小1から30年以上、神経性頻尿症と生きてきた私が、親御さんに伝えたいこと。
はじめまして。綿芽と申します。
私は小学校1年生で神経性頻尿症を発症し、気づけば30年以上この症状と一緒に生きてきました。
突然ですがーー
お子さんに、こんな症状はありませんか?
・授業中や外出先で、何度もトイレに行きたがる
・行っても、ほとんど出ないことが多い
・遠足や発表会など、緊張する行事の前になると特に回数が増える
・「トイレに行きたい」と言っているのに、周囲に「さっきも行ったでしょ?」と言われてしまう。
もし当てはまるなら、それは神経性頻尿症かもしれません。
私も子どもの頃、同じように「さっき行ったばかりなのに…」と自分でも不思議に思いながら、トイレのことで頭がいっぱいになっていました。
このnoteでは、30年以上この症状と付き合ってきた私の経験から、親御さんに知っておいてほしいことをお話しします。
お子さんの気持ちを少しでも理解し、安心できるサポートのヒントになれば幸いです。
発症のきっかけ
小学1年生になった春。新しい教室、新しい友達、新しい先生。ワクワクする反面、毎日が緊張の連続でした。
みんなの前で自己紹介をしたり、発表をしたりーーそれまではなかった「人前で話す」場面が増え、心臓がドキドキする時間が続きました。
そんなある日、授業中に急にトイレに行きたくなったのです。しかも一度だけではなく、何度も。
「さっき行ったばかりなのに…」と自分でも不思議で、でも我慢できずにまた手を挙げる。その瞬間、クラスの視線が集まり、なんだか恥ずかしくてーーこの日を境に、私の神経性頻尿症との長い付き合いが始まりました。
頻尿になって変わっていく毎日
授業中にトイレに行くと、クラスの視線が一斉にこちらに向きます。
「また?」という声や、からかうような笑い声。ある日には、「トイレが大好きな花子さんだ!」なんてあだ名をつけられたこともありました。
笑ってごまかしていたけど、本当はとてもつらかった。
遠足や発表会、運動会ーー本来なら楽しみな行事も、私にとっては「トイレがいつも以上に心配な日」。「もし間に合わなかったらどうしよう」という不安が頭から離れず、心の半分以上はいつも緊張で占められていました。
母も心配して泌尿器科へ連れて行ってくれましたが、検査結果は「異状なし」。
当時はインターネットもなく、気軽に症状を調べることもできません。
「神経性頻尿症」という言葉すら知らなかった私と家族は、ただ途方に暮れるしかありませんでした。
その結果、「何度もトイレに行くな!」「ちょっとは我慢しなさい」と叱られることも増えました。
叱られる➡「また、トイレに行ってしまった」と自己嫌悪になる➡「トイレに行ってはいけない」と緊張する➡また行きたくなるーーそんな悪循環の中で、私はますますトイレから離れられなくなってしまったのです。
学校以外の緊張の場
私にとっての緊張の場は、学校だけではありませんでした。もう一つの大きな原因は、習っていたバイオリン。月に1度の日曜日のグループレッスンは地獄でした。
同じ部屋に何人も集まり、順番に演奏をする。その間も「トイレに行きたい」という感覚が何度も襲ってきます。
途中で抜け出してトイレに向かう私に、母はとうとう怒り爆発。
「さっき行ったばかりでしょ!」「気のせいじゃない?」「他の子は集中してて全然いかないのに!」
しかもトイレに行っても尿が出るわけではないことが多く、「レッスンをサボりたいだけ」と責められることもありました。
好きでトイレに行くわけではないのに、どうしてもわかってもらえないーーその辛さは、子どもながらに大きな孤独感を残しました。
もはや、学校でも学校以外でもトイレの心配がないところなどありませんでした。
症状が軽くなったきかけ
そんな私の症状が少し落ち着いたのは、小学2年生に進級してから。
学校に慣れ、クラスに仲の良い友達ができたことが大きかったと思います。
さらに、家ではスーパーファミコンに夢中になる時間が増えました。
友達と一緒にゲームを楽しんでいる時間は、トイレのことをすっかり忘れられる。
「テレビゲームのやりすぎは良くない」とよく言われますが、私にとってはこれが何より効いた”症状の逃げ場”でした。
もちろん、行事のときなどは相変わらず緊張してトイレのことが頭から離れませんでしたが、好きなコトに没頭できる時間が、症状をやわらげてくれたのです。
親御さんへのアドバイス
自分の子どもが「神経性頻尿症では?」と悩んでいる親御さんへ。
私は30年以上、神経性頻尿症と付き合ってきました。
振り返ってみると、症状そのものよりもつらかったのは、「理解されないこと」でした。
「また?」「行き過ぎじゃない?」「我慢しなさい」という言葉は、子どもにとって大きなプレッシャーになります。
親御さんにお願いしたいのは、叱らないこと、焦らせないことです。
本人も好きで何度もトイレに行くわけではありません。
自分でも「さっき行ったばかりなのに…」と不思議に思い、不安になっています。
そこに「行きすぎ!」と言われてしまうと、「また怒られるかも」という緊張が加わり、症状が悪化することがあります。
また、「行っておいで」と背中を押してあげることも大事です。
安心して行ける環境があれば、「行かなきゃ」という緊張が少しずつ減っていきます。
結果的に、トイレの回数が自然に減ることもあります。
そして、症状を”その子の性格”や”怠け”のせいにしないこと。
私は「気のせい」「集中していないだけ」と言われて、必要以上に自分を責めてしまいました。
もしあのとき、「大丈夫だと」「落ち着いて」と受け止めてもらえたら、もっと早く安心できていたかもしれません。
神経性頻尿症は、心が落ち着くことで症状が和らぐことが多いと言われています。
子どもにとって「自分は守られている」「理解されている」という安心感こそが、何よりの薬になるーー私はそう信じています。
次回は、神経性頻尿症と生きる~思春期編~を書こうと思います!
