【授業実践】「大造じいさんとがん」✖️「情熱大陸」ー子どもが語る“挑戦する生き方”
大造じいさんを“語る”授業を作りたかった
熊本大学附属小の溝上先生の研修で、「言語活動」への熱量に心を打たれた。特に「大造じいさんとがん✖プロフェッショナル 仕事の流儀」の実践は、教材研究の可能性を感じるものだった。「語り」で大造じいさんの生き方を表す──その発想に刺激を受けつつも、私はふと考えた。
「“プロフェッショナル”より、“情熱大陸”のほうが合うのでは?」
“挑戦する人”をリアルタイムで追う「情熱大陸」。
そこに映るのは、まさに“残雪を撃つ”ことに情熱を燃やす大造じいさんの姿そのものだった。
■ 単元概要
学年:小学5年生
教科書:東京書籍
単元名:「大造じいさんとがん」
単元の目標:行動や会話などから大造じいさんの人物像を想像し、考えたことを伝え合うことができる。
■ 単元構成と授業の流れ
① 初発の感想──「心が動いた場面」を起点に
授業の最初に「心が動いた場面と理由」を書かせた。このとき意識したのは、関西学院初等部・森川正樹先生の言葉だ。
「心が動いた場面が、山場になるよう授業をデザインせよ。」
結果はこうだ。1場面0人、2場面0人、3場面20人、4場面11人。子どもたちは物語の後半に深く共感していることがわかる。
また、「◯◯物語」のタイトルも考えさせた。「戦友物語」「勝負物語」「ハラハラ物語」──子どもの読みの方向が一目で見えた。
② クライマックスの確認──“心の揺れ”を比較する
3場面を推す子は「ひきょうじゃなくなった」「正々堂々」「残雪を守った」など。4場面を選ぶ子は「絆」「見守る姿」「また戦おうのセリフ」と語る。子どもたち同士の議論が白熱し、誤読を指摘し合う姿も見られた。
読む力が、対話の中で鍛えられていくのを実感した。
③ 設定を読む──“時・人・場”の再確認
音読やすきま時間を活かして設定を整理。「大造視点では“かり場”、残雪視点では“え場”」という発見も子どもから出てきた。言葉の違いから見える“視点のズレ”が、物語の奥行きを広げてくれた。

④ 人物像を読む──「行動」と「セリフ」から人間をとらえる
人物を読むにはどこに注目すべきか?
子どもたちは「行動」「セリフ」「見た目」「様子」などを挙げた。
そこから「大造じいさんの魅力を語ろう」をめあてに設定。
タブレットを使って各場面の“大造じいさん像”を書かせ、全員で共有した。ICT活用の練習も兼ねつつ、他者の意見を取り込みながら考えを深める時間になった。
中には「残雪について書きたい」と言う子もいた。その意欲を尊重し、「残雪の人物像」も可とした。結果、子どもたちの読みが多方向に広がっていった。
⑤ イメージで読む──物語の“色”を問う
「この物語を色で表すと?」と問うと、
赤・青・ピンク・緑・茶色・黒・黄色……と多彩な答えが返ってきた。
情景と心情をつなぐ描写=“情景描写”を体感的に理解するきっかけになった。
⑥ 「情熱大陸」で語る──子どもが“語り手”になる
最後の仕上げは「大造じいさんとがん✖情熱大陸」。
実際の番組をいくつか見せ、ナレーションの間やトーンを学ばせた。
子どもたちは「3分で語る」ミニ情熱大陸に挑戦。
人柄賞(人物像がよく伝わる)
ナレーター賞(声・間の工夫)
構成賞(文章構成の良さ)
の3賞を設定し、imovieで録音。
一発撮りの緊張感の中、教室は本物のスタジオのような空気に包まれた。
一発撮りはFirst Takeを一学期に紹介していたので、それをもう一度持ってきました。
■ 振り返り:語りは、子どもを変える
賞を設けたことで、子どもたちの表現が一気に熱を帯びた。窪田等さんの語り口をまねたり、インタビュー形式で演じたり。中には「残雪とマザーテレサの共通点」を語る児童まで現れた。
もちろん、全員が前に出るわけではない。
希望者はTeamsで録音提出も可にした。
“語り”の形は人それぞれでいい。大事なのは、「自分の言葉で語る」ことだ。
■ 結びに──“挑戦”を語ることで、挑戦する人になる
「情熱大陸」のテーマは“挑戦”。
子どもたちは大造じいさんを語りながら、
自分自身の“挑戦する生き方”と向き合っていたのかもしれない。
「語ることは、生き方を選び取ること。」
この実践を通して、国語の授業が“言葉の学び”を超えた
“人間を学ぶ場”になる手応えを得た。
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