に多くを占めております。
※2019年度の利用件数は5,000件ではなく5,000万件と、後に訂正がありました。
このようにちょっとずつではありますが、データ連携というのは進んでいるということはご承知いただきたいと思います。ただ、それで完成というわけではありませんので、まだまだ残っている部分はたくさんありますから、こちらについては利用範囲の拡大をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
高山聡史
ありがとうございます。今、全国1,700を超える自治体でそれぞれ取り組みがあるというところございましたが、このデータ連携の課題というのは、実は技術だけではなくて、この1,700以上ある自治体でそれぞれに頑張って取り組みをして、異なるタイミングで、時に異なるベンダーと異なる仕様でそれぞれシステム構築・運用されるということに難しさがあると思います。
これを何か魔法のように、1個制度をつくるとかシステムをつくるということで完成することではなくて、データがどう流れて、どう繋がり、誰が何にアクセスできるのか、基本形のようなものを全体像として描くということが非常に重要な仕事であると思います。引き続き議論させていただければと思います。
4. 障害児福祉の所得制限について
障害児福祉における年収と可処分所得の逆転現象の解消について
高山聡史
少しテーマを変えまして、障害をお持ちのお子さんを育てているご家庭の切実な問題についてお話しさせてください。
重度の障害を持つお子さんのご家族で、もともと特別児童扶養手当を受け取り、放課後等デイサービスも利用されていた。年収が上がったと思ったら所得制限を超えてしまって、むしろ手取りが減ってしまった。これ、何も特殊なケースではなくて、障害児福祉における所得制限の構造的な問題として、多くのご家庭が直面している現実であります。
今の例でいうと、特別児童扶養手当は重度の場合月額56,800円、中度で月額37,830円。放課後等デイサービスなど通所支援利用負担額は、所得制限を超えると月額4,600円だったものが月額37,200円になる。こうした現状がございます。
この問題は所得制限がいわゆる「崖」の構造になっておりまして、基準額を超えると、いきなりたとえば先ほどの重度の場合の手当、年間で約68万円の手当がゼロになってしまうというものです。
さらに、障害のあるお子さんを育てているご家庭というのは、お子さんのケアをされるために片方の親御さんがフルタイムで働くことは難しくて、もう一方の親御さんが家計を一身に支えている、こうしたケースもございます。そういった方が残業代であったりとか、わずかな昇給によって所得制限を超えてしまう、それが起きた途端に家計全体の可処分所得が大きく減ってしまう。頑張って働いて結果損をする、これは明らかに制度設計に欠陥があると言わざるを得ません。
総理にご質問いたします。現在、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、障害児の通所支援などの障害福祉サービスでは所得制限が設定されておりますが、この所得制限の基準額に近い世帯において、年収と可処分所得の逆転現象が多く起きております。この逆転現象を解消する必要性について、総理のお考えを教えてください。
上野厚生労働大臣
全額公費によります現金給付である特別児童扶養手当等の所得制限につきましては、障害児の生活の安定に寄与するよう必要な範囲で支給する、そうした制度趣旨であったり、20歳前に傷病を負った場合の障害基礎年金など、他の所得制限を有する制度との均衡を踏まえたものであります。
その上で、この所得制限基準額を超える場合には、ご指摘があったように特別児童扶養手当等が支給されない、あるいは障害児に対する福祉サービスの利用者負担の月額上限額が引き上がる、ということは生じ得るものでありますが、これは他の所得制限が設けられている制度でも同様であると認識をしております。
障害児福祉につきましては、こども家庭庁におきまして近年サービスの充実等にも取り組んでいただいておりますし、障害児福祉サービス全体では、たとえば平成24年度から令和6年度までの間におきましては、給付額ベースで1,000億が1兆円というように10倍になるなど、その充実に努めてきたところであります。こうした状況であったり、あるいは安定財源を確保することが必要である、そうした制度の持続可能性の課題、そうしたことも踏まえながら、適正な運用に努めていきたいと考えています。
高市内閣総理大臣
今すっかり厚生労働大臣が答弁をしてしまいました。その通りでございます。
児童手当における所得制限の撤廃などと整合について
