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みみずく通信#06 | 森は生きている

◯月×日

森の散策のあと、家に帰ってから買ったばかりの植物図鑑をみて、出会った植物のおさらいをした。

その植物の名前を知ると、名前をつけた人がどんなふうにその花を見ていたのか、その時代の人がどんなふうにその植物を捉えていたのかを知ることができて、時代を遡ったような感覚になる。

昔から、名前の由来を知るのが好きなのだけれど、それはこどもの名前が、両親のどういう思いからつけられたのかを知るのにも近いのかもしれない。



クワガタソウ。
目立たずに咲く薄いピンク色の花が、この時期には少しめずらしい。
大きさは直径1センチほど。
はて、クワガタ…?と思ったら、
実の形が、五月人形の兜につける装飾“クワガタ”に似ていることから。


ハナイカダ。
葉っぱのまんなかにお花が咲いているのです。かわいすぎる…!
そしてこのまま、実も葉っぱの上になるそうです。
なぜなんだろう、と調べてたら、この花の花粉を運ぶのはアリ。
地表ではなく高いところで咲く花の場合、 ほとんどは羽のある虫に
花粉を運んでもらうのだけれど 葉っぱの上ならアリも花まで歩きやすく、
蜜も吸いやすいのだとか。
なんと、機能性からだったとは。
そうやって花々の戦略と、虫たちとの相互作用で、この形になっているんだなぁ。


ホウチャクソウ。
凛とした佇まい。花はしずやかな白緑。
ひっそりと、流れるようなうつくしい形をしていました。
寺院の軒下に吊るされている宝鐸(ほうちゃく)になぞらえてつけられたそうです。


それから、この日は雨あがりだったこともあり、ムラサキケマンの水孔を見ることができた。こちらも、図鑑の解説を読みながら、おさらい。


ムラサキケマンの葉。



山を歩いていると朝露や夜露と呼ばれる「露」で植物が濡れていることがあるのだけれど、「露」は朝夕の温度差によって空気中の水蒸気が水滴となってあちこちにつくことを言うのだそう。

一方で、この日見ることができたのは、植物が「水孔」と呼ばれる穴から体内の不要な水分を排出している様子。(よく見ていると、その雫が外からではなく、植物の内側から出てきたことがわかりました)


雨が葉を打ち、土が雨を吸い込み、植物が土から水を吸い、植物がその水を蒸散する。

宝石のような雫を吐いたり、吸ったり。
こうして植物もしずかに呼吸をしているのだな。

それぞれの場所でそれぞれが必要な調整をしている。時にはとなりの植物の呼吸に誘われるように息をするものもいるだろうか。

そんな想像をしながら歩くと、見える景色はみるみると変わってゆく。
森全体、山全体が大きな生命体として、ここにある。
そして、自分もその大きな生態系の中にいる。


ムラサキケマンの花はうまく撮れず、花びらのみ。
ちなみ猛毒で。ふしぎなもので、
毒があって誰も食べることのないこの花を食べて育つ蝶の幼虫がいるそう。
誰かにとっての毒は、別の誰かにとっては毒ではないんだな…




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