みみずく通信#8 | 見えない/見えづらい相手に思いを馳せる
6月。
雨の季節になった。
いつもの森に入って、みんなで散策をする。
この日はちょうど梅雨の晴れ間。
降る雨を吸い込んで、緑がごうごうと音を立てるように伸びている。
川の谷間に沿って、気持ちよい風が吹いていた。

春は小さな黄色いボンボンみたいな花をつける。
葉は薄く、柔らかく、かさなっていても光を通すので
まるで大きな傘の下にいるよう。
いつまでも入っていたくなる。

花だけみると、カラフルで南国の花みたい。
葉っぱは、天ぷらにするとおいしいそうです。
(私はまだ食べたことがありません)

見上げても、木自体が高木なので花を近くで見ることはできない。
ほとんどは花がつぶれてしまっていたけれど、
友人が拾った花はきれいに形が残っていた。
「かざぐるまみたい!」。
モミジの種のようにくるくると旋回して地面まで落ちてくるんだろうか?

茶黒のハネと、ほそ―い水色の体をしていて
夏の賑やかな緑のなかで出会うと、
その儚い体と色にハッと目を奪われる。
(この写真は見えにくいけれど)
体長はだいたい5〜6センチほど。

サイズがわかりにくいけれど、
カワトンボと同じくらいでとても小さい。
「ムカシトンボだったらうれしいなぁ」という話になった。
ムカシトンボは日本の固定種で「生きた化石」とも言われているんだそう。
1億5千年前くらいから姿形を変えていないらしい…!
あたりまえだけど、人類の方がずっと後輩なのだ。

葉を丸い形に切り取って巣に持ち帰り、
巣をつくる材料にするのだそう。
コンパスで描いたように正確な円形…!
ハキリバチのあまりに正確な円に驚いて、命の中に備わる自然律をおもった。
どんな生態なんだろうな。
気になって調べてみると、丸く切った葉で筒状やコップ状の形の巣をつくり、その中で卵を産み、花粉を集め育てるのだそうだ。
言葉ではなんとも説明しづらいのだけれど、巣の形状はなんとも細やか。うーん、なんて器用な…!
ハキリバチについて調べていると、ある人にとっては“害虫”として駆除の対象になり、一方でハキリバチの健気な巣作りの様子に感心する観察ブログもいくつも出てくる。どこに立つかーーで、ものの見え方はこんなにも変わってくる。
巣づくりの瞬間に立ち会うことはなかなかできない。
でも、だからこそ、こうやって痕跡から想像することはとてもたのしい。
そんな、見えない/見えづらい相手に思いを馳せる時間が、いつも私を豊かにしてくれる。

6月は木陰で休む虫たちにたくさん出会いました。