高山聡史
今の大臣の答弁の中にも、「他の所得制限を有する制度との均衡」というお話がありました。先日、代表質問で国民民主党の玉木代表の質問に対する総理のご答弁の中にも、同じような表現があったかなと認識をしておりますが、ここでいくつかの制度について触れたいと思います。
2024年10月に児童手当の所得制限が撤廃されたと承知しております。これは「すべてのこどもの育ちを支える」という理念に基づくもので、この判断を私は高く評価しております。しかし、同じこどもへの支援でありながら、障害のあるこどもに対する支援には依然として所得制限が残っている。児童手当はすべてのこどもが対象であるのに対し、特別児童扶養手当というのは「障害」という追加的なハンディキャップを背負ったお子さんとそのご家族の支援です。追加的な困難を抱える方の支援に、一般の児童手当よりも厳しい制約が課されているということは、制度的に整合しているのか、これを伺いたいと思います。
また、2024年4月には、障害児の補装具費支給制度における所得制限というものも撤廃をされました。これも大きな一歩だと評価いたしますが、手当のほうでは所得制限が維持をされている。この未だ障害児福祉に課せられている所得制限が、児童手当における所得制限の撤廃であるとか、補装具費に関する所得制限の撤廃と整合しているというふうにお考えなのか、総理のご認識をお聞かせください。
上野厚生労働大臣
まず児童手当でございますが、これは少子化対策を強化する中で、障害児を含めた次代を担うすべてのこどもの育ちを支える、いわば基礎的な経済支援として、新たな財源の確保とともに令和6年10月から所得制限を撤廃をしたというように承知をしております。
一方、障害児に対する支援につきましては、障害児のニーズに応じた現物給付である障害福祉サービスによる支援、また障害児の生活の安定に寄与するよう世帯の所得状況に応じて支給される特別児童扶養手当等の現金給付など、個別のニーズあるいは状況に応じた支援策を講じてきたところであります。このように、児童手当と障害児にかかる支援策との間では、それぞれの政策趣旨あるいは位置づけ、これが異なっていることや、あるいは同様に所得制限が設けられております全額公費負担、または保険料無拠出の制度との均衡などを踏まえまして、特別児童扶養手当等につきましては所得制限を存続をさせているところであります。
繰り返しになりますが、近年、障害児に対する福祉サービスの給付額につきましては、平成24年度以降令和6年度までに1,000億円から1兆円、10倍に増加をするなど、ニーズに応じて大幅にサービスの充実に努めてきているところであります。こうした状況も踏まえ、また安定財源を確保する必要があるなど、制度の持続可能性の課題なども踏まえながら、制度の適正な運営に努めてまいりたいと考えています。
高山聡史
児童手当においても、所得制限の撤廃において、こどもの育ちを支える給付が親の所得によって左右されるべきではないという考え方があるものと思います。そうであるならば、持続可能性という問題があったとしても、障害という追加的な困難に対する支援こそ、親の所得によって左右されるものではない。これは論理的に考えても、あるいは制度を血の通ったものにするためにも、当然ではないかと思います。
障害を持つお子さんを育てているご家庭の多くは、声を上げることすら難しいという方も多くいらっしゃいます。毎日のケアに精一杯で、国会の議論、これ今テレビも入っていますが見る余裕がないという方も多いのかなと思います。私自身、SNSで夜中の2時、3時に連絡をいただいて、「なんでそうなったの?」と街頭で聞くと、「余裕がないんだ」と直接訴えていただく。こうしたことがございます。私はそういった方々が政治に取り残された人々にならないように、その声を代弁する責任があると思っています。
「障害のあるこども」は「すべてのこども」に含まれると私は考えます。「すべてのこどもの育ちを社会全体で支える」という理念、これを掲げる思いが私たちにあるならば、障害のあるこどもを所得制限という壁の外に置いてはならないということを申し上げたいなと思います。
障害児家庭の実態調査について
高山聡史
今、制度の持続可能性であったり、あるいは検討というお言葉がありましたが、この検討することの前提にはエビデンスが必要であると思います。上野大臣と黄川田大臣にそれぞれお伺いしたいと存じます。
この特別児童扶養手当等の所得制限の妥当性を検証するために、不支給世帯の実態であるとか、逆転現象の影響規模であるとか、障害児家庭の追加的な経済負担を含む包括的な実態の調査、これらを実施すべきではないかと思っておりますが、これに関する大臣のご認識、お聞きしたいです。
