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いきもの

先日、スーパーにて。
キャベツにいたアオムシ。
紋白蝶の幼虫。
行く末が心配になってしまって、思わず買う。


翌々日。
すっごく忙しい仕事中に、主任から呼ばれて。
「職員冷蔵庫にイモムシがいるからなんとかして!」って。

職員の中には家が農家の方もいて、この日はブロッコリーのおすそ分けがあった。
アオムシがついていたことに気づかず、
アオムシごと冷蔵庫に入れてしまったんだろう。

もちろん、ブロッコリーにいた紋白蝶の幼虫もお持ち帰り。
冷蔵庫にいたから動きが鈍いけど、手のひらで温めてるうちに元気に動き出す。
よしよし。


嫌いな人もいるのでイラストで


数年前にも同じように、
スーパーのキャベツごと紋白蝶の幼虫を買い、
その後無事羽化したことがあった。

今回、久々の紋白蝶の幼虫。
羽化するのを楽しみにしてた。

矢先。
紋白蝶の腹を突き破って出てきたのは、
コマユバチの幼虫だった。

寄生蜂、アオムシコマユバチ。

この寄生蜂は、モンシロチョウの幼虫の体内に約80個の卵を産卵する。産卵後約14日で、アオムシサムライコマユバチの幼虫は寄主の体を食い破り、繭を作って蛹化する。蛹化後約7日で成虫が羽化する。

Wikipediaより

コマユバチの幼虫は、宿主である紋白蝶の幼虫の脳や神経をホルモン等で支配します。
幼虫が体を離れた後も宿主を生かし続け、自身の繭を外敵から守る「ボディーガード」として機能させる驚異的な生存戦略(寄主操作)を持っています。
イモムシの体内で育ったハチの幼虫は、脱出後にイモムシのすぐそばで繭を作ります。
ボディーガード化: 寄生主であるイモムシは、自らの食欲を抑えてハチの繭の上でじっと待機し、外敵が近づくと激しく頭を振って撃退します。ハチの羽化が完了すると、イモムシはその生涯を終えます。

Google検索より


紋白蝶の幼虫は、
自らの腹を破って出てきたその幼虫たちを守るような行動を続けてた。
寄生生物が長い進化の中で獲得した、生き残るための戦略。

ものすごい数のコマユバチの幼虫が出てきたために、
紋白蝶の幼虫の体はへこんでしわしわになってる。

なんとも言えない感情がわく。
キャベツやブロッコリーを一生懸命食べてた、
かわいらしい姿。
羽化するのを楽しみにしてた。なのに。

蠢いてるコマユバチの幼虫は、早くも繭を作り出した。

ウジ虫のような幼虫たちを呆然と眺めながら、
私は、コマユバチもまた生きるために必死なんだろう、と思った。

コマユバチの羽化も、見届けようと思った。


✦✦✦


ところで、私は寄生獣という漫画が好きだ。

岩明均による漫画『寄生獣』は、人間の脳を乗っ取り捕食する謎の寄生生物「パラサイト」と人類の戦いを描いたSFサスペンスです。主人公の高校生・泉新一は、右手に寄生した生物「ミギー」と共存することになり、自身と大切な人を守るため他のパラサイトとの過酷な戦いに身を投じていきます。新一とミギーが協力して強敵に立ち向かうアクションとしての魅力はもちろん、人間とは異なる価値観を持つパラサイトとの交流を通じて「命とは何か」「人間とは何か」を深く問いかける哲学的なテーマが大きな見どころです。

Google検索より


「私は恥ずかしげもなく『地球のために』と言う人間が嫌いだ……
何故なら、地球は初めから泣きも笑いもしないからな。」

ミギーのこの言葉は、私には理解できなかった。
「地球のため」という言葉の何がいけないんだろう。
環境を守ることは悪いことじゃないのに。


コンクリートの隙間から顔を出す小さな花や植物。
排気ガスにまみれた、二車線の間に植えられた花。
街路樹。
私のベランダの植木鉢にやってくる小さな虫たち。

ただ、そこで生きているだけ。


地球は、人間のように悲しんだり喜んだりはしない。
だから、人間が言う「地球のため」は、
本当は
「人間にとって都合のいい地球でいてもらうため」
なのかもしれない。

人間は、自分の感情を世界に映して見てる。
そのことをミギーは指摘したかったのではないか。


捨てられた猫や、心ない人間に虐待されるどうぶつ。
麻酔なしで歯やしっぽを切られる豚や
オスだったために生まれてすぐシュレッダー処分になるひよこたち。

「いっそ、どうぶつがいない世界の方が、この子たちも傷つかずに済むのでは」
と思うときがある。

でもそれは単に私が、相手の苦しむ姿を見たくないだけなのかもしれない。
自分が苦しくなりたくない。
自分が泣きたくない。
自分が、悲しみたくない…

私が幼虫を見つけて心配で連れ帰ってしまう行動は
幼虫が心配だからじゃなくて、
放っておいたら気になって後悔してしまうのを見越しての行動なのか。


「寄生獣」という作品の世界が、自分の体験を通じて腑に落ちたような気がした。

紋白蝶の幼虫も、コマユバチも。
みんな、ただあるがままに生きてる。

きっと、生きてるだけで深く考えてない。
ただ、生きることだけ。
そこにいるだけ。



でも私はやっぱり、
アオムシは痛くなかったのだろうか。
苦しくなかったのだろうか。と考えてしまう。




「地球ははじめから泣きも笑いもしない」

地球という大きなシステムから見れば、
ハチがアオムシを食い破ることも、
私がそれを観察してもやもやするのも、
すべてはただの「現象」に過ぎない。

私が、ベランダの植木鉢に来るアゲハ蝶の幼虫を飼育するのも、
紋白蝶の幼虫を連れ帰るのも、
すべてはエゴなんだろう。


きっとまた、スーパーで幼虫を見つけたら連れて帰ると思う。
それは幼虫のためじゃないのかもしれない。

私自身が、その小さな命を見過ごせないから。

紋白蝶も。
コマユバチも。 
私も。
ただ、それぞれのあるがままを生きてる。


エゴなのかもしれない。けど、
人間なんだから、目の前の小さな命を勝手に思いやって、
勝手に心を痛めて生きていけばいいのかもしれない。


矛盾しながら生きている。


心に余裕(ヒマ)がある、いきものだから。


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