また、障害児通所支援の利用控えの実態を含めて、障害のあるこどもの育ちが所得制限によって制約されていないか、この検証についてもこども家庭庁として実施する予定があるかというところをお伺いさせてください。
上野厚生労働大臣
お答えいたします。まず近年、障害児に対する福祉サービスの給付額、先ほど申し上げております通り大幅に拡大をしております。また、この特別児童扶養手当等の受給者数も、少子化の中でありますが、年々増加傾向にございます。加えて、近年の物価上昇を踏まえた支給額の増額改定も行ってきておりまして、総支給額は過去10年間で約3割増の1,600億円となっているところであります。
こうした状況も踏まえまして、現段階におきまして包括的な調査ということは実施する予定はございませんけれども、こども家庭庁ともしっかり連携しながら、サービスの充実なども含めました支援策全般について引き続き取り組んでいきたいと考えています。
黄川田こども政策担当大臣
議員ご指摘の障害児のいる家庭の実態については、現状では国民生活基礎調査等において、こどものいる世帯の所得の分布などは把握できるものの、そのうち障害児のいる世帯に限定した統計調査は存在しないため、その実態について正確に把握することは難しいと考えております。
一方、より効果的な施策を講じていくのに、障害児のいる家庭の実情把握に努めることも、一方で重要だと考えております。いずれにしても、障害児とその家庭の支援は大変重要と考えておりまして、障害児とその家庭が安心して暮らすことができるよう、引き続きさまざまな取り組みをしっかりと進めてまいりたいと考えております。
高山聡史
ありがとうございます。私は、こういった障害児福祉のような、かつ他の制度と比べても政治的な判断で前に進めることに一定の妥当性があるようなテーマこそ、総理のリーダーシップのもと、話を前に進めていただきたいなと思っております。
そうでなくても、具体的な検討、あるいは実態調査ということは、しっかりと期限を切って具体的な調査のスケジュール、あるいはその内容、ぜひ議論させていただきたいなと思います。
繰り返しになりますが、障害のあるお子さんも「すべてのこども」に含まれるということで、その実態を知ろうとしないということは、「見て見ぬふり」をすることと同じだと思います。まず実態を正確に知っていただいて、必要な取り組みを具体的に検討していただきたいと強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
5. 育児・介護の家事負担とセーフティネットについて
高山聡史
続いて、育児や介護に関する家事負担についてお話しさせてください。
こうした育児や介護に関する家事負担というものは、もはや家庭内だけで解決できないケースが多くございます。介護離職、これは年間に10万人、その8割が女性である。仕事と介護の両立が困難となって、本当は仕事を続けたかったのに、やむなく離職をしたという方、多くいらっしゃいます。2030年代にはビジネスケアラーが300万人を超えて、経済損失が9兆円を超えるという試算もございます。
育児の側でも、産後のうつであったりとか、孤立した育児、いわゆるワンオペ育児の問題が深刻化しています。出産・育児を理由とした離職も年間約15万人に上るというところで、特に非正規雇用の女性、育休制度すら利用できないままに職場を離れるというケースも少なくないと聞いています。
さらに、ヤングケアラーの問題。中学2年生の約5.7%、17人に1人が家族の世話を日常的に担っているという調査結果がございます。1日7時間以上世話に費やすというこどもも存在して、これは学業であったり友人関係、将来の進路に深刻な影響が出ているものです。
これらの問題に共通するのは、家庭内の問題として見過ごされて、支援が届く前に事態が深刻化してしまっているという構造です。介護離職、産後の孤立、ヤングケアラー。これらは本人や家庭が声を上げて周囲の人が「そうだったのか」と知った時点では、すでに限界を超えているケースが多くあります。つまり早期の発見であるとか、予防的介入、あるいはそういったサポートをする仕組みに対するアクセスが、まだ決定的に欠けていると思います。
2025年4月に改正育児・介護休業法の施行によって、介護離職防止のための雇用環境整備の義務化、こうした前進があることは承知をしております。まだ制度と現実の間には乖離があるものの、この取り組みをさらに進めていきたいと思います。
総理にお伺いさせてください。育児・介護に起因する離職、キャリアの中断、ヤングケアラーの問題に対して、早期の対応と継続的な支援、これを行うために、そして家庭内に閉じた問題を社会全体で受け止めるセーフティネットの構築に向けて、どのような取り組みが必要であるとお考えであるか、ご認識をお聞かせください。
高市内閣総理大臣
この育児や介護を原因とした離職、そしてキャリアを諦めてしまうこと、これをなんとか食い止めたいというのは、私自身の強い思いでもございました。
たとえば改正育児・介護休業法におきましては、フレックスタイム制だったり短時間勤務制度といった、柔軟な働き方を実現するための、企業による取り組みを推進しております。
加えまして、高市内閣としては、やはり安全で質の高いベビーシッター、また家事支援サービス、これをもっと利用しやすくする、利用促進をする。これをまた新たな政策として打ち出していくということ。それから、企業の活力を生かしたこども・子育て支援の推進。今企業で保育サービスを提供してくれているところはありますけれども、学童ですね。要は放課後の対応をしてくれるところがなかなかないということで。これも、企業のほうで放課後の対応もしてほしいということで、これも新規の政策として打ち出しました。
また、ヤングケアラーがいる家庭については、訪問による家事支援ですとか育児支援、これを実施しているところでございます。また、日本成長戦略、これは夏の策定になりますが、ここに向けて家事などの負担軽減を分野横断的課題の一つとして位置づけておりますので、これは関係省庁横断の会議体でその課題と解決策について議論をして、総合的な対応策を取りまとめてまいります。
高山聡史
ありがとうございます。今おっしゃっていただいたそれぞれの取り組みについて、力強く推進いただきたいと思います。
先ほどプッシュ型の行政サービスというお話をさせていただきましたが、こうした育児・介護の分野においてこそ、プッシュ型の支援が求められる領域だと思います。たとえば、介護保険の要介護認定が出された時点で、そのご家族に対して支援制度の情報が自動的に届くであるとか、こういったライフイベントに起因するものに対して、素早く支援が届く社会をつくっていければと思います。
あわせて、今日の質疑でぜひ申し上げたいのは、育児であったり介護であったりが「家庭の責任である」という社会の意識そのもの、これが今最大のバリアになっているということではないかと思います。介護休業を取りたくても、職場に迷惑がかかると諦める方もまだまだ多い。これに対して、育児・介護、これを社会全体で支えていくんだという認識を社会の隅々に浸透させるということを、我々やっていきたいと考えています。ぜひ、この認識に基づいて具体的な行動を前に進めていきたいと思います。
6. 自動運転の社会実装について
高山聡史
続いて、自動運転の社会実装についてお伺いいたします。
トラックドライバーの不足で2024年問題というものがございまして、2030年度には約34%の輸送能力の不足につながるという試算もございます。また、バスの運転手も不足をしていて、路線の廃止、減便が各地で相次ぎ、地方では公共交通の空白地帯も拡大しています。また、自家用車免許返納後の高齢者の移動手段の確保ということも喫緊の課題です。
自動運転がこれらの社会課題に対する有力な解決の選択肢であると私たちは考えます。しかし、自動運転の社会実装においては、まずドライバー不足を効果的に補えることと、交通事故の削減効果が見込める程度に安全性が担保されていることが必須であるかと思います。
これまで政府は、特定条件下で運転手が不要のレベル4の自動運転サービスを2025年度を目途に50か所程度、2027年度に100か所以上で実現するという目標を掲げてきました。高速道路におけるレベル4自動運転のトラックも、新東名での総合走行実証を進められていると承知しています。ただ、この実証から社会実装への移行というのはもっと加速せねばならないと思います。この目標の50か所というところであったり、あるいは実証実験の段階に留まるプロジェクトもまだまだ多く、目標に対してビハインドがある(遅れている)と承知しています。
一方で、米国ではWaymoがサンフランシスコ等で週25万回以上の有料乗車をすでに達成していて、中国でも百度(バイドゥ)のサービスが複数都市で商用運行を展開しているという状況です。今、日本が実証段階にいる間に、世界の「実装」から取り残されつつあると認識しています。
総理にお伺いします。この自動運転の普及を考えた場合に、どの分野で、どの程度の規模を、いつまでに実現するのか。そしてその実行計画、あらためてどうあるべきなのか、お考えをお聞かせください。
金子国土交通大臣
私のほうからお答えさせていただきます。委員ご指摘の通り、自動運転は、自動車運送業におけるドライバー不足の克服や交通事故削減に効果的であり、社会実装を加速することが重要であると思います。
実は、国土交通省にはトラックやバスやタクシーを所管する物流・自動車局があり、あるいは高速道路の実験をしております道路局もあり、さまざまなものが凝縮をしております。そこで本年1月、私を本部長といたします「自動運転社会実現本部」を立ち上げたところでございます。
本年1月に閣議決定されました「第3次交通政策基本計画」における、2030年度にバス・タクシー・トラック等の自動運転サービス車両数1万台の目標実現に向けまして、全国各地で行われている自動運転の取り組みへの支援。AI技術を活用した高度な自動運転車の開発・普及の後押し。国産自動運転車両の量産化につながる国際基準の策定。これ、国連の中のワーキンググループの中で、日本の国土交通省の職員が副座長もやっておるところでございます。また、自動運転車両の走行を支援するインフラ側の取り組みなど、安全性の確保を大前提に、本格的な自動運転社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
高山聡史
ありがとうございます。あらためてこの取り組み、ぜひ加速いただきたいと思います。これ具体的な例を考えたときに、たとえば、地方に住まわれている高齢者の方が自宅から病院に行くとしたときにも、じゃあ家の前からの「ラストワンマイル」がどうであって、そして幹線道路、中距離移動するときはどうであって、そして場合によっては乗り継ぎ、こうしたものもあると。
そうした中で、どういう形でこのラストワンマイルと幹線の輸送と公共交通と一体的にデザインしていくかというところが、この問題の重要なポイントであるかなと考えます。
7. サイバーセキュリティの取り組みについて
高山聡史
最後に、サイバーセキュリティの取り組みについてお伺いさせてください。
わが国を取り巻くサイバー空間の脅威はかつてないレベルに達していると認識しています。ランサムウェアによる被害報告件数、これは年々増えてきて、名古屋港でのコンテナターミナルが3日間停止するであるとか、あるいは大きな企業が何億円も特別損失を計上する、こうしたことが起きておりますが、これは氷山の一角であると思います。
昨年、能動的サイバー防御に関する法律が成立いたしましたが、これは我が国のサイバー防御を受動から能動に転換する一歩目になると考えます。しかし、現場で実効性のある防御体制が構築されるには、官民の連携、しかもこれが実効的に行われることが大変重要です。
そこで松本大臣にお伺いさせていただきます。官民連携の実効性を高めるために、どのような取り組みが必要であるとお考えでしょうか。特に、事業者との情報共有・連携体制の強化について具体的な方針をお聞かせください。
松本尚デジタル大臣
回答の前に、先ほどの情報連携の件数に誤りがありましたので、訂正させてください。2019年に5,000万件が、2024年で2億件と、4倍ということでございます。申し訳ございませんでした。
その上で今のご質問ですけれども、もうすでにサイバーセキュリティは官のみ、あるいは民のみ、あるいは一国のみで成し得るレベルではないと思っておりまして、委員ご指摘の通り、官民連携をどれだけ密にできるかというところが、このサイバー対処能力強化法の肝でもあると思います。
今この法律の制定、そして国家サイバーセキュリティ戦略の改定を受けまして、国家サイバー統括室ではこの具体論について議論している最中でございますけれども、具体的には、民からのさまざまな情報を取ってくると。それを分析・整理をして、それに対して被害の防止に必要な情報を我々から民に与えるということが必要で。何を「与える」かというと、技術情報であるとか、あるいは経営者が判断を下す際に必要となる攻撃の背景、こうしたことをやることになります。
ただ、そこには基幹インフラの協議会をつくっていくことになりますから、非常に機微な情報は入りますので、基幹インフラの事業者については重要経済安保情報保護活用法、これに基づいてセキュリティ・クリアランスを取っていただくとか、そうした情報を非常にプロテクトしながら進めていくということがこれから必要になると思っております。ありがとうございます。
高山聡史
ありがとうございます。ご答弁の中で制度の立て付けが順調に進んでいる部分があるということは認識をいたしました。その上で、やはりこのサイバーセキュリティの問題、「人材」が非常に大切であると思います。これは、十分な専門人材が政府に、そして民間の事業者にどれだけ配置されている状況をつくれるのかというところがポイントであると思いますので、人材育成についても今後議論させていただければと思います。